人が辛いのって、分かってもらえないときや何かを知らないとき── #理想のマネジャーってなんだ、取材文字起こし全文公開16

サイボウズの副社長・理さんの「マネジメント」に関する考えをまとめる「新しいマネジャーの教科書」本プロジェクト。会社が「個人を縛る組織」ではなく「自立した個人が集まる組織」になっていくであろうこれからの時代には、どのようなマネジメントが必要になってくるのでしょうか?

本書籍を作るために、先月、編集&ライティング集団WORDS(ワーズ)の竹村さんによる、3日間に渡る取材が行われました。その取材の文字起こしを全文、十数回に渡って公開しています。

今回も、10/22(月)に開催した公開取材イベントの文字起こしです。

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雑談はどういう規模のマネジャーがすべきか?

質問者D:雑談の、「誰が聞くか」って非常に重要なポイントだと思うんですけど、どのぐらいの規模のマネジャーがすべきなのかを教えていただきたいです。部門横断的に他の部署にもまたがって1人の人が聞いたほうがいいのか、それぞれが聞いたものをその上の人が吸い上げたほうがいいのかとか、そのあたりの情報を吸い上げるポイントがあればお願いします。

山田:例えばどんなぐらいの規模の組織で、どういうイメージですか? 

質問者D:私の場合は製造業で、営業、生産管理、開発など、いろんな部署があるんですけど、それぞれで思っていることや問題点があるので、全体を把握して聞ける人ってなると、理解をするっていうのがなかなか難しいんです。1人の人が聞こうとすると雑談のコストが上がってしまったり、お互いに時間がかかってしまう。

ただ、それぞれの部署の長が聞くと、部門横断的な情報、問題点がなかなか浮かび上がってこなかったり、そういった問題があると思うんです。誰が雑談をするべきかっていうところが結構ポイントかなと思いました。 

山田:なるほど。うちも今の段階ではヒエラルキーになっていて、組織図があって、各チームから部になってるんですけど、チーム・部署があるときには一応リーダーって呼ばれたり部長って呼ばれたりする人たちがいるんですね。よく僕が言うのは、やっぱりレポートラインが基本です。

本部長、部長、リーダーがいて、その人たちがレポートライン。最低限、自分の直属のメンバーと直接話せばいいので、5人とか多くても10人くらいだと思うんですよね。そこの情報を聞く。

部長の下にリーダーが5人いたら、リーダーたちがその5人の情報を聞く。そして、そこで何かあったら、その情報をシェアする。全部が全部シェアしないですけれども、必要なことがあったら少なくともレポートラインと本人にはシェアしていくのが理想だなっていうふうには思います。隣の部署を聞いていくっていうのは、隣の部署の部長のやる仕事だと思うので。そこの部署が雑談してない所とか全然あると思います。でもそれは本部長の責任ですよね。

ただ、少なくとも自分が見ているメンバーは自分が把握していくことが、チームをマネジメントするっていう意味では、まずは大事なのかなと思います。部門がまたがってしまうと、これって経営っていうところに行くじゃないですか。自分がマネジメントしてない所をどういうふうに改善するかは、さっき言った、僕にしてみたら「そんなん僕の責任ちゃうし」「僕、そこの権限持ってないし」っていうふうになるんですよね。

だから、そこの権限を持ってる人に上げることが自分の責任ではあると思うんですよね。自分の庭だけきれいにしたらいいっていうわけじゃ全然なくて、自分の見るべき所を、そうやって情報をちゃんと的確に事実を集めて、然るべき所に上げる。そして、然るべき人にちゃんと判断して動いてもらうようにすることがまず大事かなと思います。

そうじゃないと、全社を変えていくって、なかなか大変なことだと思います。僕もそれは全然できていないし、さっき言ったように聞いても上に上げるし、上げて社長がやらなかったら「そういう会社なんだ」って思う(笑)。なんでかというと、優先順位があって、全社を見たときに持ってる情報が違ったりとか、感覚が違ったりするので、そこでつける優先順位は違うんですよね。悪い意味で「そういうような会社なんだ」ってことではなく、優先順位をつけるのはつけるべき人がつければいいと思ってます。

もちろんその優先順位について「なんでなんですか?」っていうのは聞きますよ。そこは説明責任を果たしてもらって、それが聞けたら「なるほどね」って思う。  

働きやすさを引き出すコツ

質問者E:私、営業部なんですけれど、やっぱり売上のノルマや目標がまずあって、それだけ追っかけていくと苦しくなってくるので、期のタイミングの面談とかでも「やりたいことって何?どういうことをやってると楽しい?」ってメンバーに聞くんですけど、あんまり出てこないんですね。

「べつに、そんなやりたいこと、うーん……」という感じで、割と、苦しくなくそれなりにできてればOK、という人が多くて。雑談の仕方がそんなに良くないのかなと思うんですけれども、働きやすさや活き活き働くこともまた成果に繋がっていくんだろうと思っていて、働きやすさ、活き活きを引き出す、よく知るコツみたいなものがあれば伺いたいです。 

山田:言われてること、本当にすごくよく分かるんですよね。難しいですよね。営業のノルマっていうのが。僕のさっきの話っていうのは「ノルマっていうのをなくそう」っていうふうにしてなくしたので、これって社長レベルや会社の経営レベルで変えないといけないことじゃないですか。

でも、そのノルマがある中で自分のチームをマネジメントしていって、メンバーを活き活きしてもらうっていう課題になっていくのは、結構限定的だと思うんですよ。元々のカルチャーってそこまで変わらないんで、その中でやれることは、1人ひとりの「何がやりたい」っていうよりは、その前に「うちのチームで何やろう」っていう理想をつくるところとか、もしくはその会社自身がどんなふうになりたいかって思ってるのか、何をやろうかって思ってるのか、そこから自分の部署の役割は何なのか、これをちゃんとやっていこうね、それが世の中に対してこういうふうな価値を与えてるんだよっていうこと。

よく言う石切職人の話とかあるじゃないですか。「何やってんの?」って言ったら「このカッチカチの石切ってんねん。見て分からへんのか」って言うのか、それとも「みんなの心がやすらぐような教会を造るために石を切ってんねん」って思うのかで石を切るときの気持ちが変わっていく、それでモチベーションが変わっていくところがあるので。

チームの次は、個人の理想。1人ひとり個性があるじゃないですか、その個性をちゃんと見て、されてるかもしれないですけど、ちゃんと理解して、「得意・不得意をちゃんと理解してるよ、把握してるよ。その中でこういうことをやってほしい」っていうコミュニケーションをしていくところなんですかね。

僕、社内で色々やってて思うのは、本当に人が辛いのって、分かってもらえないときや何かを知らないときが多いと思うんです。ノルマを達成するっていうところで、会社の全体の目標や目的があるじゃないですか、経営のレベルで色々ブレイクダウンしていくと、そこにノルマがあって、「なぜこのノルマになってるのか」とか、「それを達成すると、会社として次どうなるのか」ってあるんですけど、意外とそこの情報が分断されてたりするんですよね。

そこを質問責任じゃないですけど、上の理想を聞きにいって、ちゃんとそれを下に伝えることもすごくマネジメントとして大事なことで、意外とそこが分かるとスッキリしたり納得したりします。ノルマがあることを否定するのであれば、その会社に多分入ってないと思うんですよ。そこはある程度、許容してる。なので、そういう結節点として理想をちゃんと繋いであげるっていうことがマネジャーとして大事なところかなと思ったりします。 

質問者E:大変参考になりました。ありがとうございます。 

理想はどうやれば伝わるのか?

質問者F:今おっしゃってた会社としての目的が、多分、理想は全社員にそれが伝わるっていうことだと思うんですけど、ビジョン・ミッション・バリューを伝えるために何か施策というか、どういったことをすればそれがみんなに伝わるようになるのをお聞きしたいです。 

山田:どのくらいの規模のイメージですか?全社ですか?

質問者F:全社です。小さい会社なんで。30人40人ぐらい。

山田:具体的にうちがやってる、例えばアメリカで今僕がやってることは、週に1回だけ朝礼があって、それはWebでリモート参加してもよくて、その30人の中の1人はCEOであったり僕であったりするんですけど、みんなは自分の活動報告が主ですが、僕やCEOは大事だなって思うことを週に1回直接伝える場として使ってます。

参加する人もいたら参加しない人もいるけど、基本的にはみんなで情報を共有するためにやってるよって伝えていて、30分間だけ。「スタンディングミーティング」でとにかく立ってるんで早く終わらそうと、1週間に1回だけ時間をつくってっていうのを毎週やってます。

でも、そこでもタイムリーに常に言えるわけでもないので、あとは社内的なブログやグループウェアでつぶやいていくとうのをやったり、月に1回全社で会社の業績報告も含めて集まったりもしていますね。結構リアルな場もちょこちょこ週に1回、月に1回、短い時間ですけれども持つのに、プラスして、バーチャルも入れてやっていくことを、本当繰り返すだけですね。でも、なかなか伝わらないです(笑)。

僕が言うのもなんなんですけど、大事なことなんて、経営や自分がリーダー、マネジメントとして「すごく大事だ。だからこれやろう」って言って、みなさんも逆の立場だったら分かると思いますけど、その瞬間に大事だと思ってなかったら、そんなん聞いたって「ふーん」って多分みんな流すと思うんですよ。

でも、何かが起こったときにピンとハマるときがたまにある。「なるほどね。それ大事かも」って。だから、このハマるときまで続けないと伝わらないと思うんですよ。すぐに一網打尽で「こうやって掲示したら、みんな見てくれて分かるはず」とか、「1人ひとりにこう言ったら分かるはず」とか。

だから、定期的に繰り返して……だって、繰り返さないってことは、本人自体が大事だと思ってないってことじゃないですか。マネジメントでよくあるんですけど、昔、「大事だ」って言っといて繰り返さない。そのときにふと思ったことが、「大事だ」って言葉で言ったって、そんなん透けて見えるんですよね。本当に大事だと思うことは繰り返していくから、繰り返していった部分っていうのは伝わっていくし、ベタですけど、繰り返すっていうことはすごく大事かな。そもそも簡単には伝わらないと思っといたほうがいいです。 

質問者F:ありがとうございます。  

山田:どんなアドバイスや?って感じですよね、すいません…「伝えたいことは伝わらないですよ」みたいな(笑)。  

質問者F:僕の場合は、社長に「すごい大事だよ」っていうのを何回も何回も説いているんですけど、なかなかそれが伝わらなくて。 

山田:ああ、社長に? 

質問者F:はい。社長に伝われば、社長から社員に伝えるっていうことができるなと思うんですけど、僕1人の権限だとなかなか全社員にって難しいので、そのあたりを、みんなでグループワークするとか、そういう策が例えば何かあればなと思ったんですけど。 

山田:僕らは、そういう意味では研修みたいなので社内の問題解決のワークショップっていうのをやって、みんなで集まって、「モヤモヤとかがあったら出そうね」っていって、研修の課題にして、それぞれが自分たちで課題を出して、モヤモヤを可視化して議論する。そういう研修を定期的にやったりしてました。研修っていう名前で、ワークショップをやると問題が出やすいし、出ると可視化されて、それはいいですよ。 

質問者F:分かりました。ありがとうございます。

 

(つづく)

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サイボウズ「新しいマネジャーの教科書」本プロジェクト

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「次世代のマネージャーの教科書」ができるまで

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