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森のようちえんのこと

『学び合い』直江津の会

今日は「森のようちえん てくてく」のお話があるとのことで、行ってみることにしました。

会場に行ってみると、参加者としては私が一番のりで、園長のKさんが既にいらっしゃっていました。私を見るなり「!!!!!」な感じ。
Kさんは有名人なので、私は前から存じ上げていましたが、私のことを覚えていてくださったなんて、始まる前から嬉しい気持ちになりました。

実は、2人とも若い時から、ちょこっとずつ接点がありました。

初めて互いを認識したのは、たぶん、佐渡汽船の中だったと思うのです。(と、Kさんに今日言ってみましたが、彼女は覚えてらっしゃらない様子でした。)
鼓童のアースセレブレーションに行く佐渡汽船の中で、Kさんを見かけて、私から声をかけたのかどうなのか・・・とにかくお互いに言葉を交わしました。若くして、とっくに学校を辞めていたKさんが、カッコよく見えました。

その後もちょくちょく、なにかしらのイベントで顔を合わせていました。

とある屋外でのイベントの時。どういうイベントだったのか忘れたのですが、私が仲間とやっていた「パーカッションアンサンブル」に依頼が来て、その屋外イベントで演奏することになりました。

Kさんはスタッフだったので、私たちの演奏を遠巻きに見てらっしゃいました。

が、演目がスティーブライヒの「木片の音楽」になった時。
これはライヒのミニマル・ミュージックの代表作で、5人で、各自が手にする木片を打ち鳴らすだけの音楽です。が、5人それぞれが少しずつズレたリズムを打つため、奏者側はとても神経を使います。

とはいえ、1人分としては決まり切ったパターンなので、波にのっかってしまえば大丈夫で、5人それぞれのリズムが噛み合うと、アフリカの奥地にでも行ったかのような心地よい空間が広がります。

その「木片の音楽」を演奏しはじめると・・・!
遠巻きに見ていたKさんが「じりっ、じりっ」と、だんだん私たちに近づいてくるのが見えました。気がつくと最前列で、かぶりつきで私たちの演奏を聴いてくださっていました。

そんなKさんとの、久しぶりの再会でした。

森のようちえん てくてく

私は今の公教育には「不自然」が渦巻いていると思っています。子どもたちが「自然」に振る舞えるような環境を夢見ていて、それで長野の風越学園を見に行ったり、「ゆめパのじかん」や「夢みる小学校」みたいな映画を見て憧れていたりしていました。「遠い地には、こんな環境があるんだなあ・・・」と。
でも、そういえばこんなに近くに、こんな教育の場があったんだ!と思いました。「森のようちえん てくてく」のことは、もちろん以前から知っていたのだけれど、ちゃんと話を聞くのが初めてだったかもしれません。

Kさん自身が楽しそうに、ゆとりがある感じで、子どもたちの様子を、目を細めながら愉快げに語っていました。ここには「自然な空間」があるんだな。

若い頃から信念をもち、デンマークの「森のようちえん」を見て「これだ!」と思い、日本でも、上越市でもできるはずだ!・・・と実現しちゃったKさん。相変わらずカッコいいよなあ!と思ったり、ちょっとうらやましくも思ったり。そこに広がる自然な空間で、自己選択・自己決定しながら暮らす子どもたちのことをうらやましく思ったり。

今日のお話の中で印象的だったのが、
「みなさん、森のようちえん、って聞くと、自由なことばっかりやっているんでしょ?って思うでしょ? でもね、この幼稚園から小学校へ上がったお子さんの中には『小学校の方が、ラク!言われたことをやっていればいいから!ようちえんの時は、自分で考えて、自分でやってみないといけなくて、大変だったー!』っていう子がいたんです。」
と、笑いながらお話されたこと。

そうだよな。私たちは善意で、子どもたちの先回りをして準備をしたり、手伝ったり、助けたり。それが子どもたちの主体性を奪ってしまって、結局は子どもたちもシラけているのかもしれません。
うまくいかなくても、失敗しても、「自分でやってみる」ということの積み重ねは、体験でしか得られないことです。

こんなお話を聞きながら、学校での自分の立ち位置を省みたりもしました。

いい感じで心をゆさぶられ、いい感じで刺激を受けました。
いつか見学に・・・いえ、サポーターとして行ってみたい!と思いました。

スティーブ・ライヒ

そして、あの時「木片の音楽」を演奏した仲間のことも思い出しました。
すりこぎや、ホームセンターで買った木材だけで演奏しました。

5人、息が合わないとダメで、ちょっとでも気が緩んで崩れると、共倒れしそうな音楽。でも私たちはよく気が合っていて、お互いに心地よくリズムを絡み合わせていたと思います。

この曲で「室内楽フェスティバル」にも参加し、当時、企画コンサートで知られていた、御茶ノ水の「カザルスホール」でも演奏。
この時の様子が、作曲家の池辺晋一郎さんのNHK-FMの番組でも取り上げられ、私たちの「木片の音楽」がオンエアされました。

あの時のメンバーで、また「木片の音楽」を奏でてみたいな。
そんなことも考えながら、帰りました。

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