カネがなければ競技場はできない―― 財源は、都税かtotoか?新国立競技場建設の法整備

――ここまでは、2020年東京五輪開催をめぐる、主だった法整備や規制緩和の現状、そして展望を見てきた。では、開催決定後、最も話題となったトピックスのひとつ、新国立競技場の建設予算に関しては、いかなる法整備がなされたのだろうか?

『GA DOCUMENT―世界の建築 (99) ザハ・ハディド』(エーディーエーエディタトーキョー)

 当初、予算1300億円で建設が計画されていた新国立競技場。最近行われた五輪のメインスタジアム、例えば2012年ロンドン五輪のスタジアム583億円と比べても、破格の建築費だった。それが今年7月に2520億円まで膨れ上がり、支持率低下を気にした安倍内閣の判断で白紙撤回に。8月には1550億円を上限として再スタートを切った。

 だが、デザインの大幅な変更により、五輪終了後の大きな収入源と見込んでいたコンサート興行といった収入が減るのは確実視されている。建設費のみならず、今後の運営までを含めた財源を一体どうするのか、いまだに不透明な状況だ。

 1964年に開催された東京五輪では、「特別措置法」(特措法)で五輪の準備・運営経費の一部国庫補助や国有財産の無償使用、寄附金付郵便はがきの発行、日本専売公社による援助などの財源確保が定められた。だが20年東京五輪では、特措法に先行して、すでに財源確保の法改正が続々となされている。

 国費392億円以外で現時点で浮上している主な新国立競技場の建設財源は、スポーツ振興くじ(toto)の売上110億円、スポーツ振興基金の取り崩し125億円、そして競技場周辺の再開発による民間投資だ。

「文部科学省傘下の独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が運営するtotoの財源とは、本来、スポーツ選手の育成に使われるべき資金。これを、お上の都合でハコモノ建設に回すことを問題視する関係者は多くいます」(五輪関係者)

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