毎週金曜日に更新している「今週のアルジャジーラ」。早いもので今回は9回目の更新となり、つまり9週連続でやっている。初回はこちら。あと、先週分はこちら。

これまで取り上げた国は、サウジアラビア、ソマリランド、イスラエル、シリア、イラク×2、イエメン、パキスタンだ。うむ、なかなかに濃いメンツ。たまに「同期飲み会わず。このメンツ、濃いわ〜笑」などのSNSの投稿に対し「一個も濃くないわ普通じゃボケ」というツッコミが入ることがあるが、サウジアラビアから始まるこのメンツは本当に濃いと私は思っている。

参考：「このメンツ、キャラ濃いわー」は、ちっとも濃くない。死んだ祖母が語る（画像）

さて、ところでいったい今週は何が〔祝〕なのか。10回更新記念ならまだわかるが、9回更新を祝うのはちょっと半端ではないか。

お祝いするのは、私の「今週のアルジャジーラ」ではない。Al Jazeeraというメディア自体が、去る11月1日で20周年記念日を迎えたので、そのことが〔祝〕なのである。というわけで、今週気になった記事はこちら。

Al Jazeera celebrates 20th anniversary

「今週のアルジャジーラ」の初回でも少し触れているが、アルジャジーラというメディアについて改めて振り返ってみると、その始まりは1996年11月1日である。カタールのドーハから、中東初の無検閲の報道機関として歴史をスタートさせたのだ。

私のnote内でも触れているが、真面目な話、中東は戦闘の多い危険な地域である。イラク、シリア、リビアなどの国の取材中に、レポーターが殺されたり、オフィスが爆撃を受けたこともあった。だけど、それでもアルジャジーラは拡大を続け、そのニュースが広がるのを阻止されることはなかった、みたいなことが書いてある。

また、アルジャジーラというメディアを大きく成長させたのは、2010年にチュニジアから始まった「アラブの春」だったという。「アラブの春」についても、このnoteで触れたことがある。

【日記/63】今週のアルジャジーラ

チュニジアの青年の焼身自殺から始まったデモやストライキのムーブメントを、いちはやくカバーし伝えていったのはアルジャジーラだった。私はその経過をリアルタイムで見ていないので何ともいえないが、「アラブの春」が世界中に大きな衝撃をあたえた出来事だったことは間違いない。

アルジャジーラは本社がドーハのため、カタール政府にだけは甘いという噂もある。だけどそれでも、チュニジア、リビア、エジプト、イエメン、シリアなどの政府からは反感を買い、レポーター殺害の脅迫を受けたり、エジプトでレポーターが拘束されたこともあったという。

中東情勢は現在でも混沌を極め、アルジャジーラは今週もイラクのモスルとシリアのアレッポのニュースでいっぱいだった。ISIL重要拠点のモスルに関しては、日本のメディアも大々的に取り上げていたので目にした人もいるのではないかと思う。日本人ジャーナリストがクルド人組織に拘束されたとか。

常岡さん、「イスラム国」との関連疑われ聴取か

IS最高指導者、モスルの戦闘員に徹底抗戦呼び掛け 音声公開

私が注目したのは下のAFPBBNewsの記事なのだけど、この中で、IS系の「アルフルガン・メディア」というのが紹介されている。IS系のメディアというのは初めて聞いた。ちょっと勇気を出してアクセスしてみたところ、パッと見でグロ画像みたいなのはなかったので、気になる人は自己責任で見てみるといいかもしれない。ただし動画を見てみたところ、グロ画像というほどでもないが人が射殺されている映像はあったので、注意されたし。これが映画だったら何とも思わないが、実際の映像だと思って見ると私はけっこう辛かった。

だけど、ISが映像制作に力を入れているという話はわりと納得がいった。なんというか、誤解を恐れずにいえば、ISが作る映像は「すごくかっこいい」のだ。音楽なんかも臨場感があって、「アッラーは偉大なり〜〜！」といってみんなでウオー！と盛り上がるところなんてちょっと興奮してしまう。もちろん私は外部の人間なので、その熱狂に真の意味で包まれることはないのだが、これによって盛り上がってしまう人間がいることはとてもよく理解できる。

私はよく、「（マンガの）『ONE　PIECE』はノンフィクションだ」と人に話す。聞いた人は「はあ？」みたいな顔をするのだけど、これを裏付ける記事があったので、今週はこれを紹介して終わりにしようと思う。別に私の頭おかしいわけではない。もしルフィが正義に見える瞬間があるとするならば、それは私たちが、生まれと環境さえ今と異なっていればISの戦闘員になっていた可能性があるということだ。中東について何かを語るとき、このことを忘れてはいけないと私は思う。

DMM亀山会長「戦争は正義vs悪ではない」漫画ワンピースから学ぶ“世界平和”のとらえ方

ところで、来週11日（金）の「今週のアルジャジーラ」は諸事情によりお休みです。次回は18日（金）。ごきげんよう！