リスペクト

「respect」とは、敬意をもって尊敬し、優劣に関係なく価値が存在そのものにあるとして尊重する、という意味だとか。
羽生君はこれまで、どのプロにおいてもたとえば作曲者・作詞者・編曲者・演奏者、ゲームや物語なら作者や演じた人々にまで敬意をもって大切に自身の作品へと落とし込まれています。
その事にもきちんと言葉にして触れています。

阿修羅ちゃん〉が初めてお披露目されたのは『GIFT』でした。
AdoさんのPVアニメからインスピレーションを衣裳に、振り付けに落とし込み、自身がテーマとした「氷上でのダンス」として自分自身で振り付けをし世に送り出しました。『GIFT』内ではELEVENPLAYさんが同じ振り付けをされたところがあって、当初はMIKIKO先生が作られたのかと思ってしまっていたくらい、素晴らしかったですよね。

あの夏へ〉も同様『GIFT』の為に作られたプロ。
こちらはウィルソンと共に“崩壊”と“浄化”をテーマに作られたと話してくれました。
これは『千と千尋の神隠し』からのもので、龍神をベースにした楽曲を丁寧に演じる奉納の舞の様なプロとなりました。

天と地のレクイエム〉これは2015-16シーズンのEXプログラムでしたが、一番最初のお披露目はそのシーズンに突入する前のFaOIでした。
この頃はまだライビュもなく、TV(CS)放送も全日放送など無く、ましてやBツアーは確かフジ系列の土地でのお披露目と言う事もあって、一番最初にお披露目されたもののTV放送はありませんでした(…の筈。違ったら優しく教えて下さい🙏)。
ですからショーに行けなかったファン達は現地で目撃した方々のツイから予想をし様々なイメージを膨らませて後日の放送を楽しみにしたものです。
お衣裳もレクイエムは結構変遷したような記憶があります。最初は胸元から腹部にかけてのフリル部が長くて緑色だったところからレタスだのワカメだの言われていたのが懐かしいw
こちらの振り付けは宮本賢二先生でしたね。楽曲を見つけて来たのも確か賢治先生でした。こちらは完全に“鎮魂の舞”。
(詳細は以下のリンクに詳しいです)


MEGALOVANIA〉『UNDERTALE』というゲームから着想を得たプログラム。このプロによって羽生君がどれだけゴリゴリのゲーマーだったかを一気にファンの中に浸透させたものでした。
テーマは“スピンのみで魅せるプロ”。それを考えた時、MEGALOVANIAしかないと思ったと話していました。冒頭のスケートの音だけで世界観を魅せるアイディアに唸りました。大好きなプロ。
初お披露目はたまアリでの『RE_PRAY』。初日の世界配信では兼オタ(ゲームファンであり羽生ファンである)の方の説明から口伝にゲーマーの方に広がり、それと同時に『エストポリス伝記Ⅱ』のファンの方々もがぶりよりで刮目して一気にゲーマーの皆さんの心を鷲掴んで離さず、今ではゲーマーさんの中でも相当数の方(ライトから沼落ち迄含める)に羽生ファンがおられるのではないでしょうか。
エストはあのEDが最強の説得力を発揮しましたね。
メガロは無音のスピンのシーン大好物です。ですから一番理想的なのはたまアリ初日の観客。真っ新な状態で見守ったからこそ、沈黙の中でスケートの摩擦音だけが会場内に響き渡り、それはそれは爽快で美しく洗練された瞬間でありました(この後もこうあって欲しかったな…)。

同じく〈いつか終わる夢〉もゲーム、それも人気の高いFFシリーズ10からのもの。
『RE_PRAY』という ICE STORY は、ベースがゲームという設定もあり、FF9から〈破滅への使者〉も使われ、そこにもゲームのキャラクターが3Dで出て来たが如くの錯覚を覚えさせるような衣裳と振り付けと内容で、数多のゲーマーさんの解釈がとても興味深く勉強させて頂いています(進行形)。

羽生君は自分が触れた物事に対して(それは人でも物でも分け隔てなく)常に誠実でリスペクトに溢れています。
1つとして無碍に扱う事はありません。

Danny Boy〉先日も触れた『おげんさんのサブスク堂』でお源さんが「人生の一曲」としてキース・ジャレット版を紹介し、それを「浴衣でなければ踊ってる」と羽生君に言わしめた楽曲。頭の中では“演じてる自分を観客目線で視ているもの”でした(本人談)。キース・ジャレットのことについてはきっとこのサブスク堂の後に羽生君に沢山のお話をお源さん自らメールなりなんなりでされたのだと思います(そう話してましたからね)。
ですがこんなに早く羽生君が自身のプロとして世界に向けてお披露目されるとは夢にも思っていなかったものでもありました。
ですので、お源さんからレクチャーを受けた後、自身でも相当調べたと思われます。彼は徹底して追及する人ですから。
そのダニーも大変リスペクトに溢れたプロでした。

余談ですが、ダニーを演じた時のヘアスタイルももしかすると時代を踏襲したものかもしれないとTwitterで知り、有り得ると大いに納得したものです。

先の記事(「 nottestellata から RE_PRAY へ」)でコメントを頂いたのをきっかけに(ありがとうございます❣🙏❤)、遅ればせながら私もキース・ジャレットについて調べてみたのです。

バイオグラフィ・日本との関係の文末に

聴衆に高度なマナーを求めることでも有名で、2005年の東京公演ではコンサートを一時中断して説教をする一幕もあった。2014年の大阪公演においても演奏を一時中断している。

キース・ジャレット - Wikipedia

とあり、この部分をより詳細に知りたく更にググったのがコチラ。

キース・ジャレットのライヴ演奏は、観客の声出しや拍手・着信音など、とにかくキースにとって「雑音」となるものは厳禁というルールがあります。

事実、過去には観客の咳や指笛などを理由に、演奏を中止、そのままコンサートを強制終了してしまったというケースもあります。その姿勢は、60歳を越えても変わらず、2014年には大阪で行われたコンサートでも、演奏を中断してしまうということもありました。

「たかが咳ぐらいで演奏をやめるなんて」と思う人もいるかもしれません。ですが、これは傲慢ではなく、キース・ジャレットの「何もない、静寂の中から音をつむぎ出して即興演奏をする」というスタイル故のものです。

だからこそ観客も、キース・ジャレットが「何もないところから音をつむぎ出す」という現象を作りだすのを見届けるためには、どれだけその演奏に感銘を受けようと、拍手はしてはいけない、声援を送ることもありません。

「キースの演奏のみが聞こえる空間づくりをして、キースにインスピレーションが降りてくる環境を演出する」こそが、観客にとっての、キースに対する最大のマナーと言えます。

つまり、ライヴ音源におけるキース・ジャレットの演奏は、「見えないところで、観客もキースと一体となり、最高の即興演奏を実現するための空間づくりに協力している」という一体感も味わえるのです。

ジャズにおける完全即興を極めたキース・ジャレットの演奏3つの魅力 | スガナミ中古ピアノ (pianoseed.com)

このエピソードを読んで震えました。
お寄せいただいたコメントにも『 nottestellata2024 』の〈Danny Boy〉がキース・ジャレットの演奏だったなら、観客側に演技上羽生君が寄った際にあげられた黄色い悲鳴一つ上がった時点で強制終了となっていたかもしれないのだと。

先の記事で私はこう書きました。

これまでのパターンからして、初日で異常な歓声が沸き起こって二日目・三日目には初日の状態に苦言を呈する事によって沈静化されていくのです。

正直私としては「いやもうそろそろ学んでくれよ」と思います。

nottestellataからRE_PRAYへ(3/29加筆)|蒼穹 (note.com)

羽生ファンの幅広さが災いしてるのかどうか分かりません。
海外のファンダムには羽生君の記事が上がると瞬く間に翻訳され海外のfanyuへと拡散されます。アンチの動向然り。
そういう状況下で羽生君が演じる際のマナーだけが拡散されていないとは考えにくいです。
やらかした後、苦言にはちゃんと聴く耳をもっておられる。(国内海外問わずファンへの言及です。念の為)
だとすれば、あの場違いな悲鳴/奇声はなんなのか。

いまは羽生君の単独アイスショーへのマナーが構築される過渡期なのかもしれないとご意見頂き、なるほどと思いました。確かにそうかもしれない。
だとすれば、一刻も早く「場違いな悲鳴/奇声は上げず静かに演技を見守る」というのがベースになる事を願います。

まずは『RE_PRAY宮城追加公演』 が要注目でしょうか。
今回も大楽がライビュやCS放送となるので、初日の状況は現地に赴いた方々の感想頼りとなります。後日CS放送で確認するという流れ。
ですからこれまで通り、初日奇声があがり窘められ二日目の大楽で沈静化するのか、それとも横浜初日の酷さを千秋楽では控えた(とは言っても、私からすればまだまだ足りない)状態となるのか。『nottestellata2024』では 『RE_PRAY横浜』の事象はリセットされてしまっていましたから結構、悲観的です私は。

「一刻も早く」と私が言及するのは他でもない。
そう遠くない未来に羽生君が演じる姿を見られなくなる事が確定されているからです。
羽生君はこれまでのスケーターとは比較にならない活躍を見せてくれています。プロとして、アマ時代以上の輝きを放つスケーターがこれまで何人存在していましたか。
それなりの認知度、それなりの表現力でそれなりのショーを熟し、試合ではそれなりの解説をしているプロスケーターは沢山います。
でも彼・彼女らとは全く違う道を羽生君は歩んでいます。
だからこそジャンルは「フィギュアスケート」ではなく「羽生結弦」なのです。
そのジャンルとして活躍できる期間は限られています。
その限られた時間を余す事無く彼の演技を十二分に堪能したい。
これは切実な願いです。
悲鳴/奇声を上げる人はそれで満足でしょう。でも大方の方はその人のお蔭で大層な迷惑を被っているんですよ。口にする人は多くないけれど、思ってる人は少なくないと私は思っています。

キース・ジャレットは自分自身の行動で「演奏中は決して咳1つしてはいけない」というルールを聴衆に叩き込みました。
対して、羽生君は決して思っていても言う事は恐らくありません。
言うとしても前回の記事で書いた様に優しく言うか、遠回しな言い方で相手を傷つけないよう細心の注意を払って言及するでしょう。

だからそうじゃなく。

羽生君の事を応援するファンがもっともっと積極的に啓蒙しなくてはいけないのかもしれません。
かたい事を言うなと思われる人もいるでしょう。
そういう人は羽生君の演技を台無しにされても許せる人なのですねきっと。
私は違う。
苦々しく思い、そういう人を厭います。
公に口にする事は余り多くないかもしれないけれど黙ってはいないと思います。そういう性分なので。
ここは私の📒なので、忌憚なく綴っています。

どうかキース・ジャレットの演奏時の聴衆の様に、羽生君の演技を観る時の観客にも同様のマナーが徹底されますように🙏
あらゆる対象をリスペクトして已まない羽生君を、私たちファンはリスペクトするべきなのだから。


【 補 足 】(4/2)
上記で一部引用しましたが、こちらの記事を書くに至った前段階の📒のリンクを改めてここに貼っておきます。もしもこの記事で「❓」と思われた方がおられましたら、こちらをご一読頂けたらたぶんご理解頂けるかと。