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【ライブレポ】BIT CONNECTION FES(9/5公演)

9月4・5日の土日に表題の「BIT CONNECTION FES ver0.0」が開催されました。
50組を越えるライブアイドルが集まり、USEN STUDIO COASTの屋内ステージと野外ステージの2ステに分かれてライブを行う大規模なイベントでしたが、合間にアイドル対抗のゲーム対決があったり、コスプレ・アニメコーナーが会場の一角に設けられたりと、通常のフェスとは一風変わった企画もありました。

フェス二日目、9月5日に行きました。
特に注目していた以下5組について書いてみます。

Pimm's

1 YES
2 Damage
3 SKY'S THE LIMIT
4 SUNDAY MORNING
5 うりゃおい。

Pimm’sは、端的に言いきってしまうと歌が非常に上手いです。
2週間ほど前に同じくSTUDIO COASTにて開催された「Hype Idol! Festival!!」のライブレポでもここについてはじっくり書きました。

この日も、後日観た配信でも、高音が難しい曲を辛そうな顔せずいとも簡単に出してしまう姿には圧倒されました。

声量はロックなグループの曲にも負けなく、勢いがあるのですが、終わったあとに残るのは耳鳴りではなく、ただただスッキリとした感覚です。

林茜実里さんは、放たれる歌声が破裂音のように聴こえてきます。
歌い始めはわりと静かだったり、軌道に乗った後の音量も特別大きいわけでもないのですが、例えるならスネアのように乾いた音は印象的でした。
ステージ上にはどこにもバンドセットなどないはずなのに、林さんの歌声からはスティックに弾かれて小気味いい音を鳴らすパーカッションの音色が思い起こされました。

小山星奈さんは、左目に眼帯をつけていました。
4曲目に入るとき、おっとりとした口調でこう告げます。

「ものもらいができちゃいました。だけど気にしません。だって今日は日曜の朝!」

最新曲「SUNDAY MORNING」へのレールが敷かれました。
この日は日曜、出演順が3組目と早かったPimm’sの出番は11時。ドンピシャです。

永遠によく似た今日だ 夜までに鍵がかかるよ

ステージのセンターに空間をつくり、小山さんと早川渚紗さんが向かい合ってお互いの歌声を確かめながらハモるところからこの曲は始まります。

後悔にバレないように キミの声で隠して

やがてふたりの声量の比重は変わっていきます。
主旋律を歌う小山さんのスイッチが入り、裏側にまわる早川さんに後押しされるようにボリュームが増していきます。
最後の「隠して」のフレーズを高らかに伸ばし、ロックサウンドの伴奏のなか、メンバー全員によるゴリゴリのダンスへと滑らかに移っていきます。

「SUNDAY MORNING」、前回のライブで初めてお見かけした曲ですが、今年出逢ったアイドルの曲でも屈指の曲だと思います。

歌詞を引くと、青い空を抜け、白い雲よりも早い風となって街を越えていく赤い自転車という描写はあざやかで、何でもできそうな休日の朝の気分がABメロを聴くだけでよみがえってきます。
しかしサビに入ると急変、歌詞は「隙間(こどく)を埋め尽くして」いき、明るくも切ないメロディーが主張し始めます。
メロディー乗せられ、不思議と出てくるのはどこかもの寂しい雰囲気です。
ここの雰囲気がとてつもなく尾を引き、何度も曲をリピートさせます。

「SUNDAY MORNING」はラストにかけ、転調します。
もともと最高音と最低音の幅が広く難しい曲なのに、ラスサビに入ると全ての音が半音ずつ上がり、その分難度も引き上げられます。
聴かせどころのメロディーは一つずつ階段を上っていくかのように、早川さん、小山さん、林さんへと奏で託され、林さんが最後のフレーズを歌い終わり、充実の表情で空を仰ぎ見たところで曲の幕は閉じました。

最後の曲は「うりゃおい。
アイドルのライブではお馴染みの「mix」が歌詞に入っていたり、曲名自体もコールとなっている、ヲタクアンセムのような一曲です。
メンバーが手にしたそれぞれのイメージカラーのサイリウムは身体の一部となり、腕を長く見せます。
サビで腕が振り下ろされたとき、光るサイリウムがステージとフロアとの距離を近くしました。
直後腕をくるくる回して「ロマンス」を打つ姿を見ると、きちんとレッスンを受けたアイドルが統率を取った動きをすると、ヲタ芸ですらこんなに綺麗な姿に見えるのかと感心してしまいます。

Pimm’sのおかげで、気持ちのいい「日曜の朝」を迎えることが出来ました。
本当はもう少し長く寝ていたかったですが、早く起きてPimm’sを観に行った甲斐がありました。


透色ドロップ

1 ユラリソラ
2 君が描く未来予想図に僕が居なくても
3 アンサー
4 ネバーランドじゃない

7月開催の「LEADING SUMMER」以来、2回目の透色ドロップでした。

このライブからメンバーのツイッターをフォローし始めましたが、例えば成海千尋さんなどツイート内容が独特で面白いメンバーが多く、まだ喋ったこともないのになにをつぶやいているのかをわりとチェックしてしまっています。

メンバーが着ている衣装は長丈ワンピースで、肌の露出が出来る限り抑えられています。
生地には、細かな三角形が多数規則正しく配置されて幾何学模様を成しており、三角形の各辺は青や黒、グレーに色づいています。
俯瞰で見ると、衣装は全体的にグレーっぽい色のように見え、メンバーがステージ上で緩やかにターンしたとき、なぜかシルバーのような光沢が浮かんで見えました。
衣装についた陰影がそう見せていたのかもしれません。

ライブに入ります。

アンサー」という曲があります。
進みたい 進めない 本当の理由は 君の中のアンサー」と問いを投げかけるこの曲は、「変われない自分」を変えていくような強い言葉で埋め尽くされていますが、穏やかな振り付けで動き回る透色ドロップメンバーが歌うと、トゲが取れてだいぶマイルドに聴こえます。

声が通る見並里穂さんは、突如不機嫌になってしまったのではないかと思ってしまうほどこの曲での表情が入り込んでいて、声の通りだけでなく表情でもひとり目立っていました。

表情に魅入られ、ライブ後の特典会では本人に「良かったです!」とお伝えしたのですが、どうやら見並さんとしては「アンサー」のようなメッセージ性のある曲よりも、「ネバーランドじゃない」のようなテンションが高めの方がいつもの姿と近いそうです。

見並さんと並んで、2番頭のパートを歌うメンバーがいます。
瀬川奏音さん。

リスクを背負うことや 見たことない事実を
「無謀だ」とか「簡単じゃないんだ」って否定した

瀬川さんは頭を抱えながら苦悩に満ちた表情で歌い語っており、没入感は見並さん同様、観ていてこちらが無駄に心配してしまうほどでした。
何に心配するのだという話ではありますが。

別パートでは、フロアに背を向けてステージ奥に消えていく動作の時にも同様の表現をしていて、この時は前に立つメンバーと被っていてフロアからはほとんど見えないような位置だったのですが、注意しなければ観られていないようなところにも神経を働かせているのがすごいです。
配信でよく見てみてやっと気が付くレベルです。

一人のメンバーに偏りすぎて恐縮ですが、瀬川さんについてもう一つ書いておきたいことがあります。
瀬川さんはアイドルに加え、現在大学4年生として勉強を頑張っています。
しかも理系で、さらには研究室にも入っているそうです。
専攻は生物系とのことで、生命科学系と遠からずな分野を研究していた僕としては非常に親近感を覚えていました。

その経験から語ると、実験をしてナンボの学界である生物・生命科学系はたとえ研究一本だとしてもかなりしんどいです。

研究とは上手くいかないことが当たり前とはよく言ったものですが、こと生物に関わる分野はそれで、核酸レベルだろうが個体レベルだろうが、生き物を扱う以上説明のつかないような現象がたびたび起こり、実験はそのたびにドツボに入っていきます。
そのためまともなデータが非常に揃いにくく、実験量のわりには「これでどうやって卒(修)論にするんだ?」と絶望的になるほどのボリュームの結果しか、上手くいくにせよいかないにせよ得られないことが、この学界では往々にしてあります。

いくら実験をしても意味あるデータは取られないかもしれない。
だけど実験をしないと上手くいくのかそうでないのかすらもわからない。
だから土日でも関係なく研究室に培養しにいったり、必死にDNAを抽出したりと実験を繰り返します。
自らの選択ですし、有名な科学者たちも通ってきた道だから避けて通れないことなのだと思っていても、どこかで心は折れそうになります。

瀬川さんは透色ドロップに今年4月から加入したばかりだそうです。
本業のアイドルでも覚えることだらけで、かなり忙しかったであろうと思いますが、かたや研究生活としても、4年生に上がりたてのこの時期は卒論の研究をスタートしてバタバタな頃だったのではないでしょうか。
慣れない環境に二つ一気に飛び込むなんて相当なことです。

当時がどれほどの忙しさだったのかは、近くで見ていたわけでもないので想像するより他にありませんが、かなりのハードスケジュールだったとは思います。

瀬川さんと比べると自分がかなり矮小に感じますが、僕は研究室にいた頃、研究以外に時間は作れないだろうとアルバイトも辞めましたしアイドルを追いかけることもお休みしていました。

二刀流をこなしている瀬川さんは、すでにされているのかもしれませんがもっと評価されるべきだという特別な思いとともに観てしまいます。

話が随分脱線しましたが、2番の「リスクを背負うことや...」パートでもう一人書いておきたい人がいます。
曲中の感情を大きく表現する見並さんと瀬川さんに挟まれているメンバーなのですが、花咲りんかさん。
センターに立って歌う花咲りんかさんは、ふたりとはそのどちらにも流されないような表情や動作で、両脇のふたりの動作が大きいだけに内に蓄えた感情みたいなものが見えてくるようでした。
花咲さんにより、見た目のバランスとしても3人で一つにまとまっていたと思います。

気になることがありました。
フォーメーションのところどころに、およそ一人分の空間が空いています。
全員が横一列に並んだときも、中央付近に川が流れており、言い表すのであれば6人一列というよりも4対2のような構図になっていました。

透色ドロップは本来7人組なのですが、オリジナルメンバーの橘花みなみさんが現在休養中で、ここ一カ月は一人欠けた6人でのパフォーマンスです。

前回観たLEADINGのライブレポでは、そんな橘花さんの表情について書いたのですが、休養発表はそこから間もないころだったのを覚えています。

メンバーの誰も、このことについてはことさらに言及しませんでしたが、フォーメーションにぽっかりと空いた穴は橘花さんの本来の立ち位置で、空けたままにすることで帰りを待つという意志表明があったのでしょう。
不自然に空いた歯抜けのフォーメーションからは、言葉以上に伝わってくるものがありました。

転校少女*

転校新体制紹介

転校少女*はこの夏より、アイドルシーンを盛り上げた曲のカバー企画「LOVE IDOL PROJECT」を行っており、既に5曲がアレンジの上メンバーによってカバーされています。

プロジェクトは立ち上がったばかり。
そのため最近のライブではカバー曲が積極的に披露されています。
これまでの流れでは一回のライブで5、6曲のセットリスト中2,3曲程度「LOVE IDOL」曲が挟まれるといったものでしたが、塩川莉世さんと佐藤かれんさんを欠いて3人でのライブとなったこの日は特別でした。
ライブ前々日に公式アカウントから早くもセットリストの告知があったのですが、それは「カバー5曲全てを披露する」という宣言でした。

この日、転校少女*に与えられたステージ時間は20分。
時間も短いですし、MCも多少やるでしょうから、一曲4分と考えてもメドレー形式にでもしない限り5曲以上曲をねじ込むのは難しいです。
となるとカバー曲しかやらないということなのでしょう。
豊富な持ち曲がありながらすべて捨て、セットリストをカバーで埋め尽くすという、大胆な予告でした。

野球漫画「ドカベン」で唯一明訓高校が負ける試合、対戦相手である弁慶高校の義経がプレーボール一球目に「ど真ん中のまっすぐ」宣言をして、事実その通りど真ん中に放ったことがありました。
結果として義経は一番に座ったドカベン・山田太郎に初球ホームランを打たれたのですが、色々言われようが構わないような潔さには、なんだか両者近いものを感じます。

1 DANCEでバコーン!(℃-ute)
2 マテリアルGirl(PASSPO☆)
3 シンデレラじゃいられない(ベイビーレイズJAPAN)
4 無限大少女∀(Cheeky Parade)
5 デモサヨナラ(Dorothy Little Happy)

ライブ一曲目は℃-uteの「DANCEでバコーン!」でした。
プロジェクトの解禁一発目に披露された曲でもあります。

10年近く前の話ですが、℃-uteが好きで初の武道館公演にも行った身としては、このカバーが発表された時には何とも言い難い無上の喜びがありました。
盛り上がりますし、手っ取り早くフロアをわかせることの出来る曲なので、カバー自体はこれまでも多くのアイドルでなされてきたことと思います。

しかし、どこかの知らないグループではなく、カバーしてくれているのはまさに今追いかけているグループです。

かつて好きだったグループの曲を、現在好きなグループが受け継いでパフォーマンスしてくれているのです。

「ダンバコ」は8月頭の対バンライブでサプライズ的に披露されたのですが、もしこの時現場に居合わせたらどれほど驚き、感激していただろうかと思います。

ところで、「ダンバコ」に代表されるハロプロの曲、特につんく♂さんがほぼ全ての曲を手がけていたころの曲は、ハロプロメンバーの歌い方に一癖も二癖もあります。
ねっちょりした歌い方というのでしょうか、有名なところだと、ザ☆ピ~スの「投票ウィって(行って)外食する」みたいな独特の発音があり、もっと普通の歌い方すればいいのになんて思ってしまいます。
聴き初めこそ違和感があり、拒絶反応も出てくるのですが、しかし聴きなれると不思議なことにこれがスタンダードの歌い方と思えてくるようになります。

慣れきってくるとむしろ、ハロプロ曲はこの特徴的な歌い方でないと物足りないような気さえしてきてしまいます。
この日、松井さやかさんの歌い方はまさにハロプロ歌唱の再現でした。

この日2人が欠けていたため、フロアから観るステージの景色は、いつもと随分違いました。
歌では、普段なら塩川さんと松井さんの二人が引っ張るところですが、塩川さんが欠席のこの日は、松井さんはもちろんのこと佐々木美紅さんと成島有咲さんの2人が非常に頼もしかったです。
大きい会場に負けない声量と、なにより自信が色濃く出ていました。

佐々木さんは、普段の音域であれば恐らくファルセットで乗り切るであろうところを、地声で頑張っていましたし、成島さんは地声っぽい出し方なのですがそれで高音まで出せてしまうところがすごいです。

特典会では成島さんに「歌上手くなりましたね」とお伝えしたのですが、もしかしたらこの言い方も適切で無いのかもしれません。

というのも、成島さんと佐々木さんは、加入当初からスポットながらも任されたパートでは存在感を示していました。
加入間もない頃、まだ出来る曲数もほとんどなかったころの「TRIGGER」という曲では、1,2番でのふたりが歌うソロパート「リアルを撃ち込めば」(成島さん)「成り下がらないから」(佐々木さん)の歌声からは、ワンフレーズに自身の全てを集約してやろうという思いが、当時転校少女*のライブ観覧時には必須だったフェイスシールド越しにもはっきりと伝わってきました。

転校少女*は、塩川さんと松井さんという、ボーカル力に長けた二大巨頭ができあがっているだけに、佐藤さんも加えた新加入3人の歌割はどうしても二人ほど多くはありません。
この日、期せずして2人のメンバーが欠け、必然的に増えたパートで佐々木さんと成島さんは本来の力を出し、それが目立ったということなのでしょう。
もちろん、加入からの努力でボーカルが向上したというのもあるのでしょうが。

歌割だけでなく、慣れないカバー曲で動き続けるのもなかなか大変だったはずです。
「LOVE IDOL PROJECT」曲は軒並み盛り上がる人気曲ばかりのため、ステージの動きもそれだけ激しいです。

3曲目「シンデレラじゃいられない
ベイビーレイズJAPANの曲です。
原曲を知らなかったので、生で観るまでまさかこんなに攻撃的な動きの曲とは思いませんでしたが、身体をかがませながらギターに合わせてステップを踏んで上下動する間奏パートは、激しさのあまりさすがにフロアの誰も真似できずただ眺めているばかりでした。

続いた、Cheeky Paradeの「無限大少女∀」も、息が上がってしまいそうなダンスが終始続きます。
曲の転換で暗転し、ポーズを作って静止したメンバーの身体からは、冬の寒い時期ならば間違いなく湯気が立っていたでしょう。

成島さんの特典会の話に戻りますが、この日のライブを迎えるにあたっては「緊張した」そうです。
デモサヨナラ」の最後の最後に飛び出した「みんな大好きー!」という成島さんの言葉は、色々抱えていた緊張から解き放たれて自然とでた産物なのかもしれません。

最後に、MCトークで松井さんが残したコメントについて書いて転校少女*の項を終えます。

松井さんは、「この日は塩川莉世さんと佐藤かれんさんが不在」だとフロアに向けてコメントした上で「今度は5人でSTUDIO COASTに立ちたい」と、フロアだけでなく成島さん佐々木さんにも言い聞かせるように言っていました。

この一言に、すごく心を打たれました。

転校少女*が「LOVE IDOL PROJECT」を初めてから、カバー元のグループのファンの方を初め、SNS上で話題に上がることが多くなりました。
ただ、話題にはなるものの、その焦点はどうしても曲に向かってしまうようです。
オリジナルを知る方にとっては、転校少女*がカバーをしたことよりも、好きな曲が時代を越えてカバーされたことの方が大きいのでしょう。

この日も、聴きなれたメロディーを聞きつけ、3,4曲目あたりからフロアに人が多く押し寄せてきました(次の演者待ちもたくさんいたと思いますが)。
人が増えるにつれ、フロアではサビに合わせて大きく飛び跳ねる、いわゆる「マサイ」をする人も増えました。
終演後のツイッターではカバー曲に対してのコメントが多く見られました。
それだけたくさんの人が反応したと実感します。

ただ、あくまで目線は曲であり、オリジナル曲を一切やらなかった転校少女*に対しての目線がここに居合わせた人にどれほど向いていたのかは分かりません。

それを頭に入れて松井さんのコメントをかみしめると、少しでもグループ本体のことに目を向けさせるという意味で非常に良いものだったと思います。
5人でここに立ちたいと言うことで、ファンにも夢というか目標を共有してくれているところも素晴らしいです。

まだ転校少女*を観て一年弱程度しか経っていませんが、松井さんの発する言葉には、このグループをもっと応援しようと思わせてくれる力があります。
しかもそうした言葉が出てくるのは、なにも特別な節目のライブだけでなく、定期公演や対バンライブであったりもします。
練り上げられた長文を残すわけではないのですが、さらっと挟みこまれる短い言葉には色々と考えさせられ、じんとくるものが多いです。


サンダルテレフォン

週末にかけて雨が続き、この日も朝から曇り空でした。
雨こそ降っていませんでしたが、季節の変わり目でグズグズした天気は、いつ急変してもおかしくない状況です。

昼過ぎを境に、気まぐれな天気は良いほうに転がりました。
空は青くなっていき、透色ドロップや転校少女の特典会を待つころには気温の上昇を肌で感じます。

サンダルテレフォンは、すっかり晴天になった17時前の野外ステージに出演しました。

ダルフォンメンバー紹介

STUDIO COASTは、新木場駅から湾にかかる千石橋を超えた先にあり、橋を越え段差を降りて会場の外周に沿って数十メートル進んだ、湾に面したところに入口があります。

野外ステージは、入口にむかう外周に位置しています。
なぜこの位置にあるのかは謎なのですが、出入り口の導線上にあることから、今から場内に向かう人、お目当てのグループを見終えて出ていく人の流れが、野外ステージを目当てとする人達のかたまりと混在してカオスな空間が出来上がります。

室内のステージには強弱の鮮やかなレーザー光が所かまわず焚き付けられているのですが、一方野外ステージではステージ上下に細い照明があるのみで、日中だと弱すぎてその光を感じることもありません。
ほとんど自然光でまかなっています。

1 Follow You Follow Me
2 コーリング
3 真夏の匂い
4 ワンダーランド
5 かくれんぼ

他の多くのアイドル同様、サンダルテレフォンにはSEという名の出囃子があります。
開演時、メンバー登場の合図となるSEは、狭い箱で開催される定期公演の時など、重く深く響いていました。
しかしこの日の始まりは、SEではありませんでした。

変わりに流れてきたのは陽気なバックミュージック。
続いてサンダルテレフォンメンバーがクラップとともに登場、フロアにも手拍子を煽ります。
グループ唯一のハイトーンである藤井エリカさんの髪色は、下から煽る照明に照らされ、外側の色が紫色など豊かに光っていました。

そのうち「ぱっぱっぱ」と、手をパーの形にするおなじみの振り付けを初め、こちらも一緒になってやり始めます。

Follow You Follow Me」の、イントロロングバージョンです。(この表現で合っているのかは怪しいです)

フロアの熱が高まっていき、やがてメンバーはマイクを手に歌いだします。

タイムライン ただ眺めてばっかりじゃさ 流れてくから followしといてね

そんなことあり得ないないはずなのですが、心なしか曲がいつもよりゆっくりに聴こえました。
箱ではない分、音の跳ね返りが少なかっただけにそう聴こえていたのでしょうか。
伴奏や歌声は青空に融け、こちらに届く最低限の音を残して消えていきます。
メンバーの笑顔は、前回2週間前に同じくSTUDIO COASTの屋内ステージに立っていた時よりも柔らかく見え、目線を配るメンバーと目が合ったのか、とりあえず観てみるかと足を止めている人も、出入り口の導線上にちらほらいました。

ステージがどこであろうが、誰が観ていようがやることを貫き通すというのも一つの美学だと思います。
しかしサンダルテレフォンは、ステージが変わるごとに魅せ方を変えていることにこだわりを持っています。
この日の野外かつ人の出入りが多い会場で、少しでも初見や興味のない人の足を止めるような工夫を、SEなしのセットリストや表情などに加えていたように思います。
連日のライブ続きで、集まってレッスンなんてほとんど出来そうにもないはずなのに、どこで練習しているのでしょうか。
曲のイントロミックスなど含め、微妙な違いを生んでしまえるところが本当に器用だと思います。

長めのイントロを聴いたとき、最後の曲は途中までなんの曲か分かりませんでした。

かくれんぼ」。

夕暮れの光景がちらつくこの曲の時には、ふと視線を上にやり、夕方に向かって色を変えていく青空を見上げてしまいました。

終わってみれば、サンダルテレフォンではおなじみのリミックスが一曲もなく、「青い鏡」のような、聴くものを飲み込んでしまう迫真の曲もなく、ほどほどのテンポで身体を揺らして楽しむような曲で固められました。

定義が広い「楽曲派」アイドルの中でも、サンダルテレフォンの曲は難しいことを考えずとっつきやすいところが一つの魅力です。
そんなサンダルテレフォンの良さが出ていたセットリストでした。


YUMEADO EUROPE

透色ドロップと同様、メンバーのツイートにセンスしか感じないのがYUMEADO EUROPEです。

具体的なツイートを掘り起こしてみます。
リーダーのYukariさん。
デビューライブの告知動画を、斜め上の離れた所からの引きの画で、防犯カメラのような画角から撮っていました
ここでやり出したのはなぜか「もも上げ」という、なんともシュールな映像です。

Yuiさんは、夜の誰も居ない公園で一人奇声を上げながらブランコをこいでいる動画を上げていました。

もう一人、Nagisaさんに至ってはパッと思いつくこれといったツイートは特にないのですが、夢アドオーディションの時からとにかく面白いイメージを勝手に抱いてしまっています。
まず、アカウント名の「@shiratakipinatu」から笑わせにかかっているとしか思えません。
好きな食べ物がしらたきとピーナッツなのかわかりませんが、だとしてもなぜこの取り合わせなのかが不思議ですし面白すぎます。

前段はここまでにして真面目な話に戻すと、YUMEADO EUROPEは今年4月に正式デビューし、メンバーは姉貴分のグループ・夢みるアドレセンスの新メンバーオーディションに参加していた方がほとんどです。
ヨーロッパの多様性をコンセプトに、各メンバーにはヨーロッパの国と、それをイメージしたカラーが割り当てられています。
自己紹介では「ノルウェージャンホワイト」のように、イメージ国・カラーを告げます。
読みは「ゆめあどゆーろっぷ」。
ゆ~ろっぷとスペルアウトされることが多いので、親しみを込めてここからはその名で書いていくことにします。

ライブ数が多いからこそ「ライブアイドル」と呼ばれているわけなのですが、ゆ~ろっぷは特に多いです。
インタビュー記事によると、デビューから4カ月足らずで100本以上のライブに出演したそうです。

ほぼ毎日、どこかしらのライブに出演していることになります。
実際ライブ予定を観てみても、休日に複数ライブを回すのは当たり前、平日の昼間などにもライブ出演していることが分かります。

しかしこの日は珍しく、ゆ~ろっぷのライブは夕方のこのライブ一本のみでした。

1. メロンソーダ(夢みるアドレセンス)
2. Here we go and go!
3. Viva la Mùsica!
4. ファンタスティックパレード(夢みるアドレセンス)

開演時間は17時35分。
夏を引きずっているので空はまだ暗くはなかったですが、とはいえ季節の変わり目です。
夜の気配がすぐそこまで近づいていることを感じながらのスタートでした。

この日は、夢みるアドレセンスの曲も2曲やりつつ、この8月にリリースされた1stシングルからも2曲という構成でした。

とかく妹分というのは、本家の「二番手」的なイメージを持たれてしまうことが多いように思います。
僕としても、この前の夢アド9周年ライブでオープニングアクトのゆ~ろっぷを観るまでは、どんな感じなんだろうかこのグループはと構えていたのですが、勝手に膨らませたイメージは失礼でした。
主役を食ってしまうとは言い過ぎかもしれませんが、それもよぎるほどの爪痕が刻まれていました。

良いなと思った点の一つとして、メンバーのボーカルを取り上げると、低音担当、高音担当でメンバーがしっかり分かれているようなところだと思います。
KiyoさんやYuiさんは低音が、AyuさんやYukariさん、Chinatsuさんなどは高音と、あくまで聴いている中でですが出しやすそうな音域、いわばホットスポットがメンバーそれぞれではっきりしていて、無理矢理グループテーマにこじつけるなら「多様性」が生まれています。

Rinさんは、目線を色々なところに配っていました。
それはフロアのお客さんに投げかける「レス」というよりも、自分の歌声の調子とPAの響き具合や、お客さんの盛り上がりなどに向けられているような感じでした。
盛り上がり曲でさほど湧いていない(ように見えた)ときも、まわりを観ながらここぞというときに煽りを加えていました。

Yuiさんは、MCで見せたデスボイスがあるかと思いきや、「メロンソーダ」での高音など、得意な音域が分かれている中でも高低の幅がありました。
最年少のChinatsuさんは、屋外でも良く響く明瞭な歌声でした。

Rinさんが、ラスト4曲目を振るときに「くるくるぱっ」と言いました。
暗号の様ですが、一度なり夢アドを通ってきた人ならばこれで察します。
両腕をクルクルして右腕を伸ばすところがワンセットで、振り付けの擬音がいつの間にか代名詞になった「ファンタスティックパレード」です。

長かった一日は、ロックバンド・KEYTALKの首藤義勝が手がけたお祭り曲で気持ちよい終幕となりました。
リリースされたのはもう6年も前ですが、本家でもその妹分でも未だにライブでかかるのはファンとしてはうれしいです。

朝早くから新木場に向かい、夜に迫るころまで居ましたが、いい「旅行」ができた気分です。

以上がライブレポです。
12000字越えと、だれが読むんだと思いながら私情を書きましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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