【上原善広】街を、土を、そして民族を……"路地"を歩く原点となった書籍


――日本人旅行者が増加傾向にある一方で、世界情勢が不安定となり、興味本位で危険地帯に赴いては悲惨な目に遭う人も少なくない。ここでは世界中の危険地帯や秘境を旅するスペシャリストに、危険地帯を歩くためにこれだけは知っておくべきタブーや状況が記された"ガイドブック"をご紹介してもらった。

紛争、災害、麻薬、貧困……。さまざまな理由から、足を踏み入れることがはばかられるタブー地帯。世界には、凡百のガイドブックでは語り尽くせない"危険地域"が数多く存在する。一方で、一年間の日本人旅行者数は、90年代から爆発的に増え続け、12年には過去最高の約1850万人を記録した。おのずと危険地帯に近づく可能性も、増えているのではないだろうか?

もし自分が"危険地帯"を旅するならば、事前に知識を得ておくため、一体どのような本を読むべきなのか? そもそも、危険地帯を旅するための本は存在するのだろうか?というわけで、今回の企画では、危険な世界を歩くためのガイドブックを検証。『日本の路地を旅する』で第41回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した上原善広氏、『遺体:震災、津波の果てに』で作家としても注目を集める石井光太氏、写真集『EXCUSE ME』『CHICANO』で名をはせる新進気鋭の写真家・名越啓介氏の3名に、インタビューを敢行。世界の危険地帯を駆けめぐり、海外の酸いも甘いも知り尽くした達人の皆さんに、リアルな世界を歩くためのガイドブックを紹介してもらった!

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