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【MTGレガシー】強相関系を愛でるーターボグリフィンー

はじめに

 一万枚を超えるカード間に生まれる数多の相互作用。中でも普段では得難い利得をもたらすものや唯一無二の挙動には名が与えられ、人を魅力するという。

たとえそれが稲妻に撃たれる程の確率であっても

― レガシーでは珍しくないことの言い回し

 競技レベルかどうかを問わず、エモーショナルかどうかで相互作用を愛でていこう。
 ちなみに本記事はキッチンテーブル(非競技的環境)を主眼に置いていますので、デッキリストやサイドボーディングなど競技シーンで役立つものはないです。
 今回はこちら、「ターボグリフィン」

今日の主役

これまでのターボグリフィン

 今回の主役である《グリフィンの峡谷》を使ったコンボの歴史はまぁまぁ古く、エクステンデッド期にぎゃざで紹介記事で見たのが最初だった記憶。
 《グリフィンの峡谷》を《動く土地》でクリーチャー化した後、《不自然な淘汰》でクリーチャー・タイプーグリフィンにすることで《グリフィンの峡谷》の能力でパンプアップ&アンタップを好きなだけ繰り返して∞パンチを決めるコンボです(wikiを見ながら)。

 ただ、現在活躍できるフォーマットがレガシーであることを抜きにしても、単純に殴ってくるクリーチャーの性能がエクステンデッド期とは段違いの現代で、3〜4枚コンボはよほどのことがない限り許されなさそう。やはりコンボは2枚で始動できないと。

アルーレン「そうだな」  オムニテル「出直してこい」

 ・・・あれ?そうでもない?
 最近では《魔力景の屈折体》の登場で一瞬、再注目されました。

 《古きものの活性》は全てのコンボパーツにアクセスできる可能性があるものの、残念ながら3枚コンボを揃える大変さを補うには至らず、揃えたとてアンタップ/召喚酔い明けまで相手に対処の猶予を与えてしまうこと、除去耐性も回避能力もないクリーチャーかつアーティファクト除去であることから、常にもう一歩二歩といった感触でした。
 しかし何をおいても、除去耐性&回避能力なしの∞パンチという無骨さは愛嬌満点です。キーパーツがアンタップインの土地であるため腐っても《荒地》として土地のスペースで採用できるスロット圧迫のしづらさ、唯一無二のテキスト“Untap target Griffin”の一文から溢れる悪用してくれと言わんばかりの邪悪さ、いつかなんかしらやらかしてくれそうな可能性を醸してくれています。

これからのターボグリフィン

 上記の通り、ターボグリフィンの(というか活躍していないコンボの)主な欠点は以下かなと思います。

  1. コンボの揃えにくさ

  2. コンボ成立後でも対処の容易さ

 このうち1つ目について、ターボグリフィンはデッキ内のスロットを圧迫しない点でDDコンボ同様にコンボパーツとコンボの下地作りに割くパーツのスロットを取り合わないメリットを有しているものの、3枚コンボ故の揃いにくさがネックでした。そんな中、ターボグリフィンを2枚コンボとして成立させうるカードが『ファイレクシア:完全なる統一』に登場しました。
 正直2つ目の方が致命的な気もしますが、競技的な立ち位置含めて何が活躍のトリガーになりうるかは予測不能なので地道に1つずつ確認、比較をしたうえでの判断が良いのかなと思っています。
 ということで新たなターボグリフィンのキーカードたりうるか《ミラディン人の隠れ家》。

真ん中で隠れているのは宇宙しいたけではなく、
教議会の座席

 やはり比較すべきは《魔力景の屈折体》になりそうです。《魔力景の屈折体》が場を参照していたのに対して《ミラディン人の隠れ家》は墓地参照。地味にタップインではなくなっていますが、どうせクリーチャー化した際に召喚酔いしてしまうので、コンボ決める上ではあまり差はなさそうです。
 《魔力景の屈折体》にしろ《ミラディン人の隠れ家》にしろ、いずれも《変わり谷》と《グリフィンの峡谷》を揃えなければいけない3枚コンボであるなら違いはないです。両者を隔てる最大のポイントについて語るにはもう一枚、サーチカードの存在を含める必要があります。

どうも、土地限定2倍納墓くんです。

 場に土地2枚揃えるには1枚ずつ手札に揃えてランドセットするか、カード一枚で行うには《原始のタイタン》など中々ハードル高め(というかそっちで勝てるやん)でした。
 一方《未知な領域》は非公開領域からのタイプサーチなので、4枚なかったていで《変わり谷》と《グリフィンの峡谷》の2枚だけ探して公開することで確実に墓地送りにできます。
 さぁこれでめでたく《ミラディン人の隠れ家》と《未知な領域》の2枚を揃えればコンボ可能になりました。これで地を這うグリフィンの∞パンチの確率は上がりエモいエモい。めでたしめでたし。で終われば良いのですが、たとえキッチンテーブルの話であっても既存の下位互換では心躍らない!ということで、3マナ置物&3マナインスタント&起動1マナのコンボとだけ聞けばアンプレアブルなターボグリフィンの特徴、差別化点を整理したいと思います。

ターボグリフィンを愛でるポイント

 このシナジーを愛でるのに必要な、心躍らせるポイントを列挙していこうと思います。
 蛇足かつ主観的な部分ですが、「《甲鱗のワーム》に《怨恨》付けて殴りたいねん」でも良いのですが「《本のワーム》じゃあかんのか?」で終わらない程度にはシナジーに可能性を感じれるか、それっぽい説明ができるかがポイントだと思っています。そら人間誰でも許されるなら《甲鱗のワーム》使いたいよ。でもここではカードの歴史よりシナジー優先で行きたいと思います。蛇足終わり。
 コンボデッキを分類する方法はいくつかありますが、オールイン(コンボに全力)かミッドレンジ(コンボはゴールの1つという位置付け)かという観点で大雑把に分けたとき、ターボグリフィンは明らかに後者寄りかなという印象です。断言しない理由はmtg分からんからですが、前者はSPYやANT、Doomsday、リアニなど同じ役割のパーツが複数種類ずつ必要とハードルが非常に高めです。
 とはいえミッドレンジだとハードル低い訳ではなく、前者のような高速デッキ群に対してゲームレンジを後ろ倒しにするための妨害ができるか、別軸でゴールを目指すとき手札で腐るカード(コンボパーツ)をいかに少なくできるか、墓地を経由しないなど妨害のされにくくできるか、このあたりが重要な評価軸になる傾向があるのではと感じています。
 この点で言えば、《未知な領域》により《変わり谷》と《グリフィンの峡谷》が最低1枚採用でも良くなったため、《未知な領域》と《ミラディン人の隠れ家》の腐りやすさがどやねんという話になります。こうなってくるとシナジー単体だけでなく、もう少し具体的にデッキ全体、メタ(仮想敵)を考えていかないといけなくなり、ちょっと面倒になってきますが、今回の場合は《ミラディン人の隠れ家》と《未知な領域》のできそうなことから具体化していく方向で考えていきます。
 例えば《ミラディン人の隠れ家》をターボグリフィン以外で使おうとするなら、戦場に出すのがしんどい土地との組み合わせがすぐに思いつきます。具体的には《焦土》、《Lake of the Dead》、《睡蓮の原野》などです。これらの土地は、土地のプレイ権を消費してしまいますが、自力で墓地に直行できる(《睡蓮の原野》は一旦場に出ますが)点が中々芸術点高くて良きです。エモエモ。この場合、《ミラディン人の隠れ家》は手間の種類が異なる《厳かなモノリス》《玄武岩のモノリス》的な使い方になりそうです。理想的な動きのイメージとしては、

理想のサイドプラン
  1. 《古えの墳墓》など2マナランドセット

  2. 《モックス・ダイアモンド》から《焦土》を捨てる

  3. 3マナ生成から《ミラディン人の隠れ家》

  4. 4マナ生成から《難題の予見者》や《大いなる創造者、カーン》

 といった感じで、1T目に4マナアクションをしつつ、次ターン7マナ到達できそうです。2T目に《マイコシンスの格子》できれば気持ち良いでしょうね。1T目に土地を墓地に置くには《モックス・ダイアモンド》か《納墓》、《輪作》くらいなので、いずれにしても手札の消費ハンパないですが、大量のマナは全てを解決するので最高ですね。
 また《焦土》ではなく《睡蓮の原野》か《水蓮の谷間》であれば、相手のターンエンドに《未知な領域》キャストまでできるので最速2T目ターボグリフィン始動になります。まぁ、場に《ミラディン人の隠れ家》&墓地に《睡蓮の原野》の時点でバレバレですが。
 以上の通り、墓地にこれらの土地を落とすことができれば《厳かなモノリス》や《スランの発電機》的なマナアーティファクトがスキあらば∞パンチしてくるに等しい。といえば中々唯一無二感出てきました。
 合わせて《未知な領域》も《焦土》、《睡蓮の原野》の他に《古えの墳墓》、《雲上の座》などを持ってくる真っ当な使い方で腐りづらくできるかもしれないですね。
 また持ってくる4枚を《焦土》、《睡蓮の原野》、《変わり谷》、《グリフィンの峡谷》にして、「俺の手札にあるのは《ミラディン人の隠れ家》か《大いなる創造者、カーン》か予想して選びな」ってやってみたいですね。《焦土》もう一種類欲しいですが。
 以上から、既存デッキで言えばPOSTに組み込む形でランプに貢献しつつ、スキあらばターボグリフィンという形でデッキになりそうな感触です。

《魔力景の屈折体》→《ミラディン人の隠れ家》

 また《睡蓮の原野》を使う場合は有色の大量マナを生成できるためnic fitっぽいデッキができればそれも面白そうです。これまた理想パターンですが、

無理やり1Tで揃えるムーブ
  1. 《暗黒の儀式》から《ミラディン人の隠れ家》

  2. 《Elvish Spirit Guide》から《輪作》、《睡蓮の原野》を持ってきて即サクり

  3. 《ミラディン人の隠れ家》から3マナ生成→《未知な領域》

 という感じで2以降を相手のターンエンドにぶっ込めばターンが戻ってきてすぐ殴れそうです。加えて、4マナ到達の選択肢を多くすることができそうな気がするので、イニシアチブに良いかもしれないなぁと思いました。継続的なマナ生成という点を活かせれば選択肢に挙がるかもしれない程度の良いなですが、今のイニシアチブが求めている要素ではなさそうですね。知らんけど。今は頭の片隅に置いておこうと思います。

クールダウン

 具体的な動きを想定してみるとすぐに気付きますが、《ミラディン人の隠れ家》をマナ基盤に使うにはCMC3という重さと一枚では何もしない安定感のなさがグロいです。下準備ないと何もしないCMC3のマナ・アーティファクト、最高でもカード2枚使って
《金粉の水蓮》〜《Sol Ring》×2はサブプランとしてイマイチ感が否めず、せめてCMC2であればマナ加速のプランが強力だったのではと感じます。
 また《魔力景の屈折体》とは異なり《不毛の大地》は効かない代わりに墓地対策が刺さるようになりますが、ターボグリフィン自体がそれ程強いコンボでもないため、マナ・アーティファクトに札を1枚切ってくれるなら上等な気がします。そもそも《魔力景の屈折体》同様、クリーチャー&アーティファクト除去で対処が容易なのでこちらの心配していたほうが良さそうです、
 既存デッキで言えばPOSTに入れて、マイコカーンorターボグリフィンを狙っていく形で考えています。理想的な動きで考えてもイマイチというレベルではなさそうなので、後はどれくらい重視してターボグリフィンにスロットを割くか、それとも省いたほうが良さそうかで比較していこうと思います。今のところ《未知な領域》がどれだけ使えるか次第かな?という印象です。4枚持ってくるパターンは色々できるのか、はたまた底が浅いのか、が見極めのポイントかなと。

おわりに

 ついに2枚コンボになったターボグリフィン。手放しに最強!1000枚買え!!的な感じは一切せず、地道です。再録禁止の《グリフィンの峡谷》、《焦土》はいずれも1枚あれば良さそうです。急いで買う必要もなく、持っている人がガチャガチャして面白い動きだねって遊んでみる用な気がします。
 ぶっちゃけ《グリフィンの峡谷》も《焦土》も再録禁止の中ではリメイクが容易かつ5枚以上詰め込むような使い方もされないので、お持ちでない方は値崩れしても立ち直れる価格で購入されることを勧めたい代物です。
 ターボグリフィンに限らず、たとえキッチンテーブルの話であっても“既存の下位互換では心躍らない”というのは重要なポイントだと思っています。7 Point Highlander、一万円レガシー、魔改造スタンのように構築制限での多様性を目指すのも十分素晴らしいですが、日本において独自ルールでメタゲーム形成できるほど人が集まるのは一部大都市圏に限られます。それ故シナジー単位で差別点が見いだせるに越したことはないです。その点で言えば、割と遊べる差別化点も見いだせそうなくらいには見どころがある強化はされたんではないでしょうか。目指せDoomsday。


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