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京都タブージャーニー【2016年8月号第1特集】

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記事一覧

京都における光と影──伝統を支えたのは在日朝鮮人? 京が誇る友禅染と西陣織の裏面史

――京都が誇る超高級伝統工芸といえば、京友禅や西陣織が有名だろう。しかし、それらの生産においては、被差別部落民や在日朝鮮人の存在が欠かせなかったことを知る人は少ないのではないか。そこで今回は、京都の産業を支えてきた被差別部落民、在日朝鮮人にスポットを当て、その裏面史を追っていきたい。

註:日本に居住する韓国籍や朝鮮籍の方についてはさまざまな呼称が存在するが、本稿では特に断りのない限り「在日朝鮮人

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「餃子の王将」社長はなぜ射殺されたのか――同和問題に暴力団、行政の腐敗…京都社会の裏を描くブックガイド

――今月の特集では、観光や宗教、または芸能、音楽といったアプローチから“京都”という街を見てきた。だが一方で、表立っては語られづらい“タブー”も存在する。本稿では、そんな京都の暗部、そしてタブーに正面から向き合った力作を紹介したい。

『水平社の原像―部落・差別・解放・運動・組織・人間』(解放出版社)

 全国水平社創立の地であり、部落解放運動が長らく行われてきた京都。戦後は被差別部落への同和予算

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京都の賎民は“高待遇”を受けていた!? 京都における賎民史

註:日本に居住する韓国籍や朝鮮籍の方についてはさまざまな呼称が存在するが、本稿では特に断りのない限り「在日朝鮮人」とした。また、被差別部落について具体的な地名や過去に差別的な意味で用いられた呼称を記載するが、これは差別を助長するものではなく、歴史的な事実・経緯を説明するために使用する。

 被差別民(賎民)の起源に関する最新の研究では、「近世政治起源説」を否定し、賎民の起源を中世の惣村からはじき出

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過疎と高齢化がすすむ京都府の山奥に移住するワケ――京都市内だけが京都ではない!Iターン増えるもうひとつの京都

――京都と聞くと、どうしてもお寺や芸妓さんなどを想像してしまうが、それはあくまで京都市内の話。市外に目を向ければ、舞鶴や福知山などの自然豊かな北部地方があり、「海の京都」をPRしている。京都の中心街以外について、Iターンで同地に移り住み、伝統構法で大工仕事を手がける金田克彦氏に聞いた。

大」(だいかね)建築の金田克彦氏(右)と、妻の博子さん。自宅を利用した農家民宿を、ご夫婦で営んでいる。

「ほ

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「古都京都の文化財」付近の最新不動産事情――景観重視か修繕費捻出か?神社が抱えるジレンマ

――世界遺産「古都京都の文化財」の付近に住むのは難しくなく、一人暮らしで4万円台の物件もあるという。さらに最近は世界遺産の敷地内にマンションが建設されたりもしているらしい。世界遺産にマンション? 表と裏を使い分ける京都。そんな風情ある京都の世界遺産の近くでの暮らしに憧れる人のための、最新不動産情報を徹底解剖。

多くの物件資料は「世界遺産のマンション」として、古の寺社仏閣が日常的な風景となることを

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古都の闇を牛耳った怪紳士たち――山段芳春、滝西清吉に許永中…フィクサーを生み出す京都の土壌

――本特集でも度々触れている通り、かつての京都といえば怪しいフィクサーが跋扈していた。なぜ彼らは京都を舞台に暗躍したのか?

『黒幕といわれた男―山段芳春の素顔』(洛風書房)

 かつて京都という街には“妖怪”が棲んでいた。神話や怪談の類いではない。山段芳春、滝西清吉、厳密には大阪の人間だが、京都を舞台に暗躍した点でいえば許永中……。闇の人脈と資金力で行政や企業の運営に思うがままに介入し、操ってき

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大手デベロッパーの進出が引き起こす京都の“まちこわし”!? マンション乱立で迫る「京都が京都でなくなる日」

――京都の経済や行政といえば、かつてはさまざまなフィクサーが暗躍してきた。近年ではそうした人物は影を潜め、その半面、東京の大手デベロッパーが流入している。もちろん反発を見せる市民は多いが、それもお構いなしで、行政もこの開発を後押ししているという。果たして、京都はこのまま食い物にされてしまうのか?

現在、京都市内はデベロッパーによる高級マンションの建設ラッシュとなっている。各サイトを覗いてみれば、

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カルト化するのは新宗教だけじゃない──世界遺産の伝統宗教・延暦寺、仁和寺のヤバさ

――ここまでは、京都の新宗教について見てきたが、日本一の宗教タウンに“カルト”は存在しないのだろうか? 「やや日刊カルト新聞」の総裁・藤倉氏に話を聞いた。

比叡山延暦寺の国宝・根本中堂。こちらもまた、比叡山一帯がその修行の場となる天台宗の総本山だ。

「京都の新宗教というと、新しいところでは『念佛宗三寶山無量壽寺』も気になるところです。現在は本山を兵庫県に移していますが、もともとは京都・嵐山で誕

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京都は宗教の“集積回路”だった? 京都最強のパワースポット、伏見稲荷・鞍馬山が新宗教なワケ

――京都といえば、神社仏閣が欠かせない。そして、そこにはさぞかし深い歴史があるのだろうと思いがちだが──実はその神社仏閣、意外にも近代に成立した、新宗教のものかもしれないことをご存じだろうか? ここでは、京都市内における2大新宗教スポットから、その歴史的意義を再検証していきたい。

モノクロではわかりにくいが、伏見稲荷大社の真っ赤な千本鳥居はあまりに有名だろう。山頂まで続くこの鳥居の道中にも、お塚

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京都にとって天皇は“神”なのか? 奈良・京都と天皇を結ぶ宗教的見地を紐解く

――日本の歴史をひも解くと、実にその半分以上の期間、天皇は京都に居を構えていたことになる。今では数多くの寺社とともに国際観光都市として名を馳せる京都において、天皇とはいかなる存在だったのだろうか? 日本史、そして宗教的な見地から見ていこう。

江戸幕府の将軍が京都に来た際の宿泊所として使われた二条城。(写真/永野一晃)

 京都と奈良──。この2つの古都は、かつて平安京と平城京という、天皇と時の政

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海老蔵が事件後にさっそくハッスル!ジャニーズJr.がタニマチ探し!? 芸能人・京都お忍び盛り場MAP

――古くから東映や松竹の映画撮影所があったり、ライブハウスやクラブも多いのが京都の街。東京ではお気楽に遊べない芸能人たちも少し気を緩めて騒いでいることも多いようだ。さらには、売れていない関ジュなどが「お持ち帰り限定飲み会」を盛んに繰り広げたり、現地の業界関係者と飲み歩く姿も見られるとか……。ここでは、そうした関西芸能人お遊び事情を掘り出し、京都の盛り場裏MAPをお届けする。

 1200年の歴史を

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岸田繁が寄贈したアンプは修理中…京都音楽の代表的バンド・くるりを生んだ軽音サークルの現在

――立命館大学の音楽サークル、ROCK COMMUNEはくるりが在籍していたことで知られる。そんなサークルの今の様子を確かめに行ってみた。

ROCK COMMUNEの練習場の様子。

 くるりやキセル、ママスタジヲらを輩出した立命館大学の軽音サークル、ROCK COMMUNE。練習場がある学生会館を訪ねると、部長の市川駿汰さん(3年生)が話を聞かせてくれた。

「今、部員は約25人、バンドは15

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音楽と学生運動の邂逅か、それとも極左暴力集団の巣窟か!? 京都大学・熊野寮に潜入取材!

――こちらの記事でも触れた通り、京都のバンドが学生運動に没入することもあった。その時代から新左翼運動の活動家たちが潜んでいるといわれてきたのが、頭脳明晰な学生たちが通う京都大学の熊野寮である。

京大の正門付近に立てかけられた物々しい看板(下)。

 2015年の安全保障関連法成立後に京都大学でバリケード封鎖して授業を妨害したとして、京都府警は翌年2月に中核派系全学連の学生らを逮捕。このとき、熊野

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