学者もミュージシャンも魅了したカルロス・カスタネダの思想の危うさとは?

『ドン・ファンの教え (新装版)』(太田出版)

 日本では1970年代初頭から翻訳書が発売され、哲学者の鶴見俊輔、宗教学者の島田裕巳、中沢新一、社会学者の見田宗介、ミュージシャンの細野晴臣らから熱烈な支持を受けたカルロス・カスタネダの『ドン・ファン』シリーズ。人類学者である著者が、古代メキシコの伝統を引き継ぐ呪術師、ドン・ファンのもとで修行し、哲学的な対話や意識の変容を綴る内容だ。

 だが本書にはさまざまな批判もなされている。まず、ドン・ファンなる呪術師については、その実在を疑う声が多く、カスタネダの最初の妻も、カスタネダの著作に書かれている話は物理的事実としては存在しないとしている。

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