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ありがとう世田谷

平成16年というから15年も前のことになる。若気の至りで購入した世田谷のマンションを売ることになった。ちょうど平成の終わりに。

1600万の中古のマンションを300万かけてリノベーションして住み始めた。上京して初めての住宅ローン。よく思いきったものだと思う。階は6階。ベランダからの眺めがとてもよく冬は箱根の向こうに白い富士が見えた。朝、富士が見えた日は今日も仕事でやったるでと闘志が湧いたものだ。

今回1880万で売ることになり、抱えていた住宅ローンは消えることになる。前妻との離婚を機に、せっかく手に入れたマンションからは離れることになり、大好きだった町を離れ、ひとり祖師谷の狭いアパートに引っ越した。その後、マンションに入居者は途切れることはなく、月々の家賃の支払いも滞りなかったのであまり不安はなかったものの、今回正直ほっとした。肩の荷が下りるとはこのことだ。

売却益はわずかだ。多少手持ちのお金が残るけど、ローンを組むときに母親から100万を援助してもらったので今回返すつもりだ。

春は感傷的になる。人生出会いと別れだ。住宅とも出会いと別れ。住んでは離れて。

青春をかけて戦った地を、日々を、懐かしく思い出しながら、今日からまた新たな誓いを胸に、今いる場所で戦おう。

さようなら世田谷。

ありがとう世田谷。

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