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アースって何?【大人になって抱く電気のギモン_8】

中学校くらいまでは悪い奴が一番モテる


まいど!

理系大学院卒現役エンジニア
兼フィットネストレーナー

サイバーサイエンスTAMOです。

電子レンジや洗濯機とかについている緑の謎の線

役割がいまいちわからない。

電気の回路ってプラスとマイナスでしょ?

なんで3本目があるのよっ!

この3本目の線を俗にアースと呼ばれています。

このアースの正体と役割について説明していきます。

まず鉄則として

電流は電圧の高いところから低いところへ流れる
という物理の法則があります。

言い換えれば、
同じ電圧の場所には電流は流れません。

これを踏まえて
こういった回路があったとします。

上記の物理の法則より
当然電流は矢印の方向に流れます。

ではこの回路が2つあったとします。

そして、それらの0Vの部分を銅線でつないでみました。

そうすると橋渡しとしてつないだ銅線には電流は流れますか?

電圧が両方とも0なので流れません?

実はそうでもありません。

はぁ?

いきなり嘘ついてんじゃねえよというクレームが
全米から聞こえてきそうですが

もうちょっと詳しく電圧について説明します。

電気で離すとややこしいので日常に置き換えて説明します。

5階建のビルが2棟ありました。

1階にビル間を移動できる連絡路を用意しました。

安全に移動できるでしょうか?

そうでもありません!

はぁ???
またクレームが聞こえてきました。

理由を説明します。

もし、ビルBがビルAより高い海抜に建てられていたら?

連絡路に置いたボールはは転がり落ちてしまいます。

1階や5階というのはそれぞれのビルの基準です。

それぞれのビルの一番下の階を1階と決めているだけであって、
地上を基準にすると必ずしも1階同士は同じ高さとは限りません。

電気の世界に戻りましょう。

電気の世界でも同じ考えです。

回路Aと回路Bの0Vというのは
それぞれの回路で定めた値です。

多くの場合、電源のマイナスを0Vとして扱います。

厳密に言うと、マイナスは何Vかわからないが、
電源のプラスは、マイナスから5V高い電圧である。

という捉え方です。
電圧とはどこかを基準にして考えているんですね。

もしプラスを0Vとして定めると、
マイナスは-5Vとなります。

このように定めても電気は同じように流れます。
電気はその場その場の電位が何ボルトか?
という情報には興味がありません。
流れたい場所で電位の差(電圧)がどれくらいか?
というのが知りたいのです。

回路Aも回路Bも電池のマイナス部を0Vと
勝手に定めているのは人間であり、
その0Vというのは閉じられた1つの回路でしか通用しません。

海抜5mにあるビルAと
海抜10mにあるビルB
同じ1階という場所にいても
ビルAから見たビルBは5m高い場所にあります。

回路もそうです。

回路Aのマイナス部から見た回路Bのマイナス部の電圧は
もしかすると3V高いかもしれません。

そのような状態で銅線を接続すると
回路Bのマイナス部から回路Aのマイナス部に
電流が流れます。

一番初めのこの図を思い出してください。

本来同じ電位だと思い込んでいた場所に
電流が流れる。

これは人間にとっては予期せぬ出来事です。

場合によっては重大な事故につながります。

これを防ぐ為にアースを用意します。

あらかじめ基準を作っておきます。

基準となる銅線を用意しました。
銅線内ではどの位置でも同じ電圧です。
この同線を基準(0V)として定めます。

この銅線に2つの回路のマイナスを接続します。

その後電源を接続します。

すると、互いのマイナスは0Vに固定されている為、

銅線を接続しても電流は流れません。

ビルも同じ。
互いの1階を海抜5mの場所に建ててやれば

ボールは転げ落ちることはありません。

さて、ここまでの話を踏まえて

アースの重要性を説明していきます。

まず事故の例を説明します。

アースにつないでいない電子レンジがあったとします。

まずアースの先はどこにつながっているのでしょう?

大地です

何故大地か?

電源の基準(0V)を大地にしているからです。

大地にぶっさして接続しているんですね。

なぜ大地に接続しているのか?

大地は言い換えれば地球です。
とてつもなく大きな体積です。

もしアースを小さな金属板ななどに接続すると、
流れた電気を逃がしきれず、
基準としていた電圧が変動し、
0Vでなくなってしまいます。

そうなれば故障や事故の原因につながります。

大地につなぐと万が一大きな電流が流れても
逃がしきることができて基準電圧を保つことができます。

というわけで家庭の電源は大地に接続されており、

アース線も大地に接続されているのですが、

アースにつながずに電子レンジを使うと、

最終的に大地につながっている人間を介して電流が流れます。

人間と電子レンジの間に電圧が発生している可能性があるからです。

通常は感電しませんが、
手や電子レンジが濡れていたり、
電子レンジの筐体に電荷が貯まっている状態だったりすると
感電の可能性が高まります。

危ないですね!

もし電子レンジをアースに接続しておくと、

電流は人間もしくはアース線のどちらかを介して電流が流れますが、

アースは人間よりはるかに抵抗が小さいので、
ほとんどの電流はアースを伝って流れていきます。

電子レンジ以外でも
例えば自動車に乗っている電子機器は
全て自動車の車体の金属部をアースとして
接続しています。

アースの正体と役割がお分かりいただければ幸いです。

ではまた!


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