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改・「60おっさんのタイからラオス・初めてのバックパッカー1人旅」 note版

〜グイッと惹かれてしまった濃密なドンデッドという所
No.14


チンピラ風兄ちゃんの指示で、女性に案内されたお部屋。

シンプルに立て付けられた空間に、
ビッグなダブルベッド。
天井に吊るされたどデカイ、扇風機。
トイレ&シャワールーム。
小振りのテラスにベンチ。
窓外はリゾート風、景色。
もう満足!
で、日本円で1300円ほど、言うことなしよ!

先ずは、シャワーを浴びる。

次に、ラオビール(130円)を飲みに、
チンピラ風兄ちゃん経営者のバーへ行く。

ところが、チンピラ風兄ちゃんは、
開店休業状態のようだ。
すでに、何処からか集まって来た、
似た者同士の仲間たちとワイワイガヤガヤ、
ビアーを煽って楽しんでいる。

そこへ、僕。
「ビアープリーズ」

チンピラ風兄ちゃんが、足元のケースからビール1本を取り出し、
栓を抜き、グラスを渡してくれる。
「そこ、座れよ」
と、仲間の中に招き入れると、氷が漂っているボックスを指し、
「使ってくれ!」
と声を掛ける。

僕は、氷無しでグラスに注ぎ、呷る。
「ああ、旨い」
ホッとした。

間髪入れず、チンピラ風兄ちゃんが、
「次の1泊は80000Kipにするよ。どう、もう、1泊?」
上手い、さすがだ!
見抜かれたか?

僕は、この時点で、すでに2泊にしようと思っていたので、
すかさず、了解。
「OK!」
80000Kip渡す。

でも、こんな感じだったら、75000Kipぐらいに値切っても良かったかも。
多分、あってないようなものかもしれない。
こういう事に慣れてないことに、小反省。
日本と比べて物価が安いからすんなりOKしてしまうんだよな。


突然、始まった感の酒盛り。
ビールをガンガン飲んでいるチンピラ風兄ちゃんたち。

推測。
多分、僕の宿泊代が入ったから、
急遽、その場でガンガンしているんだろうな。
なかなか、やるな!チンピラ風兄ちゃん。

そして、言うことに、
「この1ケース無くなったら、もう、Beerナシ。
明日の午前中まで来ない!」
と気楽なモン。

『ようやるわ!』

しばらくは、彼らの会話を耳にするが、さっぱり意味不明。
ただ、弾ける笑顔から、とっても、楽しんでいることだけは判る。

僕は、日本から来た事を告げ、カタコト&ジェスチャーで
「ここから、フェリー乗って、ウボン(ウボンラチャターニー)までのチケットってあるの?何処かで売ってるの?」

仲間の一人が、
「アルアル。ナカサン、ナカサン」
と何度も繰り返すけど、サッパリ判らず。

その彼が、
僕の顔とチンピラ風兄ちゃんの顔とを、交互に見合わせ、
「ワンハンドレッド、ワンハンドレッド。アルアル、ナカサン」
と、チンピラ風兄ちゃんに示し合わせようとしている様だった。

ワンハンドレッド!?ふっかけ値段。
100万Kipと言っているんだろう。
本当は、ほぼ10万Kipのところを・・・。
10倍の値段を叫んでいた事になる!
よくある事かもしれないな・・・。

でも、なぜか、チンピラ風兄ちゃんは、
同意もせず、乗り気のない、
あやふやの顔を僕に見せていた。

先ほどの、連泊させようと僕を落とす時のような、
必死な顔ではないんだよな。

どこか、嘘はイケナイよってな顔。

さすが、チンピラ風兄ちゃん!いいヤツなんだ!
そら、そうだよな、経営者だもんな!
そして、この話は、なんとなく流れ消えていく。

こんな風に、彼らに入っていけたことはいいもんだ。
悪くない。
陽射しの強い、真昼間から、一杯飲んで、ほろ酔い気分。
最高だ!!

赤シャツがナカサンと言い続けた男で左隣の白シャツがオーナー

しばし、休息して、
フェリー船着場までブラブラ歩く。
30分ほど掛けて、観光客相手のオシャレなバンガローやビアバー、
素朴な宿、雑貨屋に挟まれた土塊のガタガタ1本道をのんびりと歩く。

1本道の脇に入る。
そこには、田畑が拡がっていた。
田舎だ。


裸足の小さい子が駆け廻っている、一つも二つも昔の時代。
だけど、スマホ片手に、日本でいう小学5、6年生くらいの子が、
二輪のバイクをビュンビュン、ぶっ飛ばして行く。
ガタガタ1本道を。
素早く移動できる貴重な交通手段なんだろう。
『警官はいるんだろうか?まぁ、いいや・・・』

売れている店、売れていない店。
観光客相手のリゾートとしての島。

そして、耕す畑。
半農半Xの地をプラプラ歩く、ホンとプラプラと・・・。

歩くことで、
何か自分の感性になかったモノが見つかるとでも思っているのか。
そんなことで、
たやすく人生を左右する何か”道”なるモノと出会うのか?

そして、自分が一つワンステップ上になる、
または、ひと廻り大きく成長するかもしれない、
何かモトネタでも見つけて、
やがて、
年月がそれを花開かせ、
いつの日か、最後に、
自分を輝しく見せるようになる日が来るのか・・・。
それを、期待しているのか?

多分・・・そんなもんはありゃせん!


僕の目の前には、
僕が小学2年生の頃、
友達とヤンヤヤンヤと遊んでいた、
あの素朴な、服の汚れなんか気にしない、
気の向くままの大ぴらな子供たちがいた。


その奥では水牛、ヤギが草を喰み、
遠くではお母さんが水田に肥料を播いている。

太陽の光と水と緑、そして大地。
そこに溶け込む子供と動物。
彼らは、私をチラッと窺うだけで、
引き続き、窺う前の行動に戻るだけ。

フェリー船着場へのメインストリート、
ガタガタ1本道を外れると、
土と水と田畑、
植物と動物、
太陽と空、
そして、そこに暮らす人々だけだ。

ガタガタ1本道を外れると、
都市文化、テクノロジー、科学の匂いはまったくしない。

ーーータイムスリップ。

ずーっと昔からの匂い漂わせる島の人々と、

僕ら観光人相手にスマホ片手に商売する島の人々。

表の顔と裏の顔・・・。

そんなことを僕は思ってしまうが、
島の人は島の人、表も裏も何もなく、
僕が勝手に表と裏と思っているだけなんだろう。

でも、スマホの威力は凄い!
この島だって、フリーWiFiが普通に利用されている。
そして、今では誰もが持っている、必須アイテムみたいだ。
最新のテクノロジーと素朴な生活。

「ヘーイ!居るよ!」
誰かが声を掛けてくる。
「?・・・」
僕を荒っぽい運転で送ってくれた飛ばし屋兄ちゃんだ。
「アソコ・・・」
「!!」
AYさんがメコン川が目前に広がるバンガロー風のカフェで寛いでる。

店に入り、
「どうしてここに?」
「歩いていたら、彼に会って、呼び止められて。
この店もやってるんだって!」
「ああ、そう。彼、何者なん?」
「そうね、何モンやろね」

フェリー着き場と私の宿の中間くらいにあるカフェだ。

彼のお陰で再び、彼女と出会えたんだから感謝しないとアカンかな。
それとも、まぁ、こんな狭い所だし、
互いに散歩すれば会うよな!ってことかな。

「で、宿は、あれから、もっと奥にあったの?」
「違うの!あの人、間違っててさ・・・、実はさ、船着場に着いた時、
すぐ、真ん前、歩いてたみたいなのよ。見過ごしちゃったみたい・・・
えへっ!船着場からすぐだったのよ」
「ふーん、そうなんや」
「どんどん進んでいっても、全然、ないからさ・・・、
あの子、気がついたのかな。だから、戻ってみたら、あったのよ」

僕は席に着き、ビールを注文。

若けりゃ、旅で出会った、トキメキデートなのになぁ・・・と、
妄想し、メコンの黄土色の水を眺める。

いい気分だ。

こんな事は日本に居てたら味わえない。
しかも、こんなシチュエーションで!
メコン川の色と音と匂いを感じながら。

フェリー船着場方面へ、
AYさんと連れ立って歩き、お土産屋を物色。

「何か、おみやげは・・・?」
「娘2人に。このパンツ、いいかなぁって・・・」
「いいんじゃない。そうね。私も買おうかな」

私は象模様の紺と緑のパンツを2枚買った。
45000×2を8000Kipで購入。
彼女もオレンジイエロー系のパンツを買ったようだ。

「ウボンまでのチケット、買っときゃなね!」
AYさん、察したのか!
英語もままならない私に代わってチケット屋で彼女が対応。

「ウボンまである?」
「10万Kip]
「フェリー込み?」
「フフン」
「どこから乗るの?」
「この先の船着場!」
着いた船着場の方向を指す。
「そこだけですか?他には?」
「OK!もっと、こっから奥に入った所にアル!」
「どの辺?」
「OK!だったら、どこ、泊まってるんだ?」
「Mr Tho's Bungalows」
「OK、そこから2分ほどの所に船着場がある。
そこから乗るといい。OK?」
「うーん。あったかな・・・?」
不安だ。
「アルアル。スグワカル。10:40分には来てくれ」

AYさんのおかげで、ウボンラチャターニー行きチケットをゲット。
これで一安心。

明日の彼女の予定を聞く事もなく、礼を述べ、
「ジャーネー」と別れ、
ビールを買って、宿に戻る。

シャワーを浴び、ゴロリとするなり、寝てしまった。
再び、起きたのが午後9時頃。

『そうだ、昼抜き、晩御飯・・・』

チンピラ風兄ちゃんの店を覗くが誰もいない。
その前後、歩くが店なんか開いてなさそうだ。
当たり前だ。
夜の9時。
ここの島の人は健全だ。寝ているんだ。
仕方ない。

夕飯抜きで、
グーーーッ・・・と眠りに入る。
『腹、減ったー・・・』


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