試合中に豚肉を投げ入れられる露骨な差別!試合観戦で少年射殺事件も!サッカーを取り巻く金と差別

――日本が優勝を果たしたAFC U-23選手権2016の舞台は中東圏のカタール。さらに2020年のワールドカップも同国というように、今中東圏ではフットボール(サッカー)が熱い。一方その背景には、金と差別、そして宗教的な事情を伴う事情があるようだ。

国際舞台ではなにかと中東諸国と当たることも多い日本と韓国。現在、FIFAランクでアジアトップはイランだ。

 昨年11月に起こったパリ同時多発テロでは、劇場やレストランのほか、サッカースタジアム「スタッド・ド・フランス」がテロの標的となり、スタジアム周辺を合わせて3件の自爆テロが発生。市民ひとりが死亡する惨事となった。一部の過激派が起こしたテロであるにもかかわらず、この事件を契機に「イスラム」を一緒くたにした反発が高まり、国際社会において「イスラモフォビア」が増大しつつある。

 こうした中で、イスラムとサッカーに焦点を当ててみると、差別と金の問題が浮かび上がってきた。

 フランスには旧植民地であるアルジェリアからの移民が、ドイツにはトルコ系移民が多く住むなど、ヨーロッパにはイスラム圏にルーツを持ち、イスラム教を信仰する人々が少なくない。その中から、ドイツ代表のメスト・エジルや、レアル・マドリード所属のカリム・ベンゼマなど、世界的な活躍をする選手も誕生しているのだ。

 ムスリムのサッカー選手として、最も評価されているのが、元フランス代表で現レアル・マドリード監督のジネディーヌ・ジダン。アルジェリア系移民の子として生まれたジダンはイスラム教徒だが、彼は「モスクに行かないムスリム」として、自らの宗教色を前面に押し出すことはなかった。しかし、そんなジダンの、ムスリムとしてのプライドを揺るがす事件があった。彼にとって現役最後の試合となった06年FIFAワールドカップの決勝戦、フランス対イタリア戦の最中に起こったマルコ・マテラッツィへの「頭突き事件」の背景には、ムスリムとしての価値観が影響していたのだ。

「お前の姉貴より娼婦のほうがマシだ」

 マテラッツィからジダンに投げつけられたというこの言葉は、選手同士がエキサイトするピッチの上では、よくある種類の暴言にも聞こえる。しかし、イスラム研究者の内藤正典氏によれば、ムスリムにとって「女性親族に対する性的な発言は家族として守るべき名誉をひどく傷つけられたように感じる」(『イスラムの怒り』集英社新書)ものであり、ジダンは暴力に訴える衝動を抑えることができなかったことは想像に難くない。結局、レッドカードで一発退場となり、世界最高とうたわれたプレイヤーは、現役最後の試合に禍根を残すこととなった。

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中東・イスラム 新文化論【2016年3月号第1特集】

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