岩波書店の参入で、ジャンルとして確立された!?――事務所ビジネスの闇は書けない? 人気声優の新書が増えたワケ

――大塚明夫、森川智之、岩田光央……それぞれ長いキャリアを持つ人気声優だが、いずれも近年、自身の名で新書を発表している。ほかにも、梶裕貴が新書のような単行本を出版するなど、声優ブームを反映するかのように、声優を著者とした書籍が続々と刊行されている。関係者に話を聞き、その理由を探った!

ここ数年で発売された声優関連の書籍。声優本人や声優事務所の役員などが著者の新書や単行本が発売されている。

 近年、アニメファンが書店の新書棚を覗くと、新書界隈でちょっとした新しい動きが起こっているのを垣間見ることができる。それは声優、あるいは声優業界関係者による新書が多く並び始めたということだ。

 今年4月には、大手声優事務所マウスプロモーションの前社長を務めた納谷僚介の『声優をプロデュース。』(星海社新書)に加え、ゲーム「ファイナルファンタジーVII」シリーズのセフィロス役などで知られる人気声優・森川智之による『声優 声の職人』(岩波新書)が発売。2015年に発売された声優・大塚明夫の『声優魂』とその続編である『大塚明夫の声優塾』(共に星海社新書)、アニメ『AKIRA』の金田正太郎役を務めた声優・岩田光央の『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』(中公新書ラクレ/17年)といった新書と並んで、平積みになっていたりする。

 また、新書より一回り大きい単行本ではあるが、今年5月には、アニメ『進撃の巨人』で主人公のエレン・イェーガー役を演じた若手人気声優・梶裕貴の著書『いつかすべてが君の力になる』(河出書房新社)が発売され、発売翌週に3刷が決定。現在、累計発行部数3万部といったヒットを飛ばしている。

 これまでにも野沢雅子や林原めぐみ、テレビ朝日版『ドラえもん』で初代しずかちゃんを演じた野村道子など、声優による書籍は数多く出版されてきた。しかし、そのほとんどは単行本形式で、声優自身を著者に据えた新書が刊行されるのは、明らかにここ最近の新たな流れとして出来上がりつつある。なぜ、今、声優の新書が刊行されるようになっているのか? 出版側や著者の“胸算用”を見ていこう。

声優側のメリットは印税という不労所得!?

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