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【ライブレポ】転校少女* Starry Night 2マンスペシャル(出演:サンダルテレフォン)

11/19(金)、華金の夜に渋谷・Space ODDにて4人組アイドルグループ・転校少女*と、同じく4人組・サンダルテレフォンの2マンライブが転校少女*主催で開催されました。

曲とパフォーマンスが抜群に良いという点では両グループともに親和性は高いのですが、不思議と関わりはこれまで薄かったです。
というか全くありませんでした。

狭いライブアイドルの世界、同じくらいの規模感のライブハウスを主戦場にするグループであれば対バンライブが組まれることも頻繁にあったりするものなのですが、同じフェスに出演することはあってもステージをともにすることはありませんでした。
おそらくメンバーにとっては、もう一方のグループと喋ることすら初めてだったのではないでしょうか。

僕としては、これを機に仕切りが外れて両グループの対バンライブがたくさん開催されれば良いなと思っているのですが、残念ながら転校少女*は来年2022年1月をもって解散してしまいます。

松井さやかさんは、両グループのパフォーマンスが終わってステージ上でメンバー全員が対面した時、こう言っていました。
「次またご一緒できるように頑張りますので!」

グループとしては残り2カ月を切っていますが、せめてもう一度くらいはステージを分かち合う姿を観てみたいところです。
あるいは転校少女*メンバーのこれからに共演の未来があるのかもしれません。
そんなことを望みながら、ライブレポートへと入っていきます。

最初のステージは、ホスト側の転校少女*です。

転校少女*

◆セットリスト
M1. ときめけ☆アフタースクール!
M2. WONDER WAVE!
M3. Step By Step
M4. ショコラの独白
M5. 無限大少女∀
M6. Girl*s Time

メンバー4人ともに穏やかな表情が印象的でした。
口角はゆるやかに上がり、いっぱいの笑顔というよりも、ライブの緊張感からは少し離れたところで見せるような感じで和らいでしました。

MCコーナーでは、来年1月16日にZepp Hanedaでの開催が決まっている解散ライブのことをお知らせしていました。
そのときの口調には、最後という単語がのしかかった重々しさを全く感じませんでした。
一つのイベントの告知に過ぎず、まるでその先の2月からもなにかしら予定があるかのような感じです。

解散の2カ月前、つまりこの11月なかばからは公式ツイッターでは「解散まであと●●日」と、日ごとに減っていく数字とともに舞台裏のメンバーを切り取ったショットをアップしています。
グループ名の後ろにも、解散までの日数がカッコ書きで書いてあります。

こうした様子を観ていると、グループとの別れを悲しむ段階はすでに通り過ぎ、受け入れていくとともに最後の想い出を作っていくという段階にきているのかもしれません。
波風立てず、穏やかに残りを過ごしていこうという感じでしょうか。

ツーマンライブなので転校少女*目当ての方ばかりではありません。
サンダルテレフォンとフロアのお客さんを分け合うということになります。
袖ではサンダルテレフォンメンバーが観ていたそうです。
それらを意識しなかったわけではないでしょうが、気負わずにただ音楽を楽しんでいることが伝わってくるような雰囲気が全体に漂っていました。

自然体な姿勢は、爪痕を残そうという意気込みよりむしろよくグループをみせることがあります。
1曲目「ときめけ☆アフタースクール!」を披露し終えてからの曲の区切りでの拍手は、これまで聞いたなかでも特に大きく感じました。
最後の「Girl*s Time」など、松井さんが冒頭で「Clap your hands!」などといつも通り煽るのですが、それを言うまでもなく伴奏からの拍手の音は初めから大きかったです。

転校少女*のボーカルには、刺さるような鋭さがあります。
夢に見たツーマンライブが始まってフワフワしていた感覚が現実に引き戻されたのは、塩川莉世さんの歌声を聴いたときでした。

この日のフロアには100人もいなかったと思います。
70人弱とか、そんなものでしょう。
Space ODDはフロア面積自体は広いものの、ドリンクカウンターのある半分から後ろのエリアは下手側がPAで塞がれており、ほとんどがPAより前のエリアに固まることになります。
広さのわりに人が密集していましたが、塩川さんの歌声はそこに吸収されることもなくフロア奥までたどり着きました。
無抵抗の大理石か氷かの上をすべるかのように、聴く人の耳にまで届いてくるのが塩川さんの歌声です。

佐々木美紅さんと成島有咲さん。

オリジナルメンバーではない二人ですが、このふたりの歌声も加入時よりはさらに転校少女*仕様になってきている感じを受けます。
声の出し方は高めに引っ張られるようで、「Girl*s Time」の時など伴奏のベースの低音を際立たせます。
歌い終わりの語尾を少し上げるという、独特の余韻は「ショコラの独白」のような、落とす曲で効いてくる感じがしています。
佐々木さんは、マイクへの歌声の乗りが格段に良くなったと感じます。
強力な歌声の松井さやかさんや塩川さんにはパート割の数ではどうしても劣ってしまいますが、任されたパートでの存在感でみると負けていないのではないでしょうか。

最後に、松井さやかさんです。

WONDER WAVE!」のラスサビで、4人は一列に横並びになって歌いました。
松井さんは上手から2番目の位置に居たのですが、隣同士だけでなく一番下手の塩川さん(恐らく)も加えて全員をまんべんなく見つめていたのが印象的でした。

ライブ後のMCでも、松井さんはいつもの安定感で2グループのトークを繋いでしました。
この日披露されたサンダルテレフォンの「SYSTEMATIC」が良かったとコメントした上に、翌日のツイートでは早速サブスクで聴いている様子をスクショで上げていました。
MCでは「曲聴きますね!」と言っていましたが、本当に即実行するのはすごいことです。

今回の見出しに使わせてもらったのが、公式アカウントが上げたこの日の舞台裏の画像です。
Overtureが流れ、出てくる直前に組んでいた円陣の様子なのでしょう。
結成から7年間、塩川さんとともにグループを引っ張ってきた松井さんの笑顔がすごく良かったです。

サンダルテレフォン

◆セットリスト
(中盤の記憶がかなり曖昧のため、順番が違うかもしれません。
つくづく、セトリを上げてくださることへのありがたさを感じます。)
・Sleeping Beauty(Remix)
・Step by Step
・SYSTEMATIC
・Magic All Night(intro mix)
・ワンダーランド(Remix)
・コーリング(Remix)
・かくれんぼ

転校少女*が30分間で作った空気が変わったのは、メンバーがマイクをとって歌いだしたときでも、イントロが鳴って踊り出した時点でもありませんでした。
SEが流れて登場し、スモークに囲まれて暗めの色に覆われたステージでフォーメーションを取ったまま待っているたたずまいを見たときからでした。

この日は藤井エリカさんが先頭に立ち、「Sleeping Beauty」のリミックスバージョンから始まりました。

場所がどこであろうと、サンダルテレフォンメンバーの目線はあちこちに、それもウインクなどの特典までつけて配られます。
体幹がしっかり鍛えられているのか、意図せず目が合った(ように思った)時も、フロアを見渡すときも変わらず表情が崩れていないところもすごいです。
ライブを終えた転校少女*メンバーは、地下1階の少し高くなったところから地下2階でのこのステージを観ていたそうです。
お客さんが居ないはずの上の方に目をやっている姿も時たまありました。

ライブが進むにつれて、夏芽ナツさんを筆頭に増していく全体のボリュームとは対照的に、小町まいさんの歌声は引いていくように落ち着いています。

「SYSTEMATIC」

転校少女*の活動に、あと二カ月というリミットがあるのは先に書きましたが、終わりを意識するのは西脇さんもでした。
西脇さんは今年いっぱいで夢を叶えるためにサンダルテレフォンを卒業します。
そんな西脇さん、表情は圧巻というものでした。
この曲でステージ中央から下手に移動するとき、何か考え事をしているような、心ここにあらずみたいな表情を作っていました。
見慣れない表情を目にすると、やはり何事かと注目してしまいます。

「Magic All Night」

この日も夏芽さんがフロアに呼びかけ、クラップから始まる長いイントロが流れました。
近づいていることを徐々に感じていきます。
見上げてみれば会場の天井にはミラーボールがしつらえられています。

「Magic All Night」が流れてくると、いつも他の曲とは違った感覚を覚えます。
何が他と違う感覚なのかと言いますと、伴奏が途端に聴こえづらくなるところにあります。
コロナ以降しか知らないので声は出せないのですが、フロアはあちこちで振りコピの波が立っています。
照明はカラフルに光り、見た目にも賑やかになっています。

目に映る賑やかさが音にまで変換されているのか、耳が押しつぶされたような感じがいつもこの曲にはあります。
転校少女*が刺さってくるようだと言うのであれば、サンダルテレフォンの場合は耳を通して感じる音、目に見える音が分厚い層になって押してくるような感覚でした。

「かくれんぼ」

この日の会場であるSpace ODDを出て並木橋交差点に向かい、直交する明治通り沿いを東に歩くと、恵比寿CreAtoがあります。
会場間の距離は歩いて15分くらいでしょうか。
CreAtoはサンダルテレフォンが月一回の定期公演をこの1年に渡って開催している会場であり、グループにとっては帰ってくるべきホームのようなライブハウスです。
このライブから2週間後にも定期公演が予定されています。

最後7曲目に披露されたのは、少し長めのイントロから始まる「かくれんぼ」でした。
いつもの定期公演でも、最後に披露されることの多いこの曲。
楽しい曲ではあるのですが、終わりと結びつけられることで感傷的な気分にもなってしまうところがあります。
CreAtoであれば、オレンジ色の照明が広がり、夕刻の空のVJが背景の3面スクリーンに映し出されるのですが、定期公演でもないこの日はそうした演出はありません。
ステージ後ろのスクリーンも、転校少女*の出番から真っ暗なままでうんともすんとも言いません。

しかし、頭の中に浮かんできたのはCreAtoの情景でした。
30分の間に収めないといけないので曲数は定期公演ほどではありませんが、ステージの流れは全くもって単独ライブのそれになっていました。

「ステバイ」

「Step by Step」という曲が、転校少女*とサンダルテレフォンとのどちらにもあります。
サンダルテレフォンの「ステバイ」は結構披露されているイメージなのですが、転校少女*にとってのそれはいわゆる「干され曲」で、あまりかかる頻度は高くありません。
サンダルテレフォンとの共演によって、同じ曲名つながりでセットリストに引っ張り出されました。

どちらの曲もともに、サビで手をあげたり横に振ったりとキャッチーな振付があります。
サンダルテレフォンは「立ち止まってなんていられない 道は続くよ」と上に指を掲げ、転校少女*は「準備はOK」と、右足、左足と順に前に出します。
一歩ずつ、道を踏みしめていくようなテーマで共通したこの曲でつながりを描きながら、実力派グループの対バンの幕は閉じました。

見出し画像:転校少女*公式ツイッター(@tenkoushoujo)アカウント画像


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