歪んだ歴史小説の礎となり――。 自費出版物から盗作も? 司馬史観、もうひとつの功罪

――本文中には多くの歴史小説家が登場したが、その中で、緻密な取材で大胆な人物像を描く、文豪・司馬遼太郎。一方で、司馬史観などに対する批判もある彼の真の功罪とは?

『燃えよ剣〈上〉』(新潮文庫)

日本でもっとも人気のある歴史小説家ともいえる司馬遼太郎。だが、本文でも述べられてきた通り、ときにその飛躍しすぎた描写が”司馬史観”と語られ、一部の歴史好きだけでなく、本来ならフィクションなどは相手にしない歴史学者からも糾弾されてきた。ただし、こうした批判は、最終的にはイデオロギー的な部分に対してのことが多い。

ところが、ある歴史研究家は、「時代小説を歴史小説として、一段上に昇華させたのが司馬遼太郎であり、ここに彼の功罪がある」と話す。

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