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改・「60おっさんのタイからラオス・初めてのバックパッカー1人旅」 note版

〜ドンデッドをあとに・・・1人、ミニバスに乗る。
No.18

6月24日(日)、10日目

部屋の前で、
牛が草を食んでいる。
『こういうトコなんや・・・』

『で、無事に船着場で舟に乗り、
ウボン行きのバスに乗り換え、
国境を越え、タイに入り、
パタヤー行きの深夜バスに乗って行けるんだろうか?』

不安を抱き乍ら、
チンピラ風兄ちゃんに別れを告げ、
握手してチェックアウト。

心配なので船着場に早めに行き、
様子を確認。

当然乍ら、誰も居ないし、
フェリーの気配もしない、
船乗りらしき人も居ない。
閑散とした雰囲気の中、
殺風景な掘建小屋と
川に係留している生気のない細長い木造船が漂っているだけ。

『ここでいいんかいな・・・?
今から走って、着いた時のフェリー船着場に行った方が正解かも・・・』
と胸騒ぎ。

午前11時、発。
なのに、すでに、10:50分。
誰もいない。


すると、
『!!おお、観光客のカップル、来た来た。良かったんだ!』

引き続き、もう1カップルが来て、ホッと一安心。

そんな中、
朝、チンピラ風兄ちゃんが紹介してくれた男が、
(実は彼がこの船の船乗りだから間違いないと紹介していたらしい・・・と朧げになんかそんな事言っていたなぁと浮かべる)
やって来て、挨拶して、乗船。

「!?!?」

ホンと、コトバさえ判っていたら、
全く悩まず、不安になる必要はなかったんだな、
と躓くたびに思う情けなさだった。

この舟は、ここからナカサン(陸の到着点)に、
向かう別ルートなんだ。

チンピラ風兄ちゃんが紹介してくれた船乗り

褐色の川面スレスレを進む中、
ドンデッドの風が身体の火照りを和らげ、
日本を出てから随分経ったなぁと、
オッさんは感傷的になったりもした。

ナカサンに着いたら、
来た時の逆、
あのバスの乗降場所まで酷暑の中、
10分ほど乾いた土道を歩く。

各行き先(目的地)のまとめ役らしき若い男が怒鳴っている。
「パクセー、パクセー・・・」
地名を、声荒げて、叫んでいる。

吹きさらしの広場の片隅に
小さなチケット受付場所だけがある、
殺風景なバスターミナルである。

そこに群れる私たち観光客。

小さな窓口に、
チケットを出し、
正規のバスチケットと交換する。

私もチケット(というか紙片みたいなモノ)を出し、
「ウボン!」と渡す。
バスチケットと交換してくれた。

その時、
隣の長髪の男が、
「Where are you from?」と聞いてきた。
「Japan」。

長髪の男は、
後ろに居るもう一人の若者に、
「Japan」と伝える。
陽に焼けて真っ黒なその若者は、
「僕も日本からです。彼は韓国です。
で、日本の・・・?」
と僕にニコニコと問いかける。
「京都です」
「僕は北海道です」
「そうなんだ。で、どのくらい居るんですか?」
「3週間目に入りますかねー」
「ほー、凄い」
「一月くらい居るつもりなんです」
「そちらは、どれくらいの旅ですか?」
「2週間の予定です」
「そうですか。でも、ここで会うなんて、ドンデッド居たんですね!」
「ええ、そう、2泊です」
「今から、どちらへ?」
「ウボンです。そちらは?」
「パクセーです」
「そうですか。僕はパクセーから来たんで、次はウボンに行きます」
「僕はルアンパパンからドンデッドに来て、今からパクセーへ」
「そうですか。ルアンパパン、良い所らしいですね」

真っ黒な北海道の若者は、
『いい時間を過ごしてるんだ!』
と言わんばかりにニッコリ白い歯を浮かべる。

昨日、AYさんと別れたばかりなのに、
またまた、出会った日本の若者。
『どういうこっちゃ?』

と会話を楽しんでいるところへ、
まとめ役の若い男がやって来て、
行き先を確認する。

すかさず、北海道の若者が流暢な英語で対応。
流石である。
『こうでなくちゃなぁ』と、関心していた僕に、
まとめ役が聞く。
「どこ?」
「ウボン!」

「パクセーはあっち。
ウ$%ンはあっち・・・#$%&’#”!」
僕は、聞き取れないし、意味解らず、
再度、
「ウボン?」
「だから、あそこ・・・ウ#$%&’#”!」
「ウ#$%&’#”・・・?」

北海道の若者が助け舟。
「向こうの集まっている所です。
あの止まってる車の所。
僕はこっちなので」
と、もう少しお話ししたかったなと思いながらも別れた。
彼は、
「良い旅を!」
と元気な声を掛けてくれた。

この文を書き乍ら、
『そうだよな、あの時、一緒に、
彼らと1日ほど同行しても面白かったかもなぁ。
それが旅だよなぁ』
と思うが、
そんな柔軟な頭は持ち合わせていなかった。
次の目的地が頭にこびり付いて、
そのことにしか目がいかなかった。
残念である。
もし、次の機会があるんならば肝に銘じておこう。

集まった外国人観光客の所で、
人員整理している運転手の横で
例のまとめ役の若い男が、
どこかの都市名を怒鳴っているが判らない。

僕は「ウボン、ウボン!」この単語だけが頼りで、
夢中に「ウボン、ウボン!」と発するが、
煙たがられ、曖昧な返事が返ってくる。

余計に心配だ。

なので、引き続き、
必死に「ウボン、ウボン!」と執拗に纏わり付く。

こんな行動をして、
やっとの事で、
このバスは確かにウボン行きに間違いないと判り、
ハイエースロングタイプ(ミニバス)に乗車してホッと一息。

この時は、ホント大変だった。
移動する為の大切なミニバス1つ乗るにしてもだ。
胡散臭そうな口だけのまとめ役の若い男。
それは、外国映画で見るような、
僻地の捌き人みたいで、
人を適当に振り分けしている”それ”みたいで、
ホント、不安で、心配だった。
さらに、AY さんとも別れて、たった一人である。

しかし、尚、且つである。
座った座席では、
容易に体勢も変えられず、窮屈で最悪、
息苦しく、しんどかった。
ミニバスの中の悶々とした時間。

最後部、
左窓側の席で、隣は恰幅のいい西洋人、
真後ろは私たちの旅の荷物で溢れている。
そして、手元のキャシュは1000Kipだけ。
『13円か?』トホホである。
(いざとなったら手持ちのTHBはあるが・・・)
1000Kipでは水も買えない。

「早く、タイへ入りたい!」

悶々としていると、
休憩らしく、
車は行きに寄った所に入って行く。
定番のコースなんだろうな。

早速、私はトイレへ。
『!?丁度、1000Kip。
要るんやなぁ、チップ。
よかったよ、持ってて』
馬鹿にはできん、有難や〜。

見張り番の手伝いをしてる幼い子に1000Kipを渡し、
立ち並ぶ広いトイレに入って行く。

休憩終了、出発だ!

ここで、何故か、私だけ・・・、
隣に、停まっていた、
別のミニバスに乗り換えさせられる。

ここは、何台かのミニバスが停まっていたことから、
中継地点で目的別、乗員整理をする所なのかもしれないのか、
たまたま、仲間がいて、そういう段取りになったのかは、
また、最初からそういう手ハズだったのかは判らない。
だって、ペラペラの紙一枚のチケットだけだもんな。
それとも、スマホでやりとりしてるのかなぁ。
不明であるが、今となれば、気になる。

しかし、その時は、ラオスからタイへの入国、
そのことだけで頭が一杯一杯やったもんな。


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