電子レンジ、インターネット、GPS…… あの科学技術も軍事用に開発された!

――特集【1】から、近現代における科学と政治の関係を紐解いてきたが、もともと軍事的に開発・利用された科学技術を、私たちは知らず知らず享受しているのかもしれない。

『エニアック―世界最初のコンピュータ開発秘話』(パーソナルメディア)

 軍事用に開発されていたものが、のちに一般向けに商品化されたという例は枚挙にいとまがない。ティッシュは第一次大戦中のガスマスク用フィルター、食品用ラップフィルムは第二次大戦中の弾薬を湿気から守るためのもの、電子レンジはレーダー研究の際にたまたまアイデアを得て発明されたもの。お掃除ロボット「ルンバ」は、地雷探査ロボットの技術を応用して作られた。

 コンピュータもそのひとつ。19世紀から電気式計算機は存在していたが、プログラミングが可能な計算能力の高いコンピュータの開発は、1930年代以降に始まった。世界初の汎用コンピュータとして、46年に完成した「ENIAC(エニアック)」は、弾道計算を目的として第二次大戦中にアメリカ陸軍が投資して開発されたものである。完成後に行われた計算のひとつは、ノイマンによる水爆の爆縮(圧力による破壊)の計算だったと伝えられている。

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