保守化して逆にファッショナブルになった? イスラム女性ファッションの今を追う!

――禁欲的で宗教的な生活をするイスラム教徒。そうした戒律は民族の衣装にも及び、特に女性は極力肌を見せないような衣装をまとっている……というイメージを持っている人も多いだろう。しかし、最近では、若い世代で衣装をファッション的に着るような動きが高まっているという。

イスラム諸国でも近年、ファッション市場の広がりに合わせて、ファッション誌も続々発売。04年に創刊したエジプトのファッション誌「Hijab FASHION」では、西洋ファッションとミックスされたスタイルが提案されている。

 イスラム教徒(ムスリム)と聞いて、私たちが真っ先に思い浮かべるビジュアルは、おそらくあの独特のイスラム・ファッションではないだろうか。

 男性なら、白く長い民族衣装(サウブやカンドゥーラ)を着て、薄手のスカーフ(ゴトラ)で頭を覆い、輪(イカール)で固定する。女性なら、黒くて丈の長いローブ(アバーヤ)や、髪と耳と首を隠すスカーフ(ヒジャーブ)、顔を覆うヴェール(ニカーブ)等を身に着ける。これらの服装の目的は、その形状からも想像できるように、身体を隠すことにある。そして、こうした規定は、イスラム教の聖典「コーラン」の教えに基づいている……と、ここまでは教科書通りというか、私たちがムスリムに対して持つ単純なイメージである。しかし、この漠然とした「常識」に注意を促すのが、『神のためにまとうヴェール ──現代エジプトの女性とイスラーム』(中央公論新社、2014年)の著者にして、イスラム圏の文化に詳しい東京大学東洋文化研究所助教授の後藤絵美氏である。

「例えば、ムスリムの女性にとって、ヴェールを身に着けたり、身体を隠す行為は、宗教的に厳しく守らなければならないと思われがちです。ですが実は、イスラム圏のどの国でもそれが『当たり前』なわけではありません。それは、その国や地域で、現在“たまたま”そういう考えが広がっているだけの場合もあります。もしかしたら10年後には、それとは違う考え方が『神の教え』として広がっているかもしれないのです」(後藤氏)

 ムスリムは、「コーラン」の教えを絶対とし、すべての真理をその中に見る。しかし、その章句をどう解釈するかは、時代や国によって異なるという。それはつまり、神の定めた男女の関係性も変わるということであり、性と服装が密接に関わっている文化圏においては、その意味は大きい。「ムスリムかくあるべし」という服装への考え方は、実は固定されていないのである。

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中東・イスラム 新文化論【2016年3月号第1特集】

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