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中東・イスラム 新文化論【2016年3月号第1特集】

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記事一覧

王族の家にホームステイも!ドバイで活躍する水上バイク世界王者が内側から見た【イスラム】

――オイルマネーやガソリンの安さもあり、モータースポーツが盛んだというドバイ。そこである競技で世界チャンピオンになった日本の若者が、ひょんなきっかけで王族とかかわりを持つようになったという。

アマ時代に世界王者に3度輝いた小原聡将選手。中学時代にドバイで本格的に競技を始めた。

 競馬やサッカーなどのスポーツの世界でも中東諸国は大きな存在感を示すようになってきた昨今。その台頭の背景には、どのよう

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建前はNGでも、お酒も性風俗も実はオッケー! ビジネス誌は絶対書かない!イスラム社会のホンネのお作法

――イスラム文化圏に滞在する日本人に対して、注意すべきマナーや、現地の食事、ラマダンなどの基礎知識を紹介する記事は多くあるが、本稿ではより社会のホンネに近い部分を調査。現地滞在経験のある商社マンや大使館員の生の声をもとに、建前で語られがちなイスラム社会の裏側を紹介していく。

『住んでみた、わかった! イスラーム世界 目からウロコのドバイ暮らし6年間』(SB新書)

 ここまで、多角的にイスラムと

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日本に住むドラッグ売人のヒミツ――ナイジェリア人にお株を奪われた!? 日本で暗躍してきたイラン人プッシャー

――宗教と直結する話ではないが、日本に住むイラン人と聞いて、ついドラッグの密売人を連想してしまう読者もいるだろう。だが、この10年でイラン人と薬物をめぐる状況は大きく変化したという――。

 2015年12月、20代のイラン人男性が名古屋市内の市道を自動車で走行中、外国人とみられる複数の男から集団暴行を受けて死亡した。その現場近くからは注射器数十本が見つかり、ドラッグの密売をめぐるトラブルの可能性

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イスラム国の戦士もジハードのために服用!? サウジの王子が大量に密輸!イスラムとドラッグの危ない関係

――イスラムの戒律において麻薬は酒と同様に禁じられている……ようにも見えるが、その一方で、イスラム圏にはアフガニスタンのようなアヘンの一大産地もある。また、最近は、あのイスラム国の戦士たちが士気高揚のためにドラッグを使用しているなんて噂も!? イスラム世界のドラッグをめぐる実態と諸問題に迫りたい。

アヘンの原料となるケシの果実。その世界最大の産地がアフガニスタンである。(c)Farmer Dod

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中世イスラム最大の医学者が登場する 『千年医師物語 ペルシアの彼方へ』その中身とは…



 本文でも紹介した映画『千年医師物語 ペルシアの彼方へ』は、11世紀のイングランドとペルシアを舞台にした医学冒険物語とでもいうべき映画。その時代、イングランドでは理髪師が医療を担っており、口八丁の医療で渡り歩く理髪師のもとで旅を続ける青年が主人公。その旅の過程で、ユダヤ人たちから、世界で一番進んだ医療が学べる学校がペルシアにあると教わり、医学を究めたい一心で過酷な旅へと旅立っていく。

 その

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社会情勢と世論が反映される巨大な映画産業――イスラムが悪か? アメリカが悪か? ハリウッドが描いたムスリム

――表面化はしづらいものの、9・11以降、アメリカ人によるイスラム教徒への視線に変化はあっただろう。では、こうした中、社会情勢や世論が反映されやすい映画産業では、イスラム教、そしてムスリムはどのように描かれてきたのだろうか?

『新版 オサマ・ビンラディンの生涯と聖戦』(朝日選書)

「すべてのイスラム教徒のアメリカへの入国は禁止すべき──」。そんな政策を唱えて物議を醸した実業家・ドナルド・トラン

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日本人観光客激減の裏に東日本大震災の影響が――パリ同時多発テロがフランス音楽に与える可能性

――昨年1月に起きた「シャルリー・エブド」襲撃事件。同年11月には、同じくフランス・パリの複数の地で、イスラム国による同時多発テロ事件が起きた。フランスを拠点とするアーティストや、世界各国のミュージシャンたちによる音楽での追悼など、それらによってフランスがどのように変わったか、仏在住のライターがレポートする。

 イスラム国によるパリ同時多発テロ事件から、間もなく3カ月が経過する。パリの街はテロ前

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ジャネットのポロリは、もう二度と拝めないの!? キリスト様はセックスがお好き? 文化繚乱“宗教と音楽”

――アメリカの音楽を語る上で、宗教との密接な関係性を除外するわけにはいかない。本稿ではイスラム教をはじめ、ユダヤ教/キリスト教/仏教徒の音楽的特徴や文化的差異を、主にヒップホップを軸に据えて紐解いてみたい。するとそこには、意外な相利共生の事実が……!?

(絵/我喜屋位瑳務)

「メイク・ミー・セイ、ナンミョーホーレンゲーキョー」――「え、今、なんてラップした?」と思って、慌てて聴き直してしまった

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ラマダンを破ってチームを解雇も…――これをやったら即レッド!【ムスリム限定ルールブック】

――フットボール(サッカー)はイギリス発祥のスポーツ。戒律が厳しいムスリムにとっては、活動を制限される面もいくつかあるようだ。ここでは、そんなムスリム限定のルールをみてみよう。

フランス代表のジダンが、ワールドカップ決勝戦で、イタリアのマテラッツィから姉に対する暴言を受けたことがムスリムとしての逆鱗に触れ、事件に。晴れの舞台での苦い退場処分となったが、ジダンは「後悔はない」と語っている。

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試合中に豚肉を投げ入れられる露骨な差別!試合観戦で少年射殺事件も!サッカーを取り巻く金と差別

――日本が優勝を果たしたAFC U-23選手権2016の舞台は中東圏のカタール。さらに2020年のワールドカップも同国というように、今中東圏ではフットボール(サッカー)が熱い。一方その背景には、金と差別、そして宗教的な事情を伴う事情があるようだ。

国際舞台ではなにかと中東諸国と当たることも多い日本と韓国。現在、FIFAランクでアジアトップはイランだ。

 昨年11月に起こったパリ同時多発テロでは

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保守化して逆にファッショナブルになった? イスラム女性ファッションの今を追う!

――禁欲的で宗教的な生活をするイスラム教徒。そうした戒律は民族の衣装にも及び、特に女性は極力肌を見せないような衣装をまとっている……というイメージを持っている人も多いだろう。しかし、最近では、若い世代で衣装をファッション的に着るような動きが高まっているという。

イスラム諸国でも近年、ファッション市場の広がりに合わせて、ファッション誌も続々発売。04年に創刊したエジプトのファッション誌「Hijab

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中東混乱の要因がここに――イスラム世界と【911、 そして イスラム国】

『9/11委員会レポート ダイジェスト』(WAVE出版)2001年9月11日、アメリカ同時多発テロが起きる。以後、米国ブッシュ政権を中心とする西側諸国は、首謀者と目されたビン・ラディン率いるアルカイダとそれを庇護するタリバン政権を攻撃、同年10月のアフガニスタン戦争、そして2003年3月のイラク戦争へと突入していく。そして、イスラム過激派組織IS(イスラミック・ステート、イスラム国)は、そのイラク

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日本には石油を掴むチャンスがあった!?――イスラム世界と【石油利権】

そもそもアラブ世界に対する欧米列強の関与の強い動機となったものは、いうまでもなく石油である。19世紀半ばにアメリカで産声を上げた石油産業は、一次大戦を経て一気に重要度を増し、いわゆる石油メジャーが形成されていく。そんなおりもおり、1931年にバーレーンで、33年にクウェートで、そして38年にサウジアラビアにおいて大規模な油田が発見され、ペルシャ湾岸地域の政治的重要度は格段に増し、それがかの地の国際

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差別と迫害、そして戦乱の歴史を紐解く――イスラム世界と【ユダヤとパレスチナ】

モーセに率いられた出エジプトの物語こそがユダヤ教の起源でもあるように、ユダヤ人の歴史は、そのまま迫害の歴史でもある。現在のパレスチナ地域は、7世紀以降は基本的にはイスラム帝国の支配下にあったが、19世紀末に勃興したシオニズム運動のもと、世界各地から同地への入植が本格化、一次大戦、ナチスによるホロコーストなどを経て、1948年5月、近代国家としてのイスラエルが誕生する。しかしそれは、この地で永く生き

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