時代遅れの『美人すぎる○○』が量産――“美人コンテンツ”炎上の考現学

――男女問わず、人類は古来から“美人”に惹かれ憧れてきた。それはいつの時代も変わらず、だからこそ古くからさまざまなコンテンツとして起用、消費されてきた。しかし昨今、美人を打ち出した企画の炎上が目立つ。女性の社会進出と共に、人々の感覚が大きく変化する今、「美人」と炎上について改めて考えてみたい。

『美人百花(びじんひゃっか) 2019年 02 月号』(角川春樹事務所)

 新年早々、出版業界で炎上騒ぎが起こった。問題視されたのは2018年12月25日号の「週刊SPA!」(扶桑社)の特集内に掲載された“ヤレる女子大学生RANKING”という企画。ギャラ飲みマッチングサービスを手がける男性が、「女子大生と“ヤレる”可能性の高い大学をランクづけする」というものだったが、発売と同時に“女性蔑視”であるという声が広がり、今年1月4日に始まった抗議活動には、最終的に5万2000件もの署名が集まった。さらにこの件は、複数の海外メディアでも、厳しく報じられた。

『週刊SPA!』を知っている人ならば、こういった企画意図自体は特に目新しいものではないという意見もSNSで見られた。ただ、日本でさえも#me too問題などを経て変化しつつある現代の感覚においては、時代錯誤と言わざるを得ない。あまつさえ大学の実名を出したことや、根拠がまったくないランキングにも批判が集まったという話だ。

 これに限らず、CMや映像コンテンツにおける昨今の炎上案件の多くに共通するキーワードは“女性蔑視”や“女性軽視”だ。ある広告制作関係者は「『SPA!』の例のように、あきらかに前時代的なおじさん脳でつくられた企画の炎上は、わかりやすいほう。ここ数年は特に、テレビやCM、イベントとコンテンツ制作の多くの場面で細心の危機管理が求められてます。ただ、小さい会社ほどチェック体制が甘く、炎上してしまう印象です」と話す。

「『SPA!』の伝家の宝刀とも言うべき“ヤレる”という男性主観のキャッチが許される時代ではないことは、企業との関係も深い広告代理店やテレビ関係者なら誰もが知っていることです」(同)

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