海猫沢めろんの「俺にも語らせろ」――本宮ひろ志こそ、土方マンガ家だ!

本誌企画「土方文学大賞」にも出席した作家の海猫沢めろん氏。また次回ぜひ、ご参加おねがいします。

――前回、土方文学大賞に出席した作家の海猫沢めろん氏。今回は、仕事の都合で参加がかなわなかったが、おすすめ土方マンガについて寄稿してもらった。

 肉体労働とマンガは相性が良い。小説と比べると、間違いなくいい。

 昔働いていた建築現場でも当然のようにマンガ誌(「漫画アクション」「ピザッツ」[ともに双葉社]など)やマンガ単行本(『ゴルゴ13』[リイド社] 『御用牙』[グループ・ゼロ]など)が転がっていた。そこにあるマンガたちは僕の部屋の本棚に並んだものと違い、現場で働く男たちと同じように土や油で汚れ、日に焼けていた。そう、土方マンガとはそうした読み手の肉体と同様のルックをあらかじめ備えているものにほかならない。

 本宮ひろ志の『大いなる完』(サード・ライン)こそ、そうした土方的ルックを備えた決定的土方マンガであると僕は考える。というか本宮ひろ志の作品はすべて日本人の根底にあるヤンキー性のようなものをかきたてるのだが、それにしてもこの作品はすごい。

 何がすごいかというとまず主人公が土建屋だ。直球すぎる。どういうことだ。いや選んだのは僕でした。すいません。

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