海の月

どこへ行くの 人の影は
高鳴る胸のときめきと
逞しく生きていたあの人の
詩集携え 行くんだと

重なる夜明けのその手前
微かに聞こえた春の音
誰もが歌えば
しゃんとして
背筋を伸ばして
先の方角を見つめる

奇しく光る月に
あざやかな夢を隠して
それは真夜中も
ゆらめく海の月のように
照らされては消えていく
消えていく 消えていく


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