【昭和・平成期の日本人とおっぱい】日本人が希求した「未成熟な巨乳」という矛盾

――高度経済成長を迎え雑誌メディアが隆盛し、タレントによる「水着グラビア」というジャンルが確立する。しかし日本人が選んだのは、アメリカ的な成熟した女性像ではなかった……。

左/1970年代後半に活躍した“元祖グラドル”アグネス・ラム。ハワイ出身の中国系アメリカ人であった。 写真は、『平凡パンチ特別編集 The グラビアアイドル 楽園の妖精 アグネス・ラム写真集』(マガジンハウス)より。
右/マンガ表現における“ロリ巨乳”の嚆矢、1980年に発売された『うる星やつら 1巻』 (小学館 少年サンデーコミックス)。

 海外と比べ、日本のグラビアの特異性としてよく語られるのは、「童顔+巨乳」がセットになっているということである。もちろんすべてがそうというわけではないが、「ロリ巨乳」としてひとつのジャンルを形成するほど一般化していることは事実。アメリカの巨乳は、顔もかなり成熟していることがほとんどだ。では日本の巨乳は、なぜ童顔でなければならないのか?

 元祖グラドルといわれるアグネス・ラムが一世を風靡したのは、1975年のことである。その翌年には、榊原郁恵がおっぱい売りのアイドルの先駆けとしてデビューした。アグネス・ラムは小麦色の肌。榊原郁恵は体に不釣り合いにも見える垢抜けない顔。どちらも「健康的なお色気」として形容されることが多い。豊満な肉体に半開きの目、真っ赤な唇とあからさまな“セクシー”を演出した、前回の記事で言及したマリリン・モンローとは一線を画している。

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