巧者はこうやって観る!2014年キッズアニメ5作を批評家ガチンコレビュー!

――ここまで、キッズアニメがアニメ業界で置かれている立ち位置や、そのビジネスモデルを見てきた。それでは作品自体の出来はいかほどのものなのか?ハイカルチャーからポップカルチャーまで幅広くウォッチする批評家・石岡良治が、『妖怪ウォッチ』&長く続く女児アニメの計5作を一気レビュー!

■妖怪が発生してきた歴史的過程とも相通じる
【1】『妖怪ウォッチ』

企画・シナリオ原案/日野晃博 監督/ウシロシンジ シリーズ構成/加藤陽一 制作/OLM 放映/テレビ東京

『レイトン教授』『イナズマイレブン』など多数のヒット作を生んできたゲームメーカー・レベルファイブが手がけるクロスメディア展開作品。さくらニュータウンに住む小学5年生・天野ケータと、執事妖怪ウィスパー、ネコの地縛霊妖怪・ジバニャンを中心に展開するギャグタッチの妖怪アニメ。ネットスラングや他作品のパロディネタが多く含まれ、大人でも笑える。

[レビュー]
日野アニメの持ち味である「広い間口からのぞくブラックな側面」が良い方向で最大限活かされた傑作。主人公のケータをはじめとした登場人物すべてにどこか性悪な部分が垣間見え、親の勧めなしに子ども自身が楽しめる要素が鍵。「たいていの事柄は妖怪のしわざ」という世界観に基づく創作妖怪の物語が、実際に妖怪が発生してきた歴史的過程と相通じることも重要。大ヒットを受けて伝統妖怪の現代的解釈も可能になり、原作ゲームもポケモンに迫る勢いをみせるが、その反面生じた、ジバニャンの過去が「いい話」と判明するなどのマイルド化は不可避か。

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