【日記/64】書くことは恥ずかしいこと

最近、「私に見える世界」と、「他の誰かに見える世界」について、よく考えている。

……というと、なんのこっちゃというかんじなのだけど、まずは難しい話は抜きにしてこちらの「はてな匿名ダイアリー」を見て欲しい。

女だけど、女が一番容姿差別をしているよ

上の文章を書いた人は、女性の間には容姿によるカーストみたいなものが存在していて、どんなに幸せそうにしている女性でも、容姿にちょっと隙があると「でもあの顔じゃあね……」という雰囲気になると語っている。

うーん、そうかなあ。私は女性だけど、普段の生活のなかで、容姿によるカーストなんてあんまり考えない。綺麗な女性を見たら「いいな〜」と思うけど、それはファッションセンスがいい女性を見たときに思う「いいな〜」とか、料理上手な女性を見たときに思う「いいな〜」とか、海外旅行をしている女性を見たときに思う「いいな〜」とか、他もろもろと同列だ。容姿だけを突出してどうこう考えることはない気がする。あと、肌が荒れたりしているとき、私はそれを女性に指摘されたことがない。なんかいってくるのは、たいてい(ちょっと無神経な)男性だ。

最も単純に考えると、おそらくこの匿名ダイアリーを書いた人は「そういう場」にいて、私は「そういう場」にいないんだろう、とすることができる。「そういう場」っていうのは、容姿による差別が起こりやすい場だ。コスメカウンターの職場とか、ママ友のコミュニティとかが、「そういう場」かもしれない。もちろん、これは私の浅い推測であって、必ずしも女性の多い場が「そういう場」だとは限らない。

だけど、もう少し複雑に考えると、「そういう場」「そういう場じゃない場」で区切れるものでもないのかもしれないと思う。つまり、「同じ場」にいながらにして、Aさんは「ここには容姿による差別がある」と思っていて、Bさんは「ここには容姿による差別なんてまったくない」と思っている。同じ場にいながら、2人が見ている世界がちがう。私は、こちらの説のほうが大いに可能性がありそうだなと考える。

人間の意識というのはアメーバ状になっていて、例えば有名な話だと、人は人が欲望するものを欲望する。お母さんに「なんで欲しいの?」と聞かれて、「だってみんな持ってるんだもん!」と答える場合がその典型だ。「私」が欲しいのではなくて、「みんな」が欲しいから欲しいのである。モテる人はモテるからこそさらにモテるし、モテない人はそのまま一向にモテない。人は、人の欲望を模倣する。ときに、それを「社会性」と呼んだりすることもある。

もう少し上の段階の話をすると、自己肯定感の高い・低いは、そのまま自分が周りをどう見ているかという問題につながるケースがある。これは水島広子さんの『自己肯定感、持っていますか?』という本に書いてあったのだけど、自己肯定感が低い人は、何かにつけて周りの人を評価してしまっていることがある。「あの人は仕事ができるからすごい」「あの人は結婚して子供がいるからちゃんとしている」など。そういう考え方をベースにしていると、仕事ができなかったり、未婚だったりする自分を「だから私はダメなんだ」と考え、評価を下げてしまう。だけど人を条件付きで見るのではなく、「みんないろいろあって、だからみんな同様に素晴らしい」という考え方をベースに設定すると、「だから私もまあたぶん平気」というふうに考えることができる。

件の文章を書いた人は、「女性は本質的に容姿による差別を行なう生き物であり、それこそが真実だ」という書き方をしているのだけど、私は、たぶんちがうと思う。おそらく、それは「私は、女性は本質的に容姿による差別を行なう生き物であるというように世界を見ている」という文章を書いた人自身の告白にしかならない。自分が見ている世界と、他人が見る世界は、異なっている可能性がある。「自分こそが真実を知っている」という書き方は、だから危ういのだ。

だとすると、書くことや話すことは自分の見ている世界を告白することであり、とてもとても恥ずかしいことである。もちろんこのnoteの文章だってすべてブーメランで、「私には世界がこう見えている」という一種の告白でしかない。

何か1つの真実があるのではなく、人の数だけ複数の真実が存在する。だから、「女性は容姿による差別をする」も真だし、「そんな差別はない」もまた同様に真だ。

問題は、あなたがどのように世界を見るかだ。真実があるのではなく、真実を「選ぶ」のである。私は2016年、気が付いたらずっとこの話をしているな。

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2015年11月から2017年7月までの日記です。100記事いっぱいになったので以後更新されません。
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