実録・ゲイ・ラッパーの本音――たとえ見下されてもヒップホップが好きだ!

――こちらの記事ではヒップホップと同性愛文化の変遷を見てきたが、ゲイ・カルチャー、とりわけ音楽の分野において、ゲイと相性がいいと言われているのは、ディスコやハウス、ミュージカルといったジャンル。ヒップホップ好きのゲイというのは、あまり耳にしないのも事実だが……。

あでぃぽい氏が新宿二丁目で主催している『日本語ラップナイト』のフライヤー。大学時代にラップにのめり込んだことが、カミングアウトをするきっかけになったという。

 本誌16年7月号に登場したラップグループ、西新宿パンティーズのメンバーで、ゲイを公言しているラッパー、あでぃぽい氏は、「ラップの歌詞に同性愛者を見下す言葉が出てきてムカつくこともあるけど、やっぱり好きで聴いてしまう」とインタビューで語った。そんな日本語ラップをこよなく愛する氏に、ゲイとヒップホップについて本音を語ってもらった。

あでぃぽい「兄の影響でヒップホップを聴き始めて、最初はDJになろうと思っていたんですが、大学でラップをするようになりました。2012年には、新宿二丁目で日本語ラップ主体のイベント「日本語ラップナイト」をスタートさせたんですが、ゲイのヘッズ(ヒップホップ好き)は本当に少ないんですよね。キングギドラが同性愛者を差別した「ドライブバイ」騒動【編註:02年、「ニセもん野郎にホモ野郎 一発で仕止める言葉のドライブバイ」という歌詞が問題となり、CDが回収となった】があったり、ヒップホップとゲイ・カルチャーは、なかなか相容れない関係なのかなと。二丁目のイベントは、『それでもヒップホップが好きだ!』というゲイの仲間たちと始めました」

 歌詞に同性愛者を揶揄するような言葉があるジャンルにおいて、イベントではどのような曲がプレイされるのか。また、必ず盛り上がるアンセムのような曲は存在するのだろうか?

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