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詩「黄色い波」


温かい陽の光に包まれて
私は黄色い波の中を歩いた
自分の背丈ほどある草の中を掻き分けて
(あの頃は 目を瞑ると何にでもなれた。)

小さい頃は それだけでしあわせだった
心が満ち溢れていて
欠ける事はなかった
(私は 黄色い波の中を魚になりきって泳いで行く。)

気付いたら こんなに遠くまで泳いでいた
振り返っても 私の家は もう見えない
空を見上げると 不恰好な魚みたいな雲がゆっくりと流されていた
(私は 小さくても泳ぐ意思がある。)

家に帰ってエプロン姿の母に抱きついた
草まみれの私の姿を見て
「今日は何になったの?」
と優しく聞いた
(眉をひそめてヒソヒソ話をする人達とは違った。)

黄色い波が私の心に寄せては返す
この感情は陽だまりによく似ていた
(体が小さいから まだよく分からないけど。)

しあわせは無理矢理に探すものじゃない
あなたは いつも しあわせは微笑みの中にあると私に教えてくれる

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