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電荷の正体がわかれば電気の8割は理解できる【大人になって抱く電気のギモン_10】


部屋着が高校時代のジャージ

理系大学院卒現役エンジニア
兼フィットネストレーナー

サイバーサイエンスTAMOです。

電流と電圧について
いまだにイメージつかない人が多いと思います。
1Aって一体何がどのくらい流れる値なの?
1Vって何がどういう状況のことを言っているの?

これらは電荷という正体を知ることでわかります。

解説していきます。

電気の正体は電子という小さな粒だと以下の記事で説明しました。

また陽子も電気に関する粒だということも紹介しました。

陽子と電子は原子を構成する粒です。

そしてここからが面白いのですが、

陽子と電子はただの粒ではありません。

例えば、
2つの陽子を近くに用意すると、
互いに離れていきます。

磁石でいうN同士を近づけたときと似た現象です。

そして、電子も2つの電子を近くの場所に用意すると反発して離れていきます。


では陽子と電子を近くに置くとどうなるか?

お互いひきつけ合うのです。

まさに磁石のNとSののような現象です。

これらの現象の結果、
当然陽子と電子は
ただの粒じゃないということが分かり、
押したり引いたりしていないのに
動いてしまうこの力のことを

静電力

と名づけました。

この静電力を利用した全ての現象をまとめて

電気

と呼んでいるんですね。

そして静電力を持った粒のことを

電荷

と呼ばれます。

そして大量の電荷が同じ方向に移動する。

これを電流と言います。

電気回路の中ではこのような現象が起こっているということです。

さらに、陽子と電子は磁石でいうNとSのような存在なので、
区別できるように

陽子を+(正)の電荷
電子を-(負)の電荷

と定められています。

で、先ほど正の電荷同士
または負の電荷同士を近くに置くと反発し、
正と負を近くに置くとひきつけ合うと説明しました。

では具体的にどれくらいの強さで
反発したりひきつけ合ったりするのでしょう?

これは、粒がどれくらいの電荷を持っているかで決まります。

電荷の単位はクーロンと呼びます。

Cという記号で表します。
電圧の単位はボルトでVという記号で表すのと同じルールです。

で、電子1個が持つ電荷の量は

です。

値が小さすぎてイメージしにくいですが、
逆にいうと、電子が6.25×10の18乗個集まれば
-1Cというなんだかわかりそうな値になります。

このクーロンという値が大きければ大きいほど
ひきつけ合ったり反発しあう力が強くなります。

で、なぜマイナスがついているかというと
電子は負の電荷だからです。
これは先ほど説明しましたね。

一方、陽子は正の電荷でしたね。

例えば電子が持つ電荷-1Cと同じ能力を持っている
陽子の電荷の量は1Cとなります。

で、ここまで来れば
電流1Aが一体どれくらいの量なのかわかります。

電流とは、
1秒間で移動する電荷の量です。

1秒間で1C移動することを1A

と呼びます。

なるほどねと!

ようやく電流の具体的なイメージができましたね!

もう少し例を上げますと、

1秒間で2C移動することを2A流れるという。

0.5秒間で1C移動することを0.5Aという。

つまり、

電流 = 時間 × 電荷

という式が成り立つんですね!

なるほどねと!

電流の正体がわかった流れで
電圧の正体も暴いていきましょう。

こんな状況を用意しました。

陽子2つ配置しました。
すると反発します。

次に少し離して配置すると、
反発するものの先ほどより威力は弱いです。

次に間近に配置するとめっちゃ反発します。

磁石もそうですよね。
距離によって反発の度合は変わります。

陽子が持つ電荷によって電位というものが発生します。
電位の単位はV(ボルト)です。

電位は陽子に近い方が大きいです。
また電荷の大きさも電位に影響を与えます。
電荷が大きいほど電位も大きくなります。

この電位の大きさが反発の強さに関わってきます。

具体的にどれくらい電位が強いのかは以下の式で表されます。

εは誘電率と言います。

電荷が発生させる電位の強さは空間の状態にも依存します。

例えば、真空、空気中、ガラスなど、空間の状態によって誘電率は変わります。

真空中の誘電率は8.85e-12とイメージしにくい値です。
この部分をまとめると

となります。

ということは、

1/9×10の-9乗Cの電荷から1m離れた場所に発生する電位は1V

ということになります。

数字はまともに理解しなくてよいですよー

というわけで、
陽子Aから発生した電位の影響を受けて
陽子Bは影響がないところまで飛ばされます。

また同様に陽子Aも
陽子Bの電位の影響を受けて飛ばされます。

押し相撲でいう手が届かないところまで飛ばされます。

この場合電位が0Vのところまで飛ばされます。

この電位の差のことを電圧と呼ぶんですね。

この場合電圧は1Vです。

正と負の関係も同じです。

そしてこの現象を利用したのが電池

です。

2つの空間に正の電荷のかたまりと負の電荷のかたまりを封じ込めます。

そしてをれらを同線で接続すると
通路が完成するので、

正の電荷同士は反発し合い、
負の電荷同士も反発し合い、

負の電荷(電子)の移動が始まります。

本当はもう少し複雑なのですが、
細かい部分まで説明すると混乱するので
簡単に説明しています。

で、ある程度進むと正の電荷と負の電荷が出くわします。

そして後続の電荷も次々にやってきて最終的にこんな状態になります。

それぞれの反発力やひきつける力が均一になり、
動かなくなります。

この状態が電池の寿命が尽きた状態です。

電池の仕組みはもう少し複雑なのですが、
大雑把なイメージとしてはこんな感じです。

2つの空間(極)に正と負、それぞれの電荷が集まることで

極の間に電圧が発生する。
その状態で同線や負荷をつなぐと電流が流れる。

この仕組みが理解できたかと思います。

今回の話は少し難しかったですが、

電荷について理解することで
何故電池をつなげると
回路に電流が流れるのか理解できたかと思いますし、

電圧や電流について具体的に知ることができたかと思います。

今回は以上です。


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