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自民党総裁選 仙台街頭演説会【石破茂】文字起こし

 
 総裁選挙管理委員会主催の街頭演説会が9月16日に仙台市青葉区で行われました。
 夕方6時から始まった安倍首相の演説は、普段テレビ等で見る演説とあまり変わり映えしない、はっきり言えばいつものテンプレ台本そのものでした。
 しかしその後の石破茂氏の演説はかなりの部分をその地方に合わせた内容になっており、また分かりやすいものになっていたのではないかと思います。私自身、石破氏のこの主張すべてを支持するわけではありませんが、しかし、ここに文字起こししておきたいと思います。


石破茂:みなさんこんばんは、石破茂であります。今日はこうして三連休の中日、お話を聞いて頂く機会を頂きまして誠にありがとうございます。
 多くの災害で困難の中におられる方、心からお見舞いを申し上げ、命を落とされた方に哀悼の誠を捧げて参ります。

 どうしてもこの仙台に来て、東北に来て、忘れることが出来ないのは、3.11東日本大震災、大津波、原発事故。あの時に我々は、我々が至らなくて野党でありました。谷垣総裁の下で私は政調会長をやっておりました。
 震災が起こって間もなく飛行機で山形空港に入り、そこから陸路で仙台に入りました。多賀城に行きました。まだ水が浸かっている、多くの行方不明の方、悲しいことにご遺体になってしまわれた方、まだそこにはおられました。日本国中から自衛官がやって来て、一番悲しかったことは何だ。自分の子供と同じくらいの年の子どもの遺体を背負う時が一番悲しかったと。
 その後は女川に行きました。無理をお願いして避難所に一晩泊めてもらいました。泊まらなければ分からない。泊まって一晩ご一緒させて頂いて本当の話を聞きたい。一晩泊まったくらいで何が分かる、そういうお叱りを覚悟で参りました。
 「石破さんね。何で我々はあちこち陳情しなければいけないんだ。農林水産省に行ったら経済産業省に行けと言われ、経済産業省に行ったら厚生労働省に行けと言われた。国は一体、被災者のことをどう考えているんだ」
 怒鳴られました。あの時ほど自分たちが野党であることを申し訳なく思ったことはありません。
 一周年、東京の国立劇場でおそれ多くも天皇皇后両陛下のご臨席の下、追悼一周年式典が行われました。岩手のご遺族の方、福島のご遺族の方。そして宮城のご遺族の代表は石巻の女性の方でした。
 「がれきの山になった自分の街を見て、地獄はここなんだと思った」
 私は今もその言葉が耳から離れません。この仙台でも50万戸ある内の10万戸が全壊か半壊。亡くなった方は850人。我々は決してあの大震災、大津波、原発事故を忘れてはならないのであります。

 これから災害列島と言われる日本、何としても強い国にしていくために、この東北のあの悲惨な体験を活かさなければなりません。私は面白おかしくて防災省と言っているのではない。復興庁を作る時も、民主党政府はこんなものいらないと言った。そうではないだろうと。防災と復興そのものだけを考える、そういう省庁が我が国になくてどうする。この東北のあの悲惨な体験を復興庁を発展的に組織替えすることによって災害があって全力で対応するのは当たり前なことだ。
 だけれども何で北海道であんなに電源が落ちたりする。儲かるからと言って発電所を集中させたからあんなことが起こったんです。
 何で関西空港でまだ電源が復旧しなかった。波が来たら被るような所に発電機を置いた。そんなことやっちゃいけないって学んだんじゃありませんか。
 何で大阪でブロック塀が倒れた。女の子が死んだ。あんなブロック塀、作っちゃいけないってことじゃなかったですか。
 きちんと点検をし、災害が起こっても誰も亡くならない、傷つかない、そういう体制を早急に作ることは政府の責務だ。私はそのように固く信じています。

 そして何よりも恐ろしいことがもう一つ。この国は恐ろしく人口が減るんです。2040年、あと22年、日本人は2000人減る、・・・2000万人です。80年経ったら日本人は半分になる。この仙台だって、いよいよ人口の自然減が始まる。亡くなる人の方が生まれる人よりも多い。自然減ていいます。この仙台でも人口が減り始める。あと2年経ったら本当に仙台そのものの人口が減り始める。減らないのはここの青葉区と宮城野区ぐらいのものであって、あちらこちら人口が減り始める。
 あと20年で日本人は2000万人減り、80年で半分以下になる。どうやって社会を支えるんですか。どうやって医療を支え、年金を支え、介護を支え、子育てを支えるか。経済を伸ばしていかねばならないというのは、経済を伸ばしていかなければ社会を支えていくことが出来ないからです。
 その伸びしろは一体どこにある。大企業は儲かったでしょう。株は上がったでしょう。年収1億円以上なんていう経営者は何と538人もいるんです。だけど、それで中小企業は豊かになったか? 個人は豊かになったか? 会社は史上最高の利益を上げても、会社の稼ぎから労働者にまわるお金の率、史上最低に近い。43年ぶりの低水準だった。
 企業が儲かっても、株が上がっても、それが地方に来るわけではない。地方の稼ぎは地方が生んでいかねばならないのであって、雇用の8割、経済の7割、これは地方が支えているのです。そこを伸ばさないで、どうしてこれから先、日本の国がやっていけるんだと。地方を伸ばしましょう。地方に雇用を生む。それは地方の持っている力を最大限に伸ばしていくことなんです。秋田であれ、岩手であれ、山形であれ、宮城であれ、青森であれ、そこにしかないものがたくさんある。それを求めて世界中から人がやって来る。そういう日本を作って行かなければなりません。

 ここ仙台、ここにしかないものっていっぱいあるんじゃないですか。何も牛タンだけじゃないです。いつも牛タン買って帰るんですけど、私は牛タンサイダーがあるというのを知らなかった(会場笑い)。牛タンサイダー、牛タンライス。これはどこか行ったら買えますか。そういうものは日本国中ここにしかない。
 そしてもうすぐお彼岸です。考えてみれば今日は私の父親が37年前に亡くなった命日だなとさっきから思っておりました。
 お彼岸、ぼた餅。それは秋保温泉にある主婦の店さいち。何て言ったって一日でぼた餅が5000個売れるっていうんだからね。こんなお店がいったい日本国中どこにある。
 漁業も目いっぱい伸ばしていく。気仙沼、石巻、いろんな所の漁業、人手が足りません。でも今、気仙沼で始まっていることは何ですか。鱈っていう魚がありますね。雄が高く売れますか、雌が高く売れますか。鱈子がある雌よりも、白子のある雄の方が3倍くらい高く売れるんですって。でも見た目だとどっちがどっちか分かんない。最新の技術で超音波を当てると雄だか雌だか一発で分かる。そういうような技術が進むことによってコストが下がり期間が下がり価値が上がる。
 石巻。ホタテの貝毒があるそういう部分も瞬時にどけることが出来る。そういうロボットを開発している。漁業も最大限にITを活かすことによって労働力の節減を図り価値を上げ安全性を上げることが出来るのです。この宮城にしかないもの、仙台にしかないもの、東北にしかないもの、たくさんあるのです。それを最大限に伸ばすことによって、東北に宮城に雇用と所得を最大限にもたらす。

 もう一度申し上げます。労働者の8割は地方なのです。経済の7割は地方なのです。中小企業なんです。伸びしろがいっぱいあるんです。それを伸ばしてこの日本の国を支えましょう。医療も年金も介護も子育ても、もう一度考え方を整理しましょう。なぜならば人生85年時代になりました。そして病気も生活習慣病であり、認知症であり、ガンであり、今までとまったく違う病気が出てくるようになりました。
 女性の方に活躍していただかねばならない。なぜこの宮城県は婚姻率、男性と女性が結婚する割合、全国で5番目に高いんですか。この宮城県は全国で5番目に結婚する人が多いのに、何で赤ちゃんが生まれる率が、一番低いのが東京、その次が京都、それから北海道、何でその次が宮城なんですか。
 どうしてこんなことが起こるのか。これをどうやったら解決できるか。これも社会保障の問題です。私はなぜだか分からない。だけど一つだけはっきりしていること。宮城の女性はお家に帰る時間が遅い。日本で2番目に遅い。東京の次に遅い。何か理由があるんでしょう。どうやって働く女性にとって、結婚し、お子さんを産みやすい社会を作るか。そして病気になったらきちんとお医者さんに掛かれる。体が不自由になったら介護を受けられる。
大事なことです。絶対に守ります。
 しかしですよ、病気にならない社会、介護を受けなくてもいい社会、そういう社会を作っていかなければならないんじゃないですか。どうしたら病気にならない、どうしたら介護を受けなくても済むか、どうしたら人生を幸せに生きることが出来るか。
 社会保障のシステムを根本からもう一度見直して一人一人の幸せを実現する。そういう社会保障を作って参ります。それは今すぐやらなければいけません。

 今すぐ人々の幸せを実現するためのそういう会議を作ります。お医者さま、看護師の方、介護の方、保育の方、行政の方、すべての関係する人に参加をしてもらうこと。あれを言っちゃいかん、これを言っちゃいかんというタブーは一切無しにすること。そこに立つデータは絶対に正確なものでならなければならないこと。記録は必ず残すこと(会場拍手)。会議は全部公開をすること。
 政治は誰のためにある。行政のためにあるわけではない。国民のための会議を作ってどのような社会保障にするかを設計し、そしてそのためにはどのような財源が必要か、きちんとそれに答えを出して安心して暮らせる社会を作ることは政府の責任であり国家の責任であって、石破茂は必ずやり遂げることをお約束を申し上げる(会場拍手)。

 憲法。憲法に自衛隊をきちんと書きましょう。と同時に日本国の独立を守り、平和を守り、誰から守るんです。どこから守るんです。日本に手をかけようとする外国の勢力から守るんですよね。外国の勢力は日本の法律なんて守りません。国際法に従って行動します。自衛隊もそのことをきちんと書く。それだけのことです。そのことをきちんと実行し、自衛官の労苦に報いる。そのための憲法改正を行います。

 最後に、政治に信頼が必要です。安全保障にしても社会保障にしても、国の在り方を根本から改めます。その時に政治に信頼が無くてどうしますか。
 この政府だったらば一緒にやろう、そう思ってもらわなくてどうしますか。官邸はきちんと記録を残します。ひたすら国民のために働き、国会議員もそう。官僚もそう。誰のために仕事をするか。ただただ国民のために働く、そういう政府を石破茂は作ります。
 私は何者もおそれない。国民の心が自民党から離れることだけがおそろしいのであります。
 石破茂は自民党が国民から信頼されるよう、そして国民とともに一緒に歩む政府を作るために全身全霊を尽くして参ります。
 どうぞ皆様方、ご支持、ご支援を心からお願いしてご挨拶を終わります。どうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました。

(上写真:夕方5時半頃の様子)

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