rewrite: Re:animation 8 に行ってきた

やっぱりあの記事が消し飛んだのは我ながら惜しいなと思ったので、2本分(掲題のとリアニ8の)をうまくまとめたような内容を目指して筆をとりつつ、雑でもいいからとにかく再現を試みる。

1本目の記事では、主に90年代以降、私のような面倒な人間をもその包容力で包み込んでそこそこちゃんとした音楽バカを多数育てたであろう、「(我々が愛した)クラブカルチャー」は、当時から続くクラブの流儀と地域社会との摩擦、パブリックイメージの悪化の中で輝きを徐々に失いつつある、という危機意識の中でどういうことを考えて実行に移せば生き残りにつながるか、みたいなことを書いた↓。

2本目は、このような危機意識を踏まえて、昨年11月に実際にそうした組織的に地域社会との融和や行政サイドとの粘り強い交渉といった立ち回りを先駆的に続けている "Re:animation” の第8回を見てきたらどうだったか、という内容。

5年前、当時はまだあった歌舞伎町コマ劇場前広場での屋外レイヴを突然ブチかまして鮮烈に我々の前に現れた "Re:animation" 。同じ歌舞伎町コマ劇広場での数回の開催の後場所を中野駅前に移し、海外展開も含めた様々なスピンオフプロジェクトも成功させるのを横目でずっと見ながら気にしていたんですが、中野での4回目の開催 "Re:animation 8" (以下リアニ)でようやく現地に入る機会に恵まれました。

WIREとは違う

私が(今までのはなんとなく横目で見ていたけど)リアニ8になんとかして行きたいと思ったのは、ランイナップを見る限りアニメ側への傾斜が進んでいた内容から大きくテクノ・ハウス側に揺り戻しが進んだ印象があったからでした。もともとエウレカセブンというテクノの名曲のタイトルや機材の名前等をモチーフとして取り込んだちょっと特殊なロボットアニメ作品のファンパーティー「ゲッコーナイト」を前身としており、原点回帰というかテクノ側の音が増えてれば私もきっと居場所を見つけられるだろうとも思ってたんですが、なんとか短くまとめて言うなれば「テクノのマナーを取り入れたアニクラ」でした。

「クラブ」と「アニクラ」の違い

これは元の記事の公開後、後日リアニの「なかのひと」、オーガナイザーのちへさんと話したり周辺のアニクラの心得があるDJ諸氏とのやり取りの中でまとまってきたことですが、要するに、

知ってる曲がかかるのはたまにしかなくて知らない曲がいろんな風にmixされていくさま、mixされてできあがる音楽を浴びて楽しむのが「クラブ」。
かかるすべての曲について全員が知ってるのがデフォルトで、どの曲がどのような文脈で流れてくるかという文脈を楽しむのが「アニクラ」。

であると。これをもとにあの日の自分の状況を思い起こすと確かに符合します。私はクラブのつもりで来てましたがそこではアニクラやってて、しかしたまにクラブのマナーに則った流れも来ていたということだったわけです。

なお、私の個人的なベストアクトはアニソンやゲームネタも織り交ぜながら結局いちばん「私の知ってるクラブ」に近いパフォーマンスでしかもアニクラできているお客さんも存分に沸かせていたREV-TUNE氏でした。出番終了後の「俺がテクノだ!」発言は本当シビレましたねぇ(何度でも言う)。

要救護者0

特筆すべき点としてこれをあげずにいるわけにもいきません。11:00〜19:00開催で3,400人ほぼ全てが大音量の音楽を浴びて踊りながら多分ほとんどの人がアルコールを摂取していたはずなんですが、要救護者0だったそうです(正確には終了後に1名手当てをしたとも)。これは毎年0だったというわけではもちろんなくてついに達成した「偉業」です。スタッフ各位には本当に頭が上がりません。飲み屋で飲み会やって不特定多数の例えば20人とかでも集めて、全員でドッカドカ飲んで、介抱が必要な人を0にできるかと想像してみるとあれが如何にものすごいことだったか。

ただ、最中や終了後のTLを眺めているとやはり表に出ないところで負傷寸前までいっていたらしいケースや、不届者がフロアで暴れて退避せざるをえなくなった人が出たケースなどがチラチラ見られました。これはやはりスタッフ各位も認識していたようでしたし、場を提供してもらう側としては今後も意識していかなければいけないところだろうと思います。

リアニとクラブカルチャーの今後

リアニの今後に関しては私が語るべきではあまりないでしょう。ちへさんのビジョンがあるはずですし、ちへさんのnoteもあってオーガナイザー哲学も勉強させていただいてますのでそちらに譲ります。

ここで私が書くなら「(我々が愛した)クラブカルチャー」の今後がどうなるかについてで、そもそもそれが書きたかったわけですが、リアニは間違いなくそのヒントを見せてくれる存在であると実際に足を運んでみて体感、確信しました。

・まわりの人たちとなかよくする
・決まりは守る

これを実際に不特定多数が出入りする場で徹底して管理していくために、どういう人がどういうポイントに力を入れるとうまく回るのかを考えてみると、やはり1本目の記事で書いた「地域社会との融和」は絶対に外せないスタートラインです。その実現のために地道に地元の人たちと話して行政サイドをあそこまで巻き込んだ手腕について改めて感嘆しつつ、感嘆してばかりもいられない、関わるのであれば微力でも何かそのように動くことをまず私自身は考えたい、とそう思いました。

あともうひとつ大事な要素(追記)

「アニメ」なんですよね「アニクラ」の「アニ」は。どこが最初なのかは諸説あるでしょうが、全国で同時多発的にアニメ文化を行政が(主に)若者向けのアピールのための手段のひとつとして取り入れる動きが広がり、それに伴ってそれなりのカネもまぁ動いてるんでしょうから、それでもって行政側としてもイメージがしやすかったのかなというところはまた私がわざわざ部外から指摘するならしておくところでしょう。

「クラブ」の方のパブリックイメージはまだまだ良いものとは言えないでしょうし、それ以外の何かを乗せて展開するとしたらアニメ以外の有効打になるのは何だろう、というのは各所まで模索してるところなんじゃないかと思います。

「リアニ9」はどうも歌舞伎町(今あの場所はシネシティ広場という名前になっているのをいま知った)に戻るようで、2010年当時とは街もリアニも変貌したところから何が出てくるのか、とても楽しみ。

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