売り上げが乏しいのは本屋と出版社だけじゃない! 出版流通最底辺から見るマンガ雑誌の危機的状況

――繁華街の駅前で、マンガ雑誌を路上販売しているホームレスらしき人々を見かける。毎日のように電車内の棚やゴミ箱に捨てられた雑誌を漁って仕入れる彼らは、最新のマンガの動向を知り尽くしているようにも思えるが、そんな社会から追い出された者たちの視点から、マンガ業界を覗いてみると、意外な現状が明らかになった?

マンガ雑誌以外にも、最新の週刊誌や月刊誌もある。「月刊サイゾー」の取り扱いはないらしい。

「マンガはなんでも読むよ。『週刊少年ジャンプ』(集英社)、『週刊少年マガジン』(講談社)、『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)、『ビッグコミックオリジナル』(同)、『週刊ヤングマガジン』(講談社)。やっぱり『ビッグコミックオリジナル』はいいよな。なんたって、『釣りバカ日誌』(小学館)が載っているし。女性マンガ誌もあったら読むけど、最近オレは『花とゆめ』(白泉社)しか拾えないし、中身も恋愛ばっかりでつまらないな」

 こう語るのは新橋を根城にしているホームレス歴40年の男性だ。昔は都内を回りマンガ雑誌を拾い集めてシノギにしていたらしいが、高齢になった今では新橋を中心に捨ててあるマンガ雑誌を拾い、また自らもあり余る時間を潰すために読んでいるという。

 都市部の繁華街には、誰かが読み捨てたマンガ雑誌などを、駅や街中でホームレスたちが拾い集め、古本として100~300円という安価で販売する路上販売所がある。先ほどの新橋のホームレスいわく、この路上販売所は組織的なシステムで、収集係のホームレスが都内でマンガ雑誌を拾い集めて販売所に1冊50円程度で売り、販売所は暴力団にショバ代を払って営業しているという。

 言ってしまえばこれは出版物の流通という点において最底辺であるともいえるだろう。そんな低い位置からマンガ市場を覗いてみれば、日常では知ることのできない本当のベストセラーが見えてくるのではないか? 彼らに密着して、その真相を探っていこう。

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