ネトウヨが歓喜する(?)マンガ11選! 日本礼賛、左派への憎悪、人種差別――万歳! 愛国/排外マンガの変遷

――日本という国の素晴らしさを礼賛する「日本すごい」や、隣国を非難する「排外主義」的なマンガはいつから誕生したのだろうか? それぞれのマンガの潮流をたどっていくと、そこには戦後日本が抱えてきた敗戦国としてのコンプレックスや、手軽な消費のメカニズムがあった。

愛国者であっても会社ではコキ使われてしまう。大変である。(『愛国少女ウヨ子ちゃん』小林拓己/青林堂/1巻より)

 先月発売された百田尚樹の『日本国紀』(幻冬舎)が良くも悪くも話題だ。「神話と共に誕生した万世一系の天皇を中心に、日本の変遷を追った日本通史」という同書に感動した一部読者が、ツイッターで書籍を神棚に飾った写真を投稿するなど、まるで信仰の対象のように扱われている一方で、ウィキペディアなどの記述と類似する箇所が大量に指摘され、作者だけでなく発行元である幻冬社の出版社としての姿勢までもが問われている。

 同書に限らず、日本の偉大さを自画自賛する「日本すごい本」が書店に並ぶようになって久しいが、4年前から続く韓国や中国を批判するいわゆる「嫌韓中本」と呼ばれる排外主義的な書籍もいまだ健在だ。

 また、今年は右派書籍を数多く出している青林堂から『日之丸街宣女子vol・3』【1】『余命三年時事漫画』【2】『テコンダー朴3』【3】『愛国少女ウヨ子ちゃん』【4】と、雑誌「JAPANISM」で連載されたマンガの単行本が4冊も刊行されている。

「愛国/排外主義」的な書籍は、その偏った内容から読むのを躊躇してしまうが、マンガだと作中で主張される言説も、バトルやディベートを通して説明するため理解しやすく、読後は普段感じることもない愛国心さえも奮い立たせてくれる。

 このようなマンガは数多く出版され、ベストセラーになった作品もある。今でも刊行が続いているのを見ると一定の需要があるのかもしれない。こうした流れはいつから始まったのだろうか? 本稿では「愛国/排外主義」的なマンガの変遷をたどってみたい。

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