【ナースによるセキララ告白】モンスター患者から医療格差問題まで――慶応病院は給料がお高め!? 現役ナースが語る病院のウラ側

――ネット社会で情報過多になり結果死期を早めてしまうがん患者、手術ミスを重ねてしまう外科医師、そしていわゆるセレブ病院の実態まで、現役ナースたちが語るニッポン医療のウラ側をちょっぴりご開帳!

『看護師になる2016』(週刊朝日ムック)

[座談会参加者]
A…個人病院勤務の20代若手ナース。
B…3つの大学病院勤務経験のある40代ベテランナース。
C…大学病院勤務の30代中堅ナース。

A 今日は、硬いネタから柔らかいネタまで、私たちい現役ナースに根掘り葉掘り聞きたいそうだけど……。まず、いまどこの医療機関でも問題になっているもののひとつといえば、モンスターペイシェントかな。個人的には、昔よくいたような粗暴な患者さんは減っている印象があるけど、その代わりに医師を困らせているのは、いくぶん情報過多気味な患者さんだよね。

B 多いよねえ。その病院で診察を受けたこともない人がいきなり電話してきて、「そちらの○○先生は◯◯のスペシャリストだと聞いたんだけど、実際のところはどうなんですか?」なんて聞いてきたり、もうとっくに退いた顧問の先生の名前を挙げて、「○○先生に切ってほしいんだけど。そのほかの医師は絶対にイヤだ」なんて言って数十分も話し続けてきたり……。

C でも、医療情報だけならまだいいほうで、ヘンに法律的な知識を詰め込んできてる患者さんも面倒だよね。初診でいきなりICレコーダーを出してきて、医師の説明を録音し始める人とかいたなあ。「万が一のことがあったら訴訟を起こすぞ」なんていう威嚇のつもりなんだろうけど、そんな態度じゃあ医師との信頼関係なんて築けないよね。

A でも、そういう「訴訟にならないように細心の注意を」みたいな空気はドクターの側にも昔より強くあって、医学的知識のない患者さんでもわかるように、病状とか手術については、順を追って細かく説明するようになった。

B 触診の際にも、あとで「セクハラ」と訴えられないよう、必ずナースが横につくようにしてる。特に産婦人科なんかでは、医師と患者さんの2人きりには絶対にならないように配慮してるしね。内診も、ナースが必ずそばで見ているように指示されたりとかね。

A ほんと、不信感の強い患者さんが増えたよね。

──特にがんはいまや国民病ともいわれていて、治療に関する書籍や雑誌の特集も多く、患者さんの要求も難しいのでは?

C そうですね。がんの診断が下ると、すぐにネットや雑誌で治療法を調べ上げて、結果困った方向に行ってしまう患者さんも少なくない。それで金儲けをしているとしていま都内で有名なのが、もともとは美容整形で有名なSクリニック。2015年にSメディカルクリニックを開業、自由診療で厚生労働省未承認の抗がん剤をバンバン処方したり……。1回数十万円×数回というから、治療費は当然高額になる。まあこちらの医師としても、患者さんがどうしても他院でその治療を受けたいと言ったら、止める権利はないからねえ……。

A 高額の先進的な医療に行く人がいる一方で、民間療法やホメオパシーなどの代替医療に走ってしまう人もいるよね。

C いるいる。乳がんの患者さんで、どうしても切りたくないから「食事療法で治す」と言って標準治療(手術、放射線治療、抗がん剤治療)を拒否。結果、花が咲く(腫瘍が異常増殖して露出した状態)ところまできちゃって、うちの病院に戻ってきた人もいたなあ。

B タレントさんも、信念の強さからか、標準治療的なものをイヤがる人は多いっていうよね。2015年に胆管がんで亡くなった川島なお美さんも、金の棒で患部をさする治療を受けてたっていう報道もあった。

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