メジャーアイドルと地下アイドルの乖離は進み、地下アイドルはどんどん疲弊していく――インディペンデント系アイドルの現状

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[SCENE 1]制服で仕事現場へ・2014.11.27
学校終わりに制服のままレッスン場へ。アイドル活動始めたこと、友達にバレたらどうしよう!

 現在のアイドルは、“運営”の規模によって大手芸能事務所系とインディペンデント系に大別される。AKB48グループ(AKS、太田プロダクション、プロダクション尾木など)、ももいろクローバーZ(スターダストプロモーション)、ハロー!プロジェクト(アップフロントプロモーション)などは大手芸能事務所系であり、当然、知られているグループが多い。

 一方、小規模な芸能事務所や音楽レーベルが運営するアイドルはインディペンデント系であり、そのアイドルを運営するために事務所が設立されるというケースも多い。14年に横浜アリーナで解散コンサートを行ったBiS(つばさレコーズ/現在、再始動中)や、でんぱ組.inc(ディアステージ)はインディペンデント系の成功例といえるだろう。

 今回、立て続けに解散や活動休止となった“ブレイク予備軍”のアイドルたちは、ほとんどがインディペンデント系だ。彼女たちの多くは、小さなライブハウスで複数のアイドルが出演する対バンライブをこなし、物販でファンと交流を深めながら知名度を上げ、ついにはZepp 東京など2000人規模のワンマンライブを成功させるに至っている。有象無象の地下アイドルらの多くが100人のファンも集められずに解散していくことを考えれば、確実に結果を出したグループだといえよう。

 しかし、この“Zeppクラスのワンマンライブ”こそ、インディペンデント系のアイドルにとっての大きな壁なのだという。アイドル専門ライターの岡島紳士氏はこう語る。

「初めてのZeppワンマンは成功しても、普段の対バンライブは50人とか100人しか集まらないということはよくある話。そのグループにとって特別な意味のあるライブであれば他グループのファンも駆けつけるけど、毎回ライブに足を運ぶような熱心な固定ファンはそれほど多くないというのが、多くのファンのあり方なんです。こうした“ブレイク予備軍”をしっかりと追っているアイドルファンの絶対数が、首都圏で2000~3000人程度なんでしょう。Zeppより上に行くには、それ以外の非アイドルファンも巻き込んでいかなければ、実際の集客には結びつかない」(岡島氏)

[SCENE 2]ライブのフリ練習・2015.1.5
来週末の対バンライブまでに6曲分のダンスを憶えなきゃ。あ~不安だよう!

 もしもZeppの先――例えば1万人規模の日本武道館でのワンマンを成功させたいのであれば、別の力が必要になってくる。それは、強大な資金力やコネクションだ。

「数千人規模であればツイッターなどの力だけでもなんとかなるでしょうが、1万人を集客するとなると、それだけでは苦しい。メディアを巻き込んで広く宣伝しなくちゃいけないし、大きくニュースになるような話題性も必要。インディペンデントなアイドル運営にはそのノウハウはないので、結局は大手芸能事務所や、所属は大手でなくともメジャーレコード会社との契約といった力が不可欠になるわけです。Zeppクラスのワンマンは、大きな成果であると同時にインディペンデント系にとっての限界でもあるんですよ」(岡島氏)

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