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【ライブレポ】Peel the Apple 秋もアツいぜ!炎の全国ツアー2022 千葉公演

2022年12月17日(土)に、柏PALOOZAにて「ぴるあぽ秋もアツいぜ!炎の全国ツアー」が開催されました。
7人組アイドルグループPeel the Apple、通称ぴるあぽの全国ツアーです。

残すは年内ラストライブの福岡と年明けのツアーファイナル東京公演を残すのみ。
予定していた16箇所が順調に消化され、いよいよ大詰めに差し掛かっています。
秋ツアーとは冠してありますが、季節はもうすっかり冬になってしまいました。
チケットは前売りの段階で早々に完売、ツアーファイナルの品川ステラボール公演完売を合言葉にしてきたメンバーは、千葉の完売を聞いて東京への弾みがついたとかなり喜んだようです。
さほど狭くないキャパではあるものの場内は何度か「前にお進み下さい」のアナウンスが出るほど満員となり、しまいにはライブ前半のMCでメンバー自ら「入れてない人居るみたいだから前に…」と詰めるように促していました。

個人的には11月3日のツアー静岡以来でした。
その時が初めてのぴるあぽ現場だったので、この日は2回目ということになります。
以前より明らかに振り付けも曲も頭に入ってはいるのですが、ライブの流れに乗って書こうとすると中途半端になってしまいそうなので、全体的な感想を書こうかと思います。

前回と同じような内容ですが、びるあぽのライブの魅力は初めてでも非常に溶け込みやすいところだと思います。
振り付けはことにサビだと一発で覚えられるものが多いですし、変に繰ったところもありません。
ひたすら真似していれば自然とテンションも上がっていきます。 
フリコピが絶対とは思いませんし、むしろ自分などは過度に煽られるとつんざりしちゃうところもあるのですが、とはいっても身体を動かしていればお邪魔しているような変な遠慮はなくなります。
特にライブにおいては、演者と動きをシンクロ出来るというのは必須では無いもののフロアとステージとのコミュニケーションという点ではやはり大切なのでしょう。
真似しようとするとよりステージに注目しないといけないので、集中力が自ずと上がっていくという点もあるのかもしれません。

ただ、ここからが特筆しておきたいことなのですが、ではぴるあぽを単に「フリコピが楽しいグループ」と片付けてしまっていいのかと考えだすと首を傾げたくなってしまいます。
ライブを見れば、サビでの頭に残りやすく真似をするにも難しくない振り付けや動きをしている一方で、他パートでは関節の曲げ伸ばしにまで力の入った、勢い溢れるパフォーマンスがあります。
あるいは、どの曲かは忘れましたが、浅原さんがセンターで手首をクルクル回したパートのような柔軟な動き。

最近アップされた「リンゴの皮をむくな!~Don't Peel the Apple~」のDANCE動画を見たときにまず耳に入ってくるのは、足を踏み込んだ時にレッスン場に響く、靴と床がぶつかった音です。
デビュー曲であり、恐らく1番練習したし1番ライブでかけてきた曲だと思います。
その積み重ねが、音源をかき消さんばかりのドンドンという音なのでしょう。
音が出る場面でなくとも、例えば空を蹴って弾みをつけるところの勢いはかなりのもの。
この日1曲目はまさしく「どんと」で、距離もあって足の音こそ流石に聞こえませんが、練習動画くらい力を込めているのは伝わってきました。
動きにもメリハリがあり、もちろん見事に揃っています。

前回見た時から消えずに残っているのが「ライブの強度が高い」という印象。
親しみやすいフリコピやウケの良い曲でなんとなくの楽しさを提供するだけでなく、初見だとかに関わらず「しっかり堪能したな」と思ってしまう味の濃さや噛みごたえがあるように思うのです。
勢いがいいと称されるグループはいくつも見てきたつもりですが、ぴるあぽのそれは一見勢いに見えてももっと喰らった感が強い気がします。
情に訴えてくるライブスタイルではありませんし、特別な場面は別として涙で震えるような展開にもおそらくならないでしょう。
それでも、しっかりと楽しめた感覚だけは強く残ります。
フォーメーションもかなり練られていて、この日はバンドセットが並べばパンパンになってしまうくらいメンバー7人にとって手狭な会場だったのですが、横一列でタオルを回す「ブンブンブブブンサマーチューン」はじめ、上手いことそれぞれがずれていたので動きが干渉するという心配が一切ありませんでした。
ライブに没入する以外の余計なことをこちらに考えさせません。
それをもっての、強度の強さでした。


いくつか各論的に書いてみます。
聴き込んでも未だにどういう歌声か表現しきれないのが、松村美月さん。

踏ん張って声を出すような佐野心音さんに対し、優しく薄めの声です。
唯一無二の声質で、パート割りからも重宝されているのが自明なのですが、これまでに類のない歌声であり、それがゆえ上手いこと言葉が見つかりません。
か細く穏やかな声ではあるものの、弱いというのも正しくはない気がしています。
意外と声は通ります。
癒しボイスというのは1つあるかもしれません。
あるいは、メンバーカラーのミントグリーンにあやかってメントール系の爽快感ともとれそうです。
今のところはこのあたりの表現に落ち着いてしまいそうですが、ともかく貴重な歌声です。
コンディションはあまり良くなさそうで、ゴミが入ったのか目をしきりに気にしていたり、MCの時に佐野さんに目を見てもらっていたりしていました。
目も心なしか潤んでいたように見えたのはそのせいなのかと気がかりだったのですが、歌の方は問題なさそうでした。 


出身が千葉で、単独公演では初めての凱旋公演となった小田垣有咲さんは、「きょうは友達が来てるから」と2階の招待席を見ながら常に笑顔でした。
多分、にやけてるくらいのこの笑顔を見せられると全て許容したくなってしまいそうで、昼の部の対バンライブ相手だったマイディアの咲真さんが「なんでも買い与えたい」というのも分かる気がします。

表情の動きという点で印象的だったのが、春海りおさん。
自身のセンター曲「なんてこった!」では自らの手を見ながら上から下に目線を動かすところがあり、どういうわけかそれに釣られて表情に注目していたのですが、ずっと表情筋が緩んでいるタイプではない春海さんは、物憂げな顔をしたり、真顔っぽくなったり、前列に来た時の表情がバリエーションに富んでいました。

ライブの中盤に挟まれる、ツアー恒例のメンバー対抗ミニゲームでの今回のお題は「自作紙飛行機飛ばし」。
いびつな形の飛行機を折り(昆虫みたいで気持ち悪いと浅原さんには言われていました)、飛ばしてみればまさかの弧を描いて戻ってくるというある種ミラクルのマイナス距離を叩き出したのが山崎玲奈さんでした。

他に誰もマイナス距離なんて出す訳もなく、当然ながら最下位となったのですが、罰ゲームモノマネでかなり忠実なボーちゃんとまさおくんを再現し、フロアのみならずメンバーもざわつかせていたのですが、パフォーマンスでみればお手本のように動作が見やすいです。
夏、恋はじめます」でイヤイヤという風に右腕を振る所は、4ビートのリズムを1番正確に刻んでいた気がします。
身体の柔らかさに由来するのか素人には分かりませんが、無駄な動きが山崎さんにはないのかもしれません。

ところで山崎さん、たまにShowroomを見に行くことがあるのですが、発する言葉の内容やその言い方に影のようなものが全くなく、トーンもテンションが高いというのとは別で明るいです。ポジティブな人なのだろうという印象を受けました。
松村さん同様担当カラーが端的に特徴を物語っているメンバーだと思います。
サンセットオレンジ。まさしく太陽のようなイメージです。
身体の柔軟性も、プラスなことを発信し続けて正のオーラを纏うというのも自分にはできない芸当なので、ないものねだりをしてしまう身としては羨ましいなと思うばかりです。


個人的にハイライトだったのが、「勇敢JUMP!」。
直後のMCでは何人ものメンバーが息を切らして汗をかいていて、ここでMCという休憩コーナーを挟んだのはそれを見越して計算ずくだったのかと妙に納得してしまいました。
この曲で佐野心音さんが、最下手のこちら側に来るシーンがありました。
ゼロズレです。

目の前の人のため You can jump!」といって指をビシっと指すところはすぐ目の前にいるかのような臨場感がありました。
やや後ろよりの中段に自分がいるという距離感を忘れてしまいます。
佐野さんのパフォーマンスは気持ちがいいほど真っ直ぐで、一生懸命さが凄く良いのですが、上手いと思わされる部分も数多くあります。
ひたむきさや熱さだけでも目を見張るものがあるにも関わらず、そこだけをアピールポイントにするわけでもなく、決して気持ちだけではカバーできないような上手さを備えているのがすごいなと思いました。
間違いなく目を引くメンバーですし、グループの根幹であることは疑いようがありません。


根幹といえばもう一人忘れてはいけないのが浅原凛さん。

自分が強度が高いと思っているライブは、浅原さんの多大なる貢献があるのだろうなと思っています。
説得の材料としては、これまたダンス動画が分かりやすいです。
グループのセンターであり、人より目立つところに出てくる回数が多いというのはありますが、直感的に何か違うなと思わされたのが浅原さんでした。
伸ばす手には強さがあり、たしか「アオハルスケッチ」の腕を振る箇所のような速くてせわしない動きも細かいビートできちんと対応し、かつ落ち着きも漂わせている。
誰よりも大きく見えるのは、身長とか持って生まれた体格以上の何かがあるはずです。
異色の「Metal the Apple」ではセンターで一心不乱に頭を揺らす姿がありました。
表情も上手いなと思ったのが、悲恋の感もある「夏、恋はじめます」で、目をつぶって苦しそうに歌っているときでした。
つぶった目をまた一段とギュッとさせながら歌うので、切羽詰まった心模様がより伝わってきます。


遡ること1週間前、ツアー名古屋公演で新曲が初披露となりました。
冬色センチメンタル」という題で、メロディーや歌詞からして「夏、恋はじめます」と似たような恋愛ソングという印象を受けました。
ただ「夏恋」と違うのは、先の曲が「彼女にしてください!」などと下手にでるような口調だったのに対してより切実な感じになっているということ。
言ってしまうときつめです。
オルガンから始まる音もなんだか暗く、夏から季節が巡って関係が変わらないまま冬になってしまったのかなと曲中のつながりをふと考えてしまいます。
歌いだしは「夏恋」と同じく黒嵜菜々子さん。
低音からの始まりですが、黒嵜さん以外に適任が居ないのではないかと思ってしまうほど綺麗な歌声でした。
音がちゃんと落ちきります。

充実の内に終えた約2時間の最後は、地元の小田垣さんが喋り出しました。
凱旋公演の感想でもあり、10月に始まってようやく終わりが見えてきたツアーの感慨でもありました。
ようやくと書きましたが、16公演を消化するのに10月9日から1月8日までの”たった”3カ月しか経っていないというのがなかなかの驚きです。
「最初16会場って聞いたときは不安もあって...」
隣の佐野さんが上手いこと言葉を足しながら、その隣の松村さんは下を向き、他のメンバーは身体を傾けて小田垣さんの話を聞いていました。

こうして大入りだった千葉、柏での14公演目は幕を閉じました。
ライブ後は別の建物を挟んだ神社にまでグッズ購入列が伸びていて、これだけの人が詰め込まれていたのかと驚きました。
やはり人気です。


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