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出戻りぱんだのおはなし・ご

  飼育員さん、こーんばーんはー!\(*ˊᗜˋ*)/♡ヤホー
気の向くままに綴り始めた出戻り語りも気付いたら五本目だって!(*´꒳`ノノ゙☆パチパチ
読んでくださった方、さらにスキまでしてくださった方、いつもぱんだを甘やかして幸せにしてくれる大好きなお友達、みんなに心からのありがとうを贈らせてくーださい\(*ˊᗜˋ*)/♡ヤホー

  さてさて、ここから先はどこまで書いていいか若干の不安もあったりなかったり・・・・・・。
だけど出来る限り赤裸々に綴ってみようとは思ってます。
読んでくれる飼育員さんの中には『うえー、こいつきもちわるー』ってなっちゃう人もいるかもしれません。
先にお知らせしたんだから、後から文句言わないでねーっ(*´艸`)



  前話で少しだけ思わせぶりな書き方をしてしまいましたが、11月11日にパパが目を覚ましてから一ヶ月ほどはパパの記憶の中にぱんだが居ないことを知りませんでした。
今思い返せば、この時は知らないというよりは気付こうとしなかったんじゃないかと思います。
気付けるきっかけはたくさんありました。

看護師さんが撮影してくれる動画内で、ぱんだの影は一つも見当たらなかったんですから。

  それはさておき、パパが目覚めてから、日に日にママの表情に笑顔が増えてきたように思います。
そんなママを見て、ぱんだも自然と頬が緩みます。
ママの食欲も口数も増え、お小言もちょっぴりだけ増えました。

「あんた東京の部屋はどうするの?犬もあの人がお世話できるとは思わないけど」

 「んー・・・・・・正直会うの怖いから行きたくはないけど」

  「あんな人と付き合ったりしなければあんたでも嫁に行けたかもしれないのに、もったいない」

  両親と元番さんとは、昔に一度食事に行ってるので面識はありましたが、よくよく話を聞くとその時から不信感しかなかったそうです。

  「あとからブツブツ言うのいくないよー? タラレバなんて不毛でしょ」

  「妹ちゃんは結婚して孫も抱かせてくれたのに、あんたはほんとに・・・・・・」

  このあとも何か言っていた気がするけれど、ほとんど耳に入らなかったな。上の空で空返事。
ママとパパの一番初めの子どもは実に不出来で親不孝なのです。

  さて、元番さんに連絡して犬くんの様子を聞くのと、今後のお世話をどうするか決めなくちゃ。

  「・・・・・・もしもし、ぱんだだけど今へいき?」

  「おー、どうした?」

  お別れのご挨拶をしてから数日、元番さんの声には覇気を感じませんでした。

  「んー、犬くんのことなんだけど様子どう?」

  「あんまり元気ないよ、食欲も落ちてる。人の気配がある度にお前を探してるかんじ」

  ここ一年くらい、この人とまともにお話していなかったな。ぱんだはどんな風にこの人とお話していたんだっけ・・・・・・。

  「ワクチン接種や何かあった時の治療、普段のご飯や排泄のお世話、きちんとできる?出来ないなら犬くんはぱんだが迎えに行こうと思います」

  愛そうと頑張った人なのに、恐怖で震えそうになるのを抑えるのでいっぱい。事務的な声しか出せません。

  「もう戻ってくる意思はないんだな・・・・・・ちょっと考えさせて。明日連絡するから」

  「・・・・・・わかりました。」

  その日はそれでおしまい。
振り返れば楽しい思い出もあったなー、なんて浸ってみるけれどその中身はひどく朧気で、はっきりと思い出せるのはここ半年ほどの彼の自覚のない暴言と、拒絶したうえでのセックス。

  遠い遠いあの日、あの瞬間、あなたはきっとわたしのヒーローでした。

  幼い頃に救ってあげられなかった、わたしを救ってくれたヒーローでした。

  明くる日の夕方、元番さんは連絡をくれました。

  「今大丈夫か?」

  「・・・・・・うん。犬くんのこと、決めた?」

  声の後ろから車の走行音が聞こえます。
あぁ、きっとこれから夜勤なんだろうな。

  「犬くんは俺が面倒見るよ。見させてくれ」

  チクリと胸が痛みました。

  「犬くんは、俺にとっては我が子なんだよ」

  ぱんだにとっては、いとおしい二人目の弟くんだよ。

  「お前にとっても、そうだろ?」

  違うよ。半ば捨てるように家を飛び出した無責任で不誠実なぱんだは、子どもなんて授かる資格がないもの。

  「責任をもって、犬くんが死ぬまで愛すから」

  どうしてこの人は、こんなにも不器用なんだろう。

  「ごめんな、ぱんだ。愛してたよ」

  「・・・・・・わかりました。犬くんのこと、よろしくね」

  名前で呼んでくれたの、何年ぶりかな。
泣いてるせいで声が掠れて、正直なんて言ってるか聞き取れないよ。

  「ついでに、あなたも持病があるんだから、ちゃんと定期通院サボらないで食事も薬もしっかりとってください」

  愛は、もう欠片も残っていません。
だけど不思議なもので、情は捨てきれないのです。

  彼との始まりの日、初めて名前を呼んでもらえました。
  彼との終わり日、名前を呼んでもらえたのはこれで二度目だね。

  通話を切ったあと、何を思ってぱんだは泣いたんだろう。
今考えてみてもやっぱり見えてはこないけど、思い返して泣くことはないので、きっと単純な気の昂りだったのでしょう。

  願わくば彼の記憶から、記録から、ぱんだの存在が綺麗に消え去ってくれますように。
愛する人が出来たなら、笑顔と幸せの溢れる日々を送れますように。

何かのきっかけのひとつにでもなれたなら嬉しいです\(*ˊᗜˋ*)/♡ヤホー