出演者たちはまったく儲からない!?――『カメ止め』の興収は誰の手に!? 自主制作映画の現場からの悲鳴

――『カメラを止めるな!』が興行収入28億円超えのヒットを記録したことで今、メジャーな映画会社配給ではない自主制作映画に注目が集まっている。とはいえ、低予算ゆえにさまざまなトラブルもあるというが……そんな自主制作映画の現場の内情を関係者たちに語ってもらおう!

「自分たちが作りたい映画」を撮るために、同好の者たちが集まってクランクイン。ちなみに、予算は「あご・あし・まくら」と機材費でほぼ消える。

[座談会参加者]
A…監督(26歳)
B…女優(25歳)
C…カメラマン(27歳)
D…映画ライター(28歳)

A 興行収入が28億円超えという『カメラを止めるな!』(2018年/以下、『カメ止め』)のヒットを受けて、自主制作映画が注目されているらしいけど、みんなは『カメ止め』人気をどう思う?

B 東宝や松竹など、メジャーな映画会社の作品しか取り扱わないようなシネマコンプレックスでも、低予算で無名に近い俳優たちが出演する『カメ止め』が上映されたのは、自主制作映画の人間として、ある種の希望だと思ったよね。

C 本当は『カメ止め』よりも、もっと面白い自主制作の作品もあると、世間に訴えたいところだけども、あの作品が広まって自主制作映画そのものに注目が集まったのはよかったかな。

D ところで、『カメ止め』は「製作費がたったの300万円」という部分が喧伝されているけど、その製作費は出演者から集めた資金だったということは、あまり語られていない。この映画の製作費は「ENBUゼミナール」という映画監督や俳優の養成学校が主催するワークショップに参加した役者から参加費として集められたものなんだよね。

A そう。だから、主演の濱津隆之さんが『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)でも話していたけど、ヒットしたからといって、出演者にボーナスが入ってくるわけでもない。俳優たちは次の仕事が決まったりはしているようだけど、今回のヒットで金銭的に得したのはENBUだけ。

C ワークショップで制作される映画の場合、スタッフには一応ギャラが出る一方で、俳優と監督にはバックがないんだよ。

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