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政治家のブラックボックス

安倍派の裏金問題。予想通りとはいえ池田佳隆議員1人を逮捕しあとは会計責任者の立件で終わるようだ。小物議員のトカゲのしっぽ切りで大半の議員は結局守られた。さらにノルマ分を派閥に申告せずに収入としていたケースも発覚。これは弁明の余地なく立派な脱税にあたるはずだが何か危機感がない。

逮捕された池田議員がキックバックを「政策活動費だと認識して受け取った」としているがこの「政策活動費」が何たるかが注目されているとか。

政策活動費とは、政党が所属の国会議員個人に支給する政治資金で、使途の公表の義務も、領収書の添付義務も、精算や納税の義務もない。それをもって「裏金の温床」ともいわれるようだ。

国会、地方議員周辺にはさまざまな公金が使われている。似たようなものとして政治活動費、政務活動費(旧政務調査費)、立法事務費、調査研究広報滞在費があるが全て異なる。非常にややこしい。

政治活動費は立候補者が支出する政治資金のうち、主義、施策の推進や候補者推薦などの政治活動を行うために支払われる費用で、組織活動費推薦料や陣中見舞いなどの選挙関係費、政治資金パーティー開催・機関誌の発行などの事業費等々多岐にわたる。これも1件5万円未満の支出内訳を報告する義務はないため、還流や蓄財などがしやすく問題とされているようだ。政務活動費は地方議会の議員に対し政策調査などのために支払われる費用であるが、やはり不正などが多く抜け穴となっている。


1月13日に朝日新聞が、この政策活動費の内訳を報じた。その額は2022年の1年間で約16億4000万円で、そのうち14億1630万円が自民党だったとしている。 以下立憲民主1億円、国民民主6800万円、社民700万円、日本維新は、政党支部から5057万円を支出。それ以外の党は支出なしという。

受取額が最も多いのは自民党の茂木幹事長で、6割強に当たる計9億7150万円を1年で受け取っていたという。 1日で計1億7850万円を受け取ったこともあった。党幹事長室は「党に代わって党勢拡大や政策立案、調査研究を行うために、党役職者の職責に応じて支出している」という。

また二階氏は、幹事長をつとめた約5年の間に160回に分けて約47億7000万円を受け取ったようだ。

思うのはこのような不透明な支出への回答として、政治活動、政策立案、調査研究などといった言葉がやたら目につく。蓄財や遊興費には使ってなく正当である事を強調したいのだろうが、逆に言えば政策の立案や調査活動などにはこれだけお金がかかるのでやむを得ないと弁解しているようにも思える。しかし政治、政策、調査という言葉には活動への具体性に乏しく、解釈によっては料亭などでの飲食や、不動産などあらゆる面に適用されてしまう。これは他の政治資金にも言えることで抜け穴となる一因である。

常識的に考えて幹事長周辺が年間9億円を超える政治活動や調査をしていたとは考えにくい。仮に必要としても数十億を政治活動に掛けている時点でクリーンな政治には程遠いと感じる。党勢拡大~という回答を見るにいわば地方議会などへの選挙対策の裏金にも用いられていると勘繰ってしまう。さらに統一教会始め政治家をバックアップする企業や団体の資金源にもなっているのではないか。


元をたどると政治資金規正法の「使途報告する必要がない」がいわば100%議員寄りの法律であるのが問題。石破元幹事長は「ブラックボックスみたいになっている」と発言し、いわば脱法に近い解釈のようだが政治家個人に入った金は寄付になり、雑所得である。しかし「適切に政治活動に使った」と説明すれば全て政治資金とみなす。このレトリックによってすべてが安泰で終わってきたのだ。どの時代も政治とカネは問題となるがこれほど立て続けに出ることはない。パンドラの箱が開けられたのか。


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