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川端康成と三島由紀夫を結ぶ"点と線"とは? 昭和文豪の主治医が独白する名作誕生の秘話と苦悩

日本人初のノーベル文学賞作家である川端康成といまなお世界中に熱狂的なファンを持つ三島由紀夫――。かつて、川端の主治医を務め、文学史に名を刻まれた文豪と密接な関わりを持った精神科医が、現役で診察している。その人とは栗原雅直医師(84)。今回、栗原医師が日本を代表する文豪らの素顔と、名作誕生の秘話を明かしてくれた。

そもそもなぜ私が川端氏を担当することになったかというと、東大病院精神神経科の助手で虎の門病院の部長に就任予定だった昭和41年1月、虎の門病院院長の冲中重雄氏から、川端康成夫人を紹介されたのがきっかけです。当時、川端氏はNHK連続テレビ小説の『たまゆら』の原作を担当していましたが、重度の不眠症を患い、原稿が一向に進まず朦朧としている上、ホテルオークラに滞在している川端氏のもとに、ある女性が睡眠薬を運んでいたことから、薬物中毒にさせられるのではと心配していました。それでなんとか治療してほしいと、川端秀子夫人が冲中先生に相談したんです」

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