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【ライブレポ】elsy 2nd Oneman LIVE ~ elsy Night Parade ~

グループ名は、emotionalsympathyを掛け合わせた造語。
儚くエモい感情を多くの人と共感することをコンセプトとしているグループです。

感情に訴えかけるライブスタイルのグループは、自分の好みということもありいくつか見てきたつもりでした。
パターンがなんとなく頭にある中でもなお、新たな発見がこの日はありました。

2年ぶりのワンマンライブ

2023年2月24日(土)。EX THEATER ROPPONGIにて5人組アイドルグループ・elsyが「2nd oneman live ~elsy Night Parade~」を開催しました。
オリジナルメンバーの愛森ちえさんと新井椎夏さんに、2020年2月加入の橋本せいなさん、2022年4月加入の白羽まいさん、塩野響子さんからなる5人組です。
アーティスト写真を見るだけだと途上というよりすっかり完成しきったような印象を受けるのですが、内実としては3年半の活動中にメンバーの入れ替わりが激しく、意外と大きな波を経てきているようです。

個人的には昨2022年8月のTIFで初めて観て以来。
目当てのグループの前に出ていたのですが、ライブ前からグループコンセプトとメンバーの透き通るビジュアルを目にしてドンピシャだなと思っていました。
ステージに上がれば期待通り。
水色がメインに配色された涼しげな半袖衣装のメンバーがまずまろやかな「終わらない約束」を歌い、酔い初めに似た気持ちよさを感じました。
一転して売り出し中だった当時の新曲「ハレルヤ!」の明るさでは酔いが覚め、これもこれでいいなと思ったのですが、初出場枠の15分間は短すぎます。
たったの3曲ではいまいちグループの特徴をつかみ切れていませんでした。
エモーショナルな曲ばかりかと思いきや「ハレルヤ!」は急にフロアとの距離を縮めて”寄せにいった”ような曲。
いきなりのテンションの変わりように、若干の混乱も覚えつつあっという間のステージは終わりました。

その後elsyは全国ツアー「Documentary of elsy」を展開しました。
主要都市を中心に、メンバーの出身地である富山や岐阜、兵庫などを加えて10月20日には白金高輪selene b2にてツアーファイナル&3rd Anniversary Liveを行っていて、TIFで気になっていた自分は富山に行くことなどもかすかに考えたのですが、どこも微妙に予定が合いませんでした。
というより初見の現場に行く勇気がなかった。
ねじ込めばスペースはあったと思うのですが、どこかで踏みとどまってしまう自分がいました。
初めての現場に行く時はそれなりのエネルギーが要るものですが、最初のその山さえ越えてしまえば後は楽です。
結局それを越えられず、しかしいつかは単独ライブで観たいと思っていたところにやってきたのがこの2nd ワンマンライブのお知らせでした。

エモーショナルを売りにするグループは、持ち時間が短くて種種雑多な感のある対バンライブより、曲数を重ねてじっくりと世界観を披露していく単独ライブのほうが合います。
むろんどのグループも単独ライブこそ見どころで、対バンはそれに来てもらうための試食コーナーだとは思うのですが、ことelsyのようなグループではより単独が真価を見せる場所だろうと思っていました。
TIFのステージで自分が驚いたテンションの落差も、少ない持ち時間の中にグループらしさと新曲(「ハレルヤ!」)を入れなければならないという制約があったからこそ生まれたものであって、単独なら無理なく繋いでくれるのだろうなという思いもありました。

徹頭徹尾

会場のEX THEATER ROPPONGIに行くのは8年ぶり。
ライブアイドルにハマり出した当時は、どういうわけかEX THEATER や南青山Future Sevenなどでのライブを観ることが多かったような気がします。
流石に港区ともなれば現在足しげく通っている渋谷や新宿のような、人であふれてゴミゴミとした雰囲気とはまるで違う装いで、行きしな歩きながら久々にその空気感を思い出しました。

フロアまでエスカレーターでひたすら下っていったのは当時の記憶どおりでした。
地下3階にあります。
椅子をせり上がるように配置したまさに”シアター”型のフロア構造と、シート全て撤去したフラットなアリーナ型と2種類あるようですが、この日はシアター型。
ステージ側に目をやればスクリーンがあり、そこにはメンバーへの個別のインタビュー動画が流れていました。
レッスンの合間に撮ったのか、ゆるっとしたTシャツを着た塩野響子さんが質問に答えています。
「一番大切なものは?」「憧れのアイドルは?」など。

「なってみたいメンバーは?」と聞かれて、最高身長の塩野さんは「たぶん見ている世界が違うから」と一番背の低い白羽まいさんを挙げていました。

この日のライブを見届けて思ったことが「徹頭徹尾」。
歌い踊っているライブ本編だけでなく、会場に入ってから後にするまで、今のelsyを記憶に刻みつける仕掛けが徹底して敷かれていました。

個人的な好みですが、開演前のBGMではそのグループの曲を流していてほしいなという思いがあります。
関係ないアーティストの曲を有線のように流しているグループもあるのですが、どうももったいない気がします。
そのグループを見に来たわけですから、他のアーティストはたとえ曲が良くてもその時だけは脇にいてほしい。
せっかくなら、目当てのグループの音楽で耳や脳をひたひたに満たしてからライブに臨みたいと思ってしまうわけです。
最近行っているグループはありがたいことに、わりと自分のところのグループの曲をエンドレスで流してくれています。
ところがelsyはまた新しいベクトルでした。
スクリーンがあったからこそ可能となった仕掛けですが、メンバーへのインタビューは自分みたいな新規にとってはありがたかったです。
頭はすっかりelsyモードに切り替わりました。
5人のパーソナリティを少しでも知れた気がしますし、喋っているメンバーを(ほとんど初めて)見たことで、その後のライブへの共感も深まったと思っています。

ちなみに自らのチャームポイントを聞かれて橋本せいなさんは「アイドル性」を、新井椎夏さんは「顔」と言っていました。
ライブやSNSを一目見れば納得です。
橋本さんの魅力には去年のTIFではまだ気付けていませんでしたが、ここから2時間で存分に見せつけられました。
ところでインタビューでは「ワンマンの準備期間中の面白エピソード」という質問もありました。
一日もオフを作らず、深夜練もしながらワンマンに向けて詰めてきたこの1カ月間に起こった初出しの出来事を聞かれたのでした。
具体的に5人がどんな話を答えたのかは忘れてしまったのですが、設問でこんなテーマが出てくる時点で仲の良さが伺えます。

映像からみえるストーリー

18:30。
 VTRをぼーっと見ているうちに開演時間になりました。
メンバー全員分のインタビューと、グッズの小さなフラッグを使った旗揚げゲームのVTRが終わり、時間きっかりになったところで場内BGMの音量が上がりました。

動きがあったのはまたもやスクリーンでした。
屋外で撮ったと思われる、メンバー一人一人のカットが出てきたのですが、ぼかしてあるその背景に見覚えがありました。
入り口にモニターがあってベージュっぽい外観をした建物は渋谷にあるVeats Shibuyaですし、緑の蛍光照明でその会場名を誇示しているライブハウスは同じく渋谷のO-WEST。
メンバーがポーズを決めていたのは、どういうわけか一見無関係なライブハウスでした。
ワンマン前日にEX THEATERの前で撮影をしていたのは、この開演VTRのためだったのかと分かったのですが、どうして六本木以外でも撮っているのだろう。

不思議に思ったのですが、すぐに謎が解けました。
2021年のツアーファイナルの会場がO-WESTであり、白羽さんと塩野さんのデビューライブが行われたのが2022年4月13日のVeats Shibuyaでした。
道を挟んだO-WESTのお隣、O-EASTにはかつてワンマンライブを開催予定だったのが、直前で急遽中止になったという因縁もありました。

活動3年半でワンマンライブが2回目というのはやや少ないような気がしますが、本来であればO-EASTで予定されていたワンマンが2ndだったようです。
それからメンバーの入れ替えがあり、現体制になって1年弱経った今、場所を六本木に移して2年ぶりの2ndワンマンへとこぎつけました。
始まりの映像には、全てを語ってこそいませんがそうしたelsyのストーリーが込められていました。

浮かんでくる色彩

VTRが一区切りした後、新衣装のメンバーが出てきました。
一曲目は、インタビューでの白羽さん曰く「好きすぎてレッスン以外でも聴いている」という曲。
土台ごと可動式の座席が、音圧で揺れた気がしました。
ポルカドットロマンス」のNight Parade ver.です。
ワンマンのサブタイトルに「Night Parade」と付いていたのを思い出しました。
その日だけのアレンジのため、音を思い出せないのが非常に惜しいのですが、イントロを聴いたときに「魔法をかけられた」という感覚になったことは覚えています。
ハロウィンナイトのような、紫のハロウィンカラーにジャックオーランタンのオレンジ色が頭に浮かびました。
曲を聴いていて色彩のイメージが出てくるのはたまにありますが、ハロウィンカラーの記憶はありません。
いずれにしても、何か新しいものを聴いたという感じがありました。
この日解禁の新衣装を着たメンバーを見てみると、今更アイドルに言うことではないかもしれませんが5人とも顔が小さい。
橋本さんか誰かが新井さんのことを「顔が小さすぎる」とインタビューにて触れていましたが、新井さんだけでなく全員小さいです。
衣装はロングスカートに前だけミニスカートになったツーインワンのつくり。
「この日限り」という黒のロングスカートと髪飾りをしています。
それぞれの個性はトップスのデザインに出ています。

足元にかけて膨らんでいく衣装に対し、三角形の頂点である顔にピントを合わせるのが難しかったです。

日々生まれる感情の表現

小さく見えたのは振り付けもしかりでした。
緊張で小さくまとまってしまっているとかではなく、繊細さが伝わってきました。
腕は身体や顔の近く。
小刻みに動かします。
広い会場だからと、ことさらに動きを大きくしているようにも見えません。
自分はホールの5列目くらいで、やや距離があるため目をこらさないとよく見えなかったのですが、それぞれが自らの半径30cmくらいの範囲で際立つ動きをしていました。

一連を観ていて思ったのは、elsyは細かい動きで何気ない日々の感情を表現しているように見えます。
これまで観てきたエモーショナルが売りのグループは、例えば身体全体を使ってコンテンポラリーダンスのように表現したり、ステージの空間がなくなるほどドラスティックなフォーメーションチェンジをしてこちらに訴えかけてきていたのですが、そこでいう感情とは結構大きな心の揺れだと思っています。
グワングワンと上下に揺れて、ともすれば煽られて人生観がひっくり返ってしまうくらいの波です。

ところがelsyの表現は、そこまで劇的な波打ちというようには見えません。
大きなターンもめくるめくフォーメーションチェンジも無いことにはないのですが、それよりも細かくつややかな動きのほうが目立ちます。
眺めているうちに、これは日々過ごす中で湧いては消えていく感情に近いのかなと思い始めてきました。
先に例えたグループが、一年に一度生まれるかどうかという強烈で特別な感情だとするならば、elsyは何気ない一日の、記憶にも残らないようなレベルの感情の起伏を表しているように思います。
じりじりと電車を待つ間や、ごはんを何にしようかと悩んでいる時などの、ごくごく普通の日常生活。
曲の題材には恋愛のテーマが非常に多いですが、それに置き換えても同じだと思います。
一生の大失恋や大恋愛の始まりなどではなく、何気ない一日を表現しているようなダンスに見えました。
誰の身にも起こっている(起こりうる)ことを表現しているから「sympathy」。
観たときに共感するのかと、一人納得していました。

メンバーについて書いてみると、大切なパートを歌うときの橋本さんは、空いている右手をぐっと握って叩きつけるかのように歌っていました。
身振りは大きめです。

リーダーの愛森ちえさんは低めの声がよく響きます。
ホールだからか場内は音の響きがよく、そのせいでメンバーはパフォーマンス中リズムを取るのに苦労をしていたように見えましたが、良い反響を活かしていたのが愛森さんの低音でした。

セットリストで一番盛り上がったのは、「ずっと前から好きでした」「ハレルヤ!」「惚れた病に薬無し!」のストロークだったと思います。
火花が散ったのもここだったと思いますし、照明はより眩しさを増していました。
TIFでは少し違和感を覚えた「ハレルヤ!」も、フリコピ要素が多くて見るからに楽しそうな2曲に挟まれると、なんてことはありませんでした。

予想を常に裏切られる

この日は声出しあり。
とはいっても自分はelsyでのコールの作法は知りませんから下手端で黙って観ていたのですが、中央あたりの席から聴こえてくるコールがまるで別世界のようでした。
何枚かこちらと隔てたところで声が聴こえてきます。
最前列では身体をかがめて明らかにmixを打っていると思われる方々が居ましたが、当然ながらその声も全く聞こえませんでした。
コロナ前もこんな感じだったのか...どうも思い出せません。

中盤あたりから「すごいな」とため息が漏れたことがありました。
いつもならどうしても途切れてしまいがちな自分の集中力がまったく落ちなかったのでした。
興味の程度に関わらず、ワンマンのような長尺のライブだとどこかでふっと途切れてしまうときがあります。
それは何もアコースティックで聴かせる曲が多い、おとなしいグループだけでなく、こちらのフリコピを積極的に促すようなテンションの高いグループであってもです。
自分の集中力の乏しさもあるのでしょうが、維持できるのは一時間が限界という一般論に従えば、2時間ワンマンで2回くらい空白の時間が生まれても仕方がないのかもしれません。
ところがelsyを観ていた2時間の間に集中が途切れることはなかった。

先にも書きましたが、elsyの曲には恋愛要素が多い、というかほとんど恋愛系の曲です。

「友情か恋愛か あの頃は わからなかった」(サヨナラも言えなくて)

「笑ってあしらう君も ホント意地悪だね 諦めない やっぱり 好きなんだ」(No.1)

ここまで偏るかというほど系統としてはどれもかなり似ているはずで、しかもしっとり系。
こちらが身体を動かすようなところも限定的ですし、曲は一通り聴いたとはいってもそれぞれに思い入れがあるわけでもありません。
特に中盤の立て続けに6曲披露されたところなど、置いていかれてもおかしくなかったはずです。
ところがステージには、似た系統の曲でも7色以上のバリエーションがありました。
音源ではあまり気づけませんでしたが、一曲ごとに全く違う表現です。
それに加えてこちらの体力がすり減っている感じもなく、2時間通してもまだまだ見ていたいと思ってしまう内容でした。

一つには、好奇心を常に刺激され続けたのかなと思っています。
ダイナミックさよりも繊細さを持ち味とするelsyの振り付けは、他のグループではあまり見たことの無いような動作が多めでした。
蹴り上げるほどではなくキックするシーンや、ゆらゆらとした動きの直後ピシッと指を指すところ、首をかすかに動かす場面など。
まわるフラッシュバック」では手を腰にやってゆっくりと上半身を左から右に回転させています。
あまり見慣れない動きで、新鮮さがありました。
しかもそうした動きは、観ていて気持ちが良い。
なんとも説明しようがないのですが、見ているだけで満ち足りていくのです。
ここも大きなポイントでした。
そういえば「ハレルヤ!」はTIFの後しばらくヘビロテしていたのですが、間奏のダンスでの振り付けにもなんとも言えない爽快感がありました。

セットリストが次のページにいくたび、振り付けに予想を裏切られる展開。
想像の上を常に行っている振りは、初見だからということも幸いしてかこれまでのライブアイドルにない新しさがあり、「それでそれで?」と(こう書くとえらく上から目線ですが)興味津々で見ているうちに本編が終わってしまった感覚です。

他グループのコピーではない、独自の振り付けに加えて、やはりすごいのはそれを表現するメンバーでしょう。
ワンマンまでオフを一日も作らず(流石に何日かは休んだほうが良いとは思いますが...)5人でのパフォーマンスに磨きをかけてきたことが明らかに伝わってきました。
「頑張りが伝わったよ!」なんて軽いものではありません。
恐らく自分が惹かれていった微妙な動作は、それなりに長い時間をかけて熟成させなければ生まれなかったはずで、その月日が実感とともにありありと伝わってきたのです。
突き詰め、極めていったことが容易に想像できました。

振り付けも練られていて、前がミニスカートの新衣装は正面を向くと当然足が見えるのですが、横を向くと長めのドレスに変わります。
そうした振りの時、あつらえたようにしっとりしたシーンがやってくるからすごいなと思わされるわけです。

埋まっていたなら...

気が付けばライブは18曲目の「切なさ恋魔法」を終え、メンバーは何も言わず下手側に捌けていきました。
時間的にもここまでで本編終了。
久々に声出しでのアンコールかなと思っていたのですが、それよりも先にモニターに動きがありました。

緊急発表

全国ツアー開催の発表でした。
新宿を皮切りに、沖縄、神奈川、大阪、千葉...など8箇所を巡り、ツアーファイナルはヒューリックホールにて4周年ライブも兼ねて開催。
3年連続のツアー開催です。

初日までもう一カ月を切っていて、オフ無しの日々がやっと終わったと思ったらまたすぐツアーです。
しかも10月までの半年以上に渡る長期ツアーとなったのでした。
やがて出てきたメンバーは黒のグッズTシャツを身に着け、スタッフの方からはメンバーカラーの花束を受け取っていました。
そのまま記念撮影をして感想へ。

終わっていく流れかなと思っていたのですが、愛森さんが「大切な話をさせてください」と言ったところで空気が変わりました。
リーダーの口から飛び出したのは、まさかの謝罪の言葉でした。
「埋まられなくて申し訳ありません」
ノルマを決めてビラ配りを頑張ったにも関わらず、座席が十分に埋まっていなかったことは確かですが、悪いことをしたわけでもないのにアイドルのMCで「申し訳ない」なんて言葉が出てくるとは思いませんでした。
新井さんも同じようなことを口にしていたかと思います。

他のメンバーも「死に物狂いで準備期間はやってきたけど、これが私たちの実力」と下を向き、「本当はNight Paradeっぽく舞台セットを組みたくて案も出していたけど実力不足で叶わなかった」と言います。
「みんなで同じ方向を向けたことが嬉しい」という塩野さんのコメントもありましたが、多くは涙を流しながらいたたまれなくなってしまうようなスピーチでした。
これほどのパフォーマンスをする人でも、リアルな数字に打ちのめされてしまうことがあるのかと、現実世界に反映してむしろこちらも一緒に落ち込んでしまうところがありました。

ただ、自分に時折よぎったのは別の事でした。
メンバー5人とも、その時の感情を言葉にするのが上手いなと思ったのです。
気持ちをちゃんと文章として整えているところは見習うべきところだと思いましたし、振り付けの細やかさが実現できているのも、頭の良さから来る気がしました。

ファンの人を思って歌うと言った「大切な人」のあと「Brave my soul」の曲振りは橋本さんでした。
「またEX THEATER ROPPONGIに立ってリベンジしたい。その日までアンコールは取っておきます。」
大サビでは銀テープがフロアに向かって勢いよく飛び出しました。

感動的な締めくくりですが、自分はある種の恐ろしさに包まれていました。
もしこのライブがソールドアウトしていたら。
MCのコメント内容はもちろんのこと、演出までもそっくり変わっていたのではないかと考えたのでした。
理想的には、18曲終わったところまでで本編は終わり、久々のアンコールの声を聴きながらメンバーが出てきてファンと一緒にツアー解禁の喜びを共有していたかもしれない。
銀テープは本来祝砲だったはずです。
途端に鳥肌が立ってきました。

恐らく今回のライブを迎えるにあたり、ソールドしたAパターン、できなかったBパターンという2種類を用意していたのではないでしょうか。
今回はBパターンでしたが、売り切れなかったとて、見せ方としては思惑通りだったと思います。
訴えかける点では、言葉を選びながら話すメンバーの姿は効果的でした。
ほぼ初見の自分ですら「ツアーどこかはいけるかな」と、自分の趣味嗜好というよりは応援の意味合いでスケジュールを繰っていました。
前から推している方や久々に来た方などはよりその思いを固めたことと思います。
これだけ良いライブを見せられて、また節目で悲しい気持ちになってしまうのはやるせない。
だから応援しよう。
そういう連帯意識が生まれた気がします。

elsyが魅せたかったライブの答えはここにありました。
観る人の意識までelsyに浸からせることだったと思います。
これが、徹頭徹尾でした。

見出し画像:elsy公式アカウント画像を改変


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