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新聞配達‥夢を追いかける。



『出来ない言い訳をいつまでもお父さんのせいにしてはいけない。』
夢を追いかけることが出来ないのは‥
「家庭環境のせい」「お父さんが厳しいから」「貧乏だから‥」と
後ろ向きに呟いて出来ない理由を探してた‥

「もう誰かのせいにするのはやめよう。」
「自分の路を生きていこう。」

折角俳優養成所に合格したのだから
『夢を追いかけてみよう』と決心する路瑠。

俳優養成所の入所金は100万円、前期に50万円払う必要がある‥

路瑠は入所金を貯めるために新聞配達を始めました。

当時一般的なアルバイトの時給が500円代だった時代に
新聞配達は朝刊配達だけで月給15万いただけました。


新聞配達

お客様のドアポストに一軒一軒
毎朝ごとに世の中の情報を届けに走る。

配達員は毎朝3時に起き
新聞PRESS便のトラックは
大量の『今日配達する新聞』の束を運んでくる。

ドカッ、ドカッっと投げ下ろしては次の店舗に向かって走って行く。

店舗は新聞の束が来ると賑わい、
配達員は大急ぎで二つ折りした新聞の間に
折込み広告の束を手作業で一部ずつ入れていく。

そして、広告が入った新聞の山を自転車に積んで、
配達員はそれぞれ配達に出かけて走る。

自転車の後ろの荷台はもちろん前かごも新聞の束で前が見えない
沢山の新聞を積んで自転車は行く大体200部ほど積んでいる。

新聞は束になると嵩張るし重たい、
古紙回収で新聞回収日の1ヶ月分の30部の束を回収場所まで運ぶのに
『よっこいしょっ』『よいしょっ』と声が出るほど重たいはず。
30部であの重さ200部ならその約6.3倍だ。
自転車には、なるべく沢山積みたい
いちいち店舗に戻って追加の新聞を積み直していたら
家、家に、お届けする時間に間に合わない。

お客様が待っている。

自転車の前籠も後ろの荷台も一杯になる新聞200部は、
身長152㎝ 体重40Kgの路瑠の身体では、
自転車のハンドルのコントロールが利かず舵が取られて仕舞う。
何度自転車を倒して涙したことか‥

それでもお金が欲しくて朝刊200部を2時間ほどかけて配っている。

晴れの日も雨の日も嵐の日も雪の日も
嵐の日の配達2時間は辛い
台風の日は雨もすごいが『ゴーゴー』と鳴り響く風が
当りを震わせている中配達員は進んでいく。
皆様のお宅に「今日は台風だから新聞はお休みだったね」なんて日は
なかったことでしょう。

配達している人がいるただそれだけのこと

それでも嵐はまだ良かった、大変なのは雪の日。

雪の日は
新聞PRESS便のトラックが遅れてくる‥それでも‥
お客様は定時に新聞が来るだろうと待っている‥。

配達員の気持ちは焦る。
配達用の自転車の車輪は雪を噛んで動かなくなる…。

こうなると重たい新聞を積んだ
ただ重たい自転車を全身で押して移動するだけ‥
もう自転車はこげない‥。

雪道に足をズボズボと取られながら新聞を届けたい気持ち一心で
気持ちと身体を前のめりにしながら一軒一軒のお宅にに届けにいく。

寒いし、トイレにも行きたいし‥。
もう、ど根性の世界。

『夢を追いかける‥』その思いだけで配り終えていた。

配達が終わると配達員は専売所に帰ってくる。

所長さんはみんなに温かい朝食を振る舞い
疲弊して疲れ切った配達員も
お腹を満たしてそれぞれの家へ戻る‥

これから学校に行く学生さんもいれば
別の仕事に行くおばちゃんもいた。
「夕刊まで寝てくるわぁ」と言う専業さんも。

みんなそれぞれの世界を持っているけれど
過酷な戦いを終えた勇者のように
苦労を労いあっている‥。

『新聞を配達する』
毎日毎日情報を届け続けている‥。


路瑠は、俳優養成所の入所金を貯めることが出来ました。

父も「路瑠の金で、路瑠の好きなことをやるっているのだから
勝手にしなさい。」と言って‥
見守っている。


第11話



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