メディアに叩かれすぎて腹痛になった安倍総理――政治スキャンダル消滅はメディア統制のおかげ!?

――ロッキード事件などをはじめ、かつては首相のクビさえ獲らんとする政治スクープが新聞を賑わせていた。だが近年、そうしたスクープはとんとなくなり、出てきたとしても、セクハラや失言など矮小なものばかり……一体なぜなのか? ここでは政治の現場にいる記者や識者が、その謎を解説する。

『安倍晋三 沈黙の仮面: その血脈と生い立ちの秘密』(小学館)

 今年に入ってからも、口利きの見返りに現金を受け取っていた疑惑が報じられ、閣僚を辞任した甘利明TPP担当大臣をはじめ、「育休議員」でありながら、妻の出産入院中に女性タレントとの不倫が発覚し、議員辞職に追い込まれた宮崎謙介、昨年には、疑惑献金で農林水産大臣を辞任した西川公也、知人に投資を持ちかけ金銭トラブルを起こしていただけでなく、未成年男性の買春まで報じられた武藤貴也など、政治家の引き起こすスキャンダルは枚挙にいとまがない。

 女性問題は昔から相変わらずだが、佐川急便事件で5億円の政治献金を受け取っていた金丸信、政界の各人に6億円余りの売却益をもたらしたリクルート事件、橋本龍太郎、野中広務、青木幹雄ら自民党幹部がそれぞれ1億円ずつ受け取った日歯連闇献金事件など、かつて、金権スキャンダルでは、億単位といわれる金額が政界を飛び交っていた。しかし、現役閣僚である甘利や西川が受け取ったとされる金額は、わずか数百万円にすぎない。同じ金権スキャンダルとはいえ、その内実は大きく変わっているのだ。いま政治スキャンダルの世界には、どのような変化が起こっているのか? 今回、そんな疑問を識者たちにぶつけると、「派閥の崩壊」「人材の劣化」、そして「メディア対策」という3つのキーワードが見えてきた。

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