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人気映画の危ない裏話【2016年12月号第1特集】

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記事一覧

産業医がみた! 受けた! 発達障害疑惑のある社員の扱い方――アスペ診断ないほうがリストラしやすい?コミュ障社員に対する企業の本音と対策

――一般社会でコミュニケーションに齟齬があると、職場の人間関係がうまくいかず、「アスペ」呼ばわりされてしまうようなケースも少なくない。こうした状況に企業や社会はどう対応しているのだろうか? その本音を探った。

『「もしかして、アスペルガー?」と思ったら読む本』(永岡書店) 

 2000年代中頃から現在にかけて、発達障害に関する膨大な関連書籍が出版され、ビジネス誌などでは「働き方」という観点から

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日本に真の“映画批評”があるのか? 実践と理論の融合が巨匠を生む日米比較“学問としての映画”

――日本の大学において映画に関する授業は人気科目のひとつだが、教員や学生に「映画学とは何か?」と聞いても、正解を答えられない人は多いはずだ。また、日本の有名な映画監督を思い浮かべても「大学で映画を学んだ」という人は多数派ではない。今回はアメリカの大学と日本のそれを比較しながら、学問としての映画を見ていこう。

『フィルム・アート -映画芸術入門-』(名古屋大学出版会)

 大衆の娯楽であると同時に

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プロパガンダ映画を量産する理由はここから? 偉大なる指導者たちの異常すぎる映画愛

 こちらの記事では世界各国のプロパガンダ映画をみてきたが、どうやら国の指導者が映画好きだと、プロパガンダのみならず、映画そのものが多く製作されているようだ。そんな、映画好きの指導者たちが巻き起こしてしまった事件とは!?

『マンガ金正日入門 北朝鮮将軍様の真実』(飛鳥新社)

 独裁者や、共産主義国の指導者には映画マニアが多く、たとえばヒトラーやスターリンといった大物の名前が挙がる。だが、中にはマ

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表現の自由はないけど、他国は批判し放題!戦意高揚に、タブーなし! 世界各国のプロパガンダ映画

――国民に政治的思想を植えつけるために製作されるプロパガンダ映画は、国家によるマインドコントロールの代名詞ともいえる。しかし、国の事情によっては製作を通じて映画産業が発展したり、逆に体制批判に利用されることもある。そこで、今回は世界各国で制作されているプロパガンダ映画の本質に迫りたい。

『たのしいプロパガンダ』(イースト新書Q)

 二度の世界大戦に米ソ冷戦。そんな動乱の20世紀に発達した映画と

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豊作のブラック・ムービーを見るにあたって知っておくべき豆知識――不平等な命など存在しない!ブラック・リヴス・マター運動

 アメリカの社会問題で避けて通れないのが、警官による一般人への暴力。その犠牲の大半となっているのが黒人である。しかしこの問題は今に始まったことではない。以前との大きな違いは、携帯電話の普及である。これまでは報じるメディアがなく、事実が隠蔽されてきたかもしれないが、今は携帯さえあれば、撮影・録画が可能でインターネットを通じて拡散できるため。その中で生まれたのが、「黒人の生命も大事である!」というメッ

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映画『はりまや橋』を手がけたアーロン・ウルフォーク監督も助言!奴隷制度描写にも変化の兆し――禁忌に挑む黒人映画の最前線

――昨年に公開され特大ヒットを放った映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』。今なお“豊作”といわれるブラックムービー業界だが、近年はどのような映画が注目を集めているのか? 各作品をジャンル分けし、その世界観を覗きながら、タブーに挑む作品や社会風刺の利いた映画、日本未公開作品まで含め、徹底分析!

『はりまや橋』(09年)の監督を務めたアーロン・ウルフォーク監督が、本企画のために海外から参戦。過去に

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オタク以外に誰が観るの?地下アイドルが主演するインディペンデント映画の功罪

――ここ数年、活動しているアイドルグループの数と同じぐらい量産されているアイドル主演の映画。成功を夢見る自主映画監督と、もっと推されたいアイドルたちの努力の結晶のはずが、低予算ゆえ、いざこざが絶えず、また、応援してくれるはずのファンたちも乗り気じゃないという。それでは、誰がアイドル主演の映画を観て喜ぶのか? 各人の思惑と、その可能性/悲惨さを考察していく。

第6回きりゅう映画祭にて上映され、ネッ

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映画ビジネスを殺すのはテレビ局? 配給? それとも観客!?「製作委員会が邦画を殺した」は嘘? 映画ビジネスの集金システムを検証

――テレビ局や配給会社、広告代理店などが出資して映画を制作するために結成される製作委員会。映画の資金調達をするシステムだが、かねてより“映画産業衰退”の戦犯としてやり玉に挙げられてきた。だが、本当に戦犯なのか? その歴史や仕組みを見ることで、今の邦画ビジネスが直面する本当のほころびが見えてきた……!?

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 今年大ヒットを飛ばした『シン・ゴジラ』。ここ数年の特撮

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一般市民襲撃、歴史改変、北朝鮮との戦闘……現役自衛官が見る自衛隊“協力拒否”映画レビュー

――こちらの記事でも見てきた自衛隊協力“拒否”について、具体的に何がNGだったのか─改めて、現役自衛官にもレビューしてもらった。

■元祖・自衛隊協力拒否映画
『野性の証明』

公開:1978年 監督:佐藤純彌 製作:角川春樹事務所

[自衛隊的NG度]★★★★★
特殊能力を持つ少女と、東北虐殺事件現場に居合わせた自衛隊員が、国家の陰謀に巻き込まれる様子を描いた作品。「元自衛官の主人公が一般市民を

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虐殺、レイプ、北朝鮮との戦争もアリ!虐殺、レイプ、北朝鮮との戦闘も!過激な自衛隊協力“拒否”映画

――近年、『シン・ゴジラ』をはじめ、自衛隊が製作に協力した“自衛隊協力映画”が増えている。しかし、なんでもかんでも協力を得られるわけではなく、中には協力を”拒否”された作品もあるという。そうした“協力拒否”作品の中身を読み解くと、映画における“リアルさ”とは何か─そんな疑問が見えてきた。

※本稿で使用する「自衛隊協力映画」という用語は、自衛隊が公式に協力した映画作品を指し、筑紫女学園大学・須藤遙

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小バカにすらしていた『君の名は。』に、私はいたく感動し、少し泣いた――この名作を見てない貴方に送る8STEP

――こちらの記事では、映画館をハシゴしまくったアラサーぼっちライターの気持ちの揺れ動きを徹底記録!

■START

ネタバレ注意!10秒でわかる『君の名は。』
 東京のど真ん中に住んでいる男子高校生・瀧と、飛騨のド田舎に住んでいるJK・三葉は、朝目覚めると互いの人格が入れ替わっていることに気づく(BGMはRADWIMPS「前前前世」)。入れ替わり現象が突如終わり、瀧は三葉を探す旅に出るが、なんと

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映画館をはしごしまくり! アラサー“ぼっちライター”が大傑作『君の名は。』で泣いた夜

――8月26日に公開されて以降、なんと興行収入170億円超え、邦画として歴代5位を記録している大ヒット映画『君の名は。』。ちまたでは喧々諤々の意見が飛び交っており、「あえて観にいかない」などというひねくれ者も散見される同作を、“ぼっち好き”のアラサーライターが観まくってみたところ……!?

『新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド』(KADOKAWA)

 公開してから約2か月、『君の名

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映画館でも上映される!大ヒットはここから生まれた!新海誠が手がけたZ会のCMの中身とは?



Z会HP「受験生応援ストーリー『クロスロード』」より

『君の名は。』の大ヒットで、一躍国民的監督となった新海誠監督。2002年の『ほしのこえ』に続き、04年に『雲のむこう、約束の場所』、07年に『秒速5センチメートル』、11年に『星を追う子ども』、13年に『言の葉の庭』と、着実にキャリアを重ねてきた。この中で、特に『君の名は。』との関連が見られるのは『秒速5センチメートル』だろう。両作のラス

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キーワードは「黄昏時」「スマホ」「時間の歪」――秘された神道と黙示録のシンボル『君の名は。』は宗教学的に秀作か?

――あれよという間に、興行収入は200億円超えも射程に入ってきた、アニメ映画『君の名は。』。ジブリ作品を除く日本アニメ映画としては史上最高のヒットとなっている。同作では、ヒロインが巫女であることから、多分に宗教的要素が含まれているが、識者たちはどのように解釈するのだろうか?

(左上より時計回りに)三葉は高校生でありながら巫女として神職に従事/2つの世界をつなぐスマホ/2人が出会うことになる「黄昏

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