『オバQ』差別問題、『キャンディ・キャンディ』不仲問題からトレース騒動まで! 巨匠も陥った封印マンガの悲哀

――週刊誌などに連載され時代の空気を反映しながら描かれていくことの多いマンガ作品には当然、差別表現などの社会的な問題も入り込みやすく、騒動を巻き起こしたり“お蔵入り”になることも多い。そうした「封印マンガ」の世界について紹介していく。

40年間連載された『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の最終回が掲載された「週刊少年ジャンプ」の表紙。同誌史上初の増刷も決定した。

 2016年マンガ界の大きなニュースのひとつとして、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で40年連載を続けた秋本治の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の終了が挙げられる。

「少年ジャンプ」の最長の連載記録であるだけではなく、少年誌での最長連載記録を持つビッグタイトルの終了とあって、最終回が掲載された「少年ジャンプ」42号(9月17日発売)では、連載しているほぼ全作品に「両さんマユゲ」を忍ばせるという企画まで実施された。

 そして同号では最終話と共に、76年25号に掲載された第1話「始末書の両さんの巻」をオールカラー化して再掲載。40年の連載を経た絵柄やキャラクターの変貌ぶりに驚かされた読者も多かった。

 しかし絵柄やキャラクターの変貌以外の部分でも、この再掲載された第1話は話題となった。それは、セリフの大きな改変だった。

 例えば、「けっきょくロシアンルーレットで遊んでいて即死してしまったが……」という両津のセリフが「マヨネーズのいっきのみがとくいだったな」に。中川の「じゃあわるそうなの みつけしだいに殺していいんですね、バギューンと……」が「じゃあわるそうなの みつけしだいに……バギューンと……」に変えられているなど、連載当時の過激なセリフがマイルドなものに変えられている。

 そもそも連載当初の両津は、現在とは比べ物にならないほど凶暴なキャラクターであり、セリフも過激なものが多かった。

 では、その凶暴な両さんに再会してみたいと初期の単行本を買ってみると、こちらも、当時読んでいた印象とはだいぶ異なっていることに気づくはずだ。現在書店で販売されている『こち亀』初期の単行本でも、先述の再掲載版第1話と同様、セリフに大きな改変がなされているのである。

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