【憲法学者・古関彰一】『押し付け』説はどこから生まれたか? 昭和天皇こそ望んだ「平和憲法」

――概論では、日本国憲法の成立をめぐる概要と、それを取り巻く議論を紹介した。その中でも今再び注目を集めている、現行憲法の成立過程にGHQが深く関わっていたことからくる「憲法押し付け論」を軸として、憲法学者として、制定過程を中心とした研究を長年行ってきた古関彰一氏に、その成り立ちを聞いた。

『平和憲法の深層 』古関彰一(ちくま新書)

──昨今は安全保障条約の改定を契機に、日本国憲法の存在が国会内外で取り沙汰される機会が著しく増えているように思います。今年の3月には安倍晋三首相が国会で「GHQの素人が8日間で作り上げた代物」と評したとして、非難を浴びました。4月に自民党が作成したマンガ冊子でも「英語で書かれた憲法をただ日本語に訳せというのか」といったシーンが登場するなど、現政権の改憲志向のベースには、いわゆる「押し付け論」が存在しているように思われます。そもそも、この「押し付け論」というのは、どこから誕生してきたものなのでしょうか?

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