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詩「鍵を閉めて」



他人の家で暮らすという事は
逃げ場が必要であるという事だ
家には
必ず逃げ場がある
(例えば、風呂場やトイレや脱衣所と言った神聖なる場所の事だ。)
この家には
自分だけの部屋が存在しない
だから
一息吐きたければ、掃除をすると言って鍵を閉めれば良い
爆弾から身を守るシェルターの様に
此処は安心する
包み込まれる温かさを感じる
(狭い部屋なので、自分の溜め息で急速に温かくなるのだ。)

テレビの向こう側では改革が叫ばれている
(私は、この場所で、瞑想したり夢想したり想像したりして自分の意識を改革しているのである。)
鍵を閉めた途端、無限なる宇宙に通じている
此処では、何をしようが自由なのである
(想像はして良いが、掃除をする手は、決して止めるな。)

一昨日は、大勢のカエル達と水辺で会議を行い、昨日は、大勢の虫達と山で再会を果たした所である
出る話題は決まって同じだ
我々の住める場所は狭められている
どこまで追いやられたら、世界は広がるのだ
(そもそも、世界は広いのか?)
議論や噂話は尾鰭が付いて一気に飛躍した
我々は、いつも宇宙に放り出され、その無限の拡がりに自分の無力さ非力さを痛感させられる
それでも、同志が居る事に安堵して、数分間の会は解散するのであった

嫌われていたり、追い詰められていたりする者達の目は、キラキラギラギラしているものだから、個人的には好きである
私の瞑想やら夢想やら空想の先で、再度落ち合おう
私は、また、君らに会いたい

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