【社会学者・太田省一】さんまからマツコへ……変わるテレビとコミュニケーション――識者たちの「マツコ論」【5】

――テレビというメディアの変革期に伸びてきたマツコは、トリックスターなのか、時代の申し子なのか? 社会学的視座から考える。

 マツコさんがテレビバラエティに引っ張りだこの理由として、2つの特徴を持っていることが挙げられると思います。

 まずひとつは、彼女がテレビに対して批評家的な目を持っていることです。かつてのテレビの制作現場は、「お茶の間で、1台のテレビを囲んで観ている」という視聴者像が想定できていた。しかし80年代頃から徐々に、想定する視聴者像を変えていかなければいけない、となってきた。

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