16歳

自分の根っこを見つける回。高校1年生から3年生までを3回に分ける。中学生の時よりは記憶もあるから、1回はなかなか長い。3回共通しているのは、Base Ball Bearが自分を助けてくれたことと、要所要所でthe pillowsが出てくること。自分でも今思えば不思議なぐらい、いいところでthe pillowsが出てくる。それを軸に書いていく。記事の最後には、高校1年生〜3年生の当時聴いていた、または聴きたかったBase Ball Bearのプレイリストを載せる。これで大体1年は網羅できそうな気がしている。「聴きたかった」というのは、当時発売されていなかったけど、あの時に聴きたかった曲である。3回に分けるとはいえ、大した人生を送ってるわけじゃない。気軽に読んでほしい。


高校からは、札幌の祖母の家に自分が居候する形で引越しをした。祖母と2人。はじめての自分の部屋がとてつもなく嬉しかった。新しい環境で、新しい仲間とバスケ。そう思っていた。

入学式はとにかく緊張していた。知り合いが1人もいない。ありがたいことに、自分の周りの人も同じ中学校の友達かいないのか、自分に話しかけてくれた。TK君とTY君。担任の先生はとにかく変わり者だった。初日から、自由と責任の話。「お前らは自由を履き違えている。なんでもしていいのが自由ではない。責任を持てることで、はじめて自由を行使できる。」そんなこと初日に言うのか。だけど言っていることは間違ってなかった。

そして念願のバスケ部の体験へ。以前も少し書いたので、ここは割愛。端的にいうと、面白くなくなった。死んだような目で楽しくなさそうに練習していた。バスケ部に入るのはやめた。今思えば1回の練習で決めるのはもったいなかったような気がしている。

そしてやることがなくなった。嬉しかった1人部屋も無駄に広く、寂しく感じた。ほとんどバスケしかしてなかったようなものだから、やることがない。アルバイトも原則禁止で、特段の事情がないとできない校則だった。お金もない。学校に行けば誤解を解く毎日。話しかけられたと思ったら、「ねぇ、今期のアニメ何見てる?」だ。例外なくこれしか聞かれない。周りにはどういう風に映っているのか。「今期って何?」って聞くとスッと去っていく。そこからは特段用事がなければ、そう聞いてくる人は話しかけてこなくなった。そうして自分はスクールカースト上位のグループでもなければ、オタクグループにも属さない、どこにも属さない人になった。ちなみにTKはカースト上位とオタクを行き来出来るバスケ部、TYはオタクグループの卓球部。でもお昼は一緒にご飯を食べていた。特に1人で困っている、というわけではなかった。

入学して何日か経って、担任の先生との面談があった。自分は順番がはやかった。先生のところに行くと、自分の心の中を全部覗かれているような感じだった。「なんとなくお前がバスケやらない理由もわかるよ。ただ、部活には入ったほうがいい。後々面接で話すことがなくなる。写真部とか見てみたら?あれならほとんど何もしなくていい。席を置くだけならちょうどいいと思うけどな。」そして写真部に入ることに。写真部は8月に行われる写真展に写真を出しさえすれば、後は何をしてもいい。そういう部活だった。写真部には、フィルムで撮影した写真を現像するための暗室が与えられていた。自由に使えるが、基本は写真部の溜まり場。隣の囲碁将棋部の部屋と行き来したり、雑談したり。だけど、写真部は女子と男子の比率が9:1。圧倒的に少ない。なんとなく暗室にも居づらかった。だから顔はほとんど出していなかった。家には祖父が使っていたデジタル一眼レフカメラがあったから、暗室に行かなくても困らなかった。

そうやって高校生活は始まった。ただ1日を浪費していく日々の繰り返し。学校がつまらなかったわけではない。クラスメイトとは満遍なく話していた。意外とクラス仲は良かった。だけど、放課後になればみんなは部活に行くから、自分は家にすぐ帰った。家から学校は徒歩5分。帰る方向が一緒の人はいない。とにかく時間はあった。だけどやることがない。何をしていたのかも思い出せない。勉強でもやってればよかったのに、勉強も好きじゃないから当然やらない。高校に入ってはじめて、インターネット環境があって、自分のパソコンがあった。だけど、やりたいことがなかった。iPodもほしくて買ったのにCDもない。曲がほとんど入っていない。唯一と言ってもいい楽しみはアニメのSKET DANCEを見ること。それぐらいだった。でもこの時iPodに入れてよく聴いていたのは、the pillowsのComic Sonicだった。

SKET DANCEのエンディング曲だった。当時はthe pillowsであることは気にしてなくて、ただ好きなアニメで流れるお気に入りの曲に過ぎなかった。これが最初のthe pillowsとの出会い。後に知ったが、SKET DANCEの作者もthe pillowsが好きだったのだ。後に作者が作詞して、the pillowsの山中さわおが作曲した曲もアニメ内で流れる。

そしてセルフカバーもある。歌詞を一部アレンジしてるのもいい。


高校は2学期生で、テストが前期、後期で2回ずつ、計4回テストがあった。前期中間テスト、最初のテストが終わると、学校は学校祭の雰囲気が漂う。以前は自分のバスケの時間を邪魔するだけのものだったけど、今は違うような気がした。だけど、通っていた学校の学校祭はあまり評判が良くなかったから期待はしてなかった。だけど、そんなに悪くなかった。普段学校にいない時間に学校にいるのが楽しかったし、そのおかげで普段話さないクラスメイトとも話をした。

写真部としては、学校祭準備期間中の写真を撮って販売と8月の展示会に出す写真の展示があった。同級生の写真部は4人しかいないのに、クラスは8組。自分のクラスともう1クラス写真を撮らなきゃいけなかった。すごく嫌だった。しかも全員漏れなく1枚は写さなきゃいけない。だけど学校祭特有の雰囲気でみんなのほうからカメラの画角に入ってきた。これは助かった。学校祭当日は写真販売の受付があったから、その合間で学校祭を回っていた。

学校祭1日目の夕方には有志ステージがあった。ダンスをしたりバンドをしたりする時間。それをTKとTYに誘われて見に行っていた。やっぱりカースト上位の奴らが出るようなところなんだと思った。だけど、TKは「来年出たいな」と言っていた。ギターが趣味だったみたいだ。その時はそんなに気にも留めなかった。

ちょうどその頃、アニメのSKET DANCEでも似たような話をやっていた。カイメイ・ロック・フェスという、学校でどのバンドが1番カッコいいかを競う大会。それに主人公たち3人も出るという話。主人公は一からベースを練習して大会に臨んでいた。アニメに連動して、主人公が組んだバンド、TheSketchbookをオーデションでメンバーを集めて実際に曲を出すという企画もやっていて、音楽に興味は沸いてはいた。でも自分がやるということは考えていなかった。音楽の授業でやったフォークギターが恐ろしくできなかったから。やっとiPodに入る曲が増えてきた程度に思っていた。

そのカイメイ・ロック・フェスで、主人公たちはthe pillowsのFunny Bunnyをコピーする。エンディングの前に、the pillowsのFunny Bunnyが流れる。

これがやけに響いた。サビの部分が少し流れただけなのに、すごく良かった。こんな曲がこの世にあるのかと。調べてこればかり聴いていた。でもこの時はComic Sonicのthe pillowsだと気づいてなかった。

学校祭も終わり、いつもの日常に戻る。夏休みはどう過ごしていたのか覚えていないが、とにかくやることがなく、あまり充実していなかったのは覚えている。今からでもバスケ部に戻ろうかとも考えていた。学校祭で仲良くなったクラスメイトもいて、TKやTYも含めて何人かでSkypeで話を、するようにもなっていた。麻雀をわからないなりにやったり、ゴッドフィールドという無料のPCゲームにどハマりしていた。

ある日、学校から戻り、Skypeのためにパソコンを立ち上げた。時間もあってなんとなくYouTubeを開いた。おすすめに出てきたのはBase Ball BearのElectric Summer。べーすぼーるべあー?どっかで聞いたことあるな。そんな感じだった。時間もあるし、一応見てみることにした。衝撃だった。これがBase Ball Bearとの出会い。モノクロだった自分の世界に色が入っていくような感覚。5分しかない登校時間に聴いて、下校中に聴いて、帰ってからはYouTubeでMVを見た。とにかくかっこよかった。校則で放課後以外は音楽を聴くのを禁止されていたけど、その時間も我慢できずにいた。

楽しみも増えた。21:00からやっているラジオ番組「スクールオブロック」を聴くこと。Base Ball Bearが水曜日に番組内のワンコーナーとして、「ベボベロックス」をやっていることを知った。このラジオを聴くのが好きだった。コーナーの始まりが、「AでもないCでもない、その狭間でモヤモヤしたBな生徒のための生放送教室、ベボベロックス」。クラスでどこにも属さない自分がまさに「Bな生徒」なんだと思っていた。

10月になったら体育祭。久々にバスケだ。バスケ部の人たちとは対等に渡り合えた。渡り合えるだけでは勝ちきれない。2回戦止まり。TKはどうやら本気らしい。バスケでもなく、体育祭でもない。学校祭でどうしてもバンドをやりたいらしい。その自分は音楽ブーム真っ最中。ドラマなら出来るかもしれない。指使わないし。すごい軽い考えで来年の学校祭に向けてドラムをやることに。ようやくやりたいことが見つかった。授業が終わるとこれまで以上にはやく下校し、練習をした。練習といってもできることはほとんどなかった。本屋に行ってドラムの教則本を買って読んだ。それに、TKがマンガ、「けいおん」のCDと楽譜を練習用にくれたが、声がどうしても受け付けなくて、2日で捨てた。

バンドのメンバーはTKが集めた。ボーカルはTY。「歌そんなに上手くない」と言いながらニコニコ動画に歌ってみた動画を投稿するようなやつだった。ギターはTK。もう1人のギターは他クラスのW君。WはTKと同じ中学校出身のソフトテニス部。結構弾ける。ベースは同じクラスのSさん。学校祭でもあまり話したことはなかった。Sは初心者。バレー部をやめて、暇になった時間で憧れのベースを練習していたそうだ。これに自分を加えて、5人でやることにしたのは天体観測。

はじめてコピーした曲。とにかく時間がかかった。耳コピなんて当然できないし、楽譜も読めない。楽譜を読むところからスタートした。8ビートを叩けるようになるまで5日かかった。まるでセンスを感じない。コピーの合間に少しずつBase Ball Bearのコピーもした。どうしてもBase Ball Bearの曲を叩けるようになりたかった。それだけがモチベーションだった。

そして正月。ありがたいことに、お年玉をもらえていた。それで1番安い電子ドラムを買った。そこから少しずつ上達するスピードも上がった。久々に父親に会って、そのことを話したら、父親もドラムをやってたことを初めて知る。そして実家の車庫の奥底にあったスネアをもらう。「いいペダルだから」とPearlのデーモンイリミネータードライブのシングルペダルをもらう。買ってくれたのか貰い物なのかよくわからないが、色味とかも気に入っていた。

学校祭に向けて練習をする毎日。そうしているうちに高校1年生が終わって、高校2年生になる。


とにかく思い出せるのはこれぐらい。なんとか軌道に乗ったような気がした。高校2年生は華の17歳。Seventeen。レモンが弾けるような日々。これからもっと生きてる気がするはず。黒い髪の君に誘われてABCを覚えられるような気は流石にしない。確実にこれからのほうが楽しくなると思っていた。嫌いだった学校祭が好きになって、やりたいことが見つかって。とにかくワクワクが止まらなかった。

次回は高校2年生。

終わりの前に、Base Ball Bearでどうしても見てほしいものがある。PERFECT BLUEという曲のMVだ。

これだけを見ると、売れる前の本田翼がただただかわいいMV。

でもこれを見ると、あることに気づく。

ベストアルバムに収録されている曲順で、これまでのシングル曲のMVの一部を本田翼が再現したものを繋ぎ合わせたMVであることがわかる。これをきっかけにBase Ball BearのMVを全部見てしまった。当時ではなく、これを書いている数日前も。こういうことができるBase Ball Bearが好きだ。

長々と書いてしまったから、ここで終わりにする。



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